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第132回 移民局を訴えてみた。その結末は、、

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第132回 移民局を訴えてみた。その結末は、、

ニュージーランド政府公認移民アドバイザーのAki Yamasakiです。

NZ国外からのビザ申請が却下されたら、救済措置はないのか?

ニュージーランド在住者であれば、誰もが知っている大企業がかつて、約束を守らなかったことがありました。

度重なる話し合いでは解決せず、やむを得ず法的手段へ。

企業側は、まさか本当に裁判所に提訴されるとは思っていなかったのでしょう。

提訴後、相手方の態度は一変しました。謝罪とともに解決案が提示され、最終的に円満解決となりました。

このように、明確な法的救済手段が制度として存在している場合には、適切な手続きを踏むことで問題を解決することが可能になることがあります。

しかし、NZ国外からのビザ申請が却下された場合は、状況が異なります。

移民局に対して不服申立ての制度はありません。

移民保護裁判所や高等裁判所に訴える権利もありません。

唯一残されているのは、政府監視機関であるオンブズマンへ訴えを起こすことです。けれども、この方法は中々一筋縄ではいかないのです。

申請却下2回、100年間実質的な入国禁止からの再出発

納得できない却下に対しオンブズマンへ訴えた結果、最近、最終的に審査ミスが認められました。

今回、ご本人からの承諾を得て、経緯をご説明いたします。

弊社が受任する前の状況は、次のとおりでした。

まず、ワーホリでニュージーランドに滞在後、日本に帰国。

その後すぐに、ご本人申請により6か月の観光ビザを2019年に申請しましたが、資金証明の追加提出を求められた段階で申請を取り下げ。

さらに、ご本人が、今度は9か月の観光ビザを再申請し、その滞在中に仕事を探す意向を示したことなどもあり、一度目の申請却下。

続いてNZeTAを取得し渡航を試みたところ、経由地にて、ニュージーランド行きの航空機に搭乗する直前、移民局職員による突然のインタビューを受け、その結果、入国許可は難しいと判断され、搭乗自体を拒否、そのまま日本に帰国。(そのインタビュー結果を理由として、100年間の搭乗禁止が付されました。結果として、NZeTAによる入国もできない状態となっています。)

その後も本人申請で観光ビザを再度申請しましたが、不法滞在となる可能性、ビザ条件に違反するおそれ、さらには予定どおりニュージーランドを出国しない懸念があるとして、再び却下されました。

このように、2023年に弊社と申請代行契約を締結された時点では、状況は極めて不利な状態にありました。

弊社としては、可能な限り証拠を精査し、法的根拠を整理したうえで、発給相当である旨を論理的に構成した弁論書を提出しました。この時申請却下となりましたが、審査メモを精査したところ、却下理由が到底納得できる内容ではありませんでした。

審査方法に明らかにミスがあるのにそれを認めない移民局

本件には、大きく分けて、3つの審査過誤が存在すると考えました。

  1. 2019年の空港面接の不当性
  2. ご本人が英語が得意でないことを移民官が認識していながら、通訳なしで面接を続行。英語力不足で回答した内容で、搭乗拒否となったことを考慮して審査されている(こちらがその不当性を主張したにもかかわらず、移民局はこれを認めず。)
  3. “ビザルール”から逸脱して審査
  4. 日本で2つの仕事に就いていたにもかかわらず、日本の経済状況や想定される生活費等を総合的に考慮した結果、当該の給与はビザ失効後に日本へ帰国することを裏付ける強い証拠とはいえないと不当に結論づけられた。
    さらに、過去のビザルールで使われていた旧ルールの一部引用も確認されました。これがメインの原因で却下になりました。
  5. 他の選択肢を一切検討していない
  6. ビザを却下するにあたり、Limited Visaの発給や、発給後に保証金を課すといった代替的措置を検討しなかった。

到底フェアな審査がなされたとは考えられなかったため、まず移民局に対して正式に苦情を申立てしました。しかし、対応した移民部長はこれを全面的に否定し、申請却下は妥当であるとの立場を崩しませんでした。そのため、やむを得ずオンブズマンへの訴えに踏み切ることとなりました。

オンブズマンも、最初は介入を断ろうとしていた

ようやくオンブズマンの調査官から連絡が来ました。

しかしその内容は厳しく、

  1. 空港面接については既に時間が経過していること
  2. Limited Visaに関しては要件を満たしていない可能性があること

上記2点を理由として、捜査自体取り止めにすべきとの内容が届きました。(ちなみに、Limited Visaとは、ビザ条件に違反した場合や、1日でも不法滞在となった場合に、直ちに強制退去が執行される非常に厳格なビザです。)

その見解に対する反論および改めて当方の主張を提出しました。その後、移民局の意見も踏まえたうえで 、なんとか正式に捜査開始が決定しました。

そのまま待つこと約1か月半、オンブズマンから最終結果について連絡が入りました。

当方の主張が一定程度受け入れられた結果、「当該審査内容では、判断理由が十分に裏付けられているとは認められない」と移民局自ら認定しました。そのうえで、再申請料を免除して再申請を受け付けるとの提案がなされ、さらに、再申請の結果ビザが発給された場合には、100年間有効とされていた実質的な入国禁止を削除するとの和解条件が提示されました。

これは、事実上、移民局が審査上の誤りを認めたに等しい対応です。永住権却下の事案においても、勝訴の際、移民保護裁判所が同様の判決を下すことがあります。その経緯を踏まえ、今回移民局が審査過程に問題があったことを明確にしたという重大な事実を重く受け止め、本件提案を受け入れることにしました。

中途半端な覚悟なら、オンブズマンは勧めない

正直に申し上げて、オンブズマンに訴えることは決して容易な紛争解決の方法ではありません。オンブズマンは移民局のみならず、政府機関全般の対応を対象としているため、審査には相当の時間を要します。今回の件で申し上げれば、最終的な結果に至るまでに、実に2年以上の歳月を要しました。

さらに重要なのは、オンブズマンの審査対象は、あくまで移民局がビザルールや法律に則り、合理的かつ適正な手続を行ったかどうかに限られます。移民局がビザを発給すべきであったか否かという結論そのものを直接判断するわけではないので、注意が必要です。

その過程は、申請者にとっても移民アドバイザーにとっても精神的な負担が大きいものです。しかし今回のケースでは、オンブズマンの介入を経ずに再申請を行った場合、移民局が同様の審査上の誤りを繰り返し、再び却下となる可能性が高いと考えられました。それが理由で、この方法を選択しましたが、オンブズマンへの訴えとなると、通常のビザ申請代行以上に法律のリサーチ、複雑な弁論書の作成など業務内容が格段に多くなるので、通常の業務に加えて大きな負担となります。

場合によってはこのケースのように数年単位での対応となるため、移民アドバイザーや弁護士であっても一般的に対応は容易ではないと思います。また、仮に受任する場合でも、相応の業務量を要することから費用は高額になりがちであり、申請者にとっても気軽にチャレンジできないかもしれません。そのため、再申請で進むのか、それともオンブズマンへの申立てで是正を求めるのかは、戦略的判断を要します。もっとも、私のように泣き寝入りせず、たとえ何年かかっても納得のいく結果が出るまで取り組みたい方には、有効な選択肢となり得る方法です。

注意)当該クライアント様がパスポートを更新しようとされた際、「過去に入国拒否を受けた方については、旅券の発給が制限される可能性がある」と説明を受けたとのことでしたので、入国拒否されたことがある方はご注意ください。当該事実を申告せずに旅券の発給を受けた場合、虚偽申告に該当するおそれがあります。

このコラムは、一般的なビザおよび移民法に関する情報を提供することを目的としており、法的助言を目的としたものではありません。執筆者および弊社は、本コラムの内容に起因する損害について、一切の責任を負いません。また、免責事項も含めて本コラムの無断転載および改変を禁止します。政府公認の移民アドバイザーは、移民アドバイザーライセンシング法に基づき、ニュージーランド政府からフルライセンスを取得しています。執筆者はこのライセンスにより、単独で移民に関する法的助言および全てのビザ申請代行を行う法的業務を提供することが認められています。移民アドバイザーと直接やり取りをせずに、無資格者を介して移民アドバイスを受けるなどのやり取りをする場合、違法行為であり、処罰の対象となる恐れがあります。また、移民アドバイスを受ける際は、必ず政府団体IAAのウェブサイトでアドバイス提供者のアドバイザー番号とその種類を確認することで、無資格者からの違法なアドバイスからの被害を避けることができます。(ライセンス発給歴も確認できます。また、アドバイザー番号の最初の4桁はアドバイザー資格申請年を示しています。)移民アドバイザーの中でも特定のビザカテゴリー限定でアドバイスを行うことが認められている Limited Licence 保持者については、どのビザカテゴリーについてアドバイスが可能なのか必ずご確認ください。弊社では、ビザ申請代行が可能かどうかの簡易査定については無料にてご相談を承っております。しかしながら、法的助言は業務提供の一環に該当するため、ご契約前の段階において個別具体的な法的アドバイスを無償で提供することはいたしておりませんので、その場合返答は出来兼ねます。本気でビザ取得に取り組まれる方からのご連絡をお待ちしております。その上で、移民アドバイザーが申請の初期段階から完了に至るまで一貫して関与し、相応の時間と高度な専門性を要する法的業務を、責任をもって遂行しております。(執筆日2026年2月16日)

(追記)

移民局は、2026年2月18日、移民アドバイザー向けメールにて、ビザ審査に適用される賃金の中央値を、現行の時給33.56ドルから35ドルへ引き上げる旨を発表しました。

当該改定は、2026年3月9日以降に行われるビザ審査に適用される予定です。

 
Aki Yamasaki (カンタベリー日本人会協賛会員でGoogle Review5.0のNew Zealand Visa Partner (ニュージーランドビザ申請代行センター)代表およびNZ政府公認移民アドバイザー)
 
9年目のベテラン移民アドバイザー。ニュージーランドに移住して27年目。TOEIC満点、英検1級取得。Master of Business, BSocSci (心理学)、移民法最高学位GDNZIA等15学位を取得。現在は大学院ロースクールに在籍。雇用法、ビジネス法、商法も大学で学ぶ。NZ国家資格者である移民(ビザ)アドバイザー(ライセンス番号201701307)およびNZ公認教育カウンセラー(ライセンス番号2430150)ほぼ全てのビザ申請を最終的に発給に導く。自身の申請経験をきっかけに、ビザ申請者の気持ちが分かる熱血派の移民法専門家になる。移民法、ビザルールに関する法的助言提供、ビザ申請代行、移民局との交渉、面接同席、弁論書作成だけでなく、単独で移民保護裁判所の法定代理人にもなれるフルライセンスアドバイザーであり、案件を最初から最後まで担当。緊急時は時間外も対応。却下決定をも覆し、不法滞在、申請却下歴、入国拒否歴、警告があるケースや弁護士でも却下されたケースさえも成功に持ち込む。法律知識、分析力、移民局への弁論書に定評があり、多数の感謝状を頂く。(審査官からも称賛を得る)弊社で申請代行可能か無料査定中。質問への回答を含む法律相談は有料(ご相談後2か月以内に申請代行サービスにお申込み頂いた場合は、相談料を相殺)。本気でビザを取得したい方のみの限定受任。法的助言や弁論書作成、移民局とのやり取りを含む申請代行または契約前の有料相談(1時間まで$260+GST)のお申込はフォームにご記入後送信下さい。NZ国内外オンライン対応。電話番号(NZ)02108319214(お電話は有料相談や申請代行についてのお問合せのみ)平日NZ時間9時から19時まで(月曜から金曜)
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