ニュージーランド政府公認移民アドバイザーのAkiです。
新制度NOL採用でビザ申請はどのような影響を受けるのか?
ビザ申請のポジションリストとして長らく使用され、オーストラリアのビザ制度と共通で運用されているANZSCO。今後は新たな職種分類表である National Occupation List(通称 NOL) に置き換えられていきます。2025年10月23日、移民局はアドバイザー向けメールで、移行期間における運用方法について発表し、以下の方針を明らかにしました。これにより、該当する職種によっては、現在スキルレベル4または5に分類されているLower Skilled Jobが、法改正後にはSkilled Jobとして格上げされることとなります。
- ・NOLに該当する職種がある場合: 2025年11月3日以降にAEWV申請、またはJob CheckでNOLを使用。
- ・NOLにまだ該当職種がない場合 NOLへの完全移行までは、引き続きANZSCOを使用。
- (なお、Specific Purpose Work Visa においても NOL が使用され、該当職種が公表されていますが、本稿では詳細は割愛します。)
NOL入りした以下の87職種が対象。
- スキルレベル1
- ・Horticulture Post-Harvest Leading Hand
- ・Fruit Production Leading Hand
- ・Indoor Crop Production Leading Hand
- ・Outdoor Crop Leading Hand
- スキルレベル2
- ・Foley Artist
- スキルレベル3
- ・Irrigation Technician
- ・Calibration Technician
- ・Drug and Alcohol Tester
- ・Wind Turbine Technician
- ・Geothermal Technician
- ・Non Destructive Testing Technician
- ・Irrigation Performance Assessor
- ・Cabinetry CAD Drawer
- ・Joinery Detailer
- ・Lifting Equipment Technician
- ・Electric Vehicle Mechanic or Technician
- ・Bicycle Technician
- ・Vehicle Integration Technician
- ・Agricultural Equipment Technician
- ・Heavy Equipment Technician
- ・CNC Programmer - Solid Timber Joinery
- ・Senior Fleet Tyre Technician
- ・Concreter (Commercial)
- ・Joinery Site Joiner
- ・Joinery Installer
- ・Waterproofer
- ・Animal Trainer
- ・Milliner
- ・Cabinetry Installer
- ・Joinery Machinist
- ・Joinery Technician
- ・Joinery Practitioner - Generalist
- ・Joinery Finisher
- ・Performing Arts, Entertainment and Events Technician
- ・Fibre Composite Technician
- ・Electronic Security System and Alarm Technician
- ・Snowsport Equipment Technician
- ・Dementia Navigator
- ・Dementia Homeshare Coordinator
- ・Support Worker (Mental Health and Addiction)
- ・Health Coach
- ・Senior Gaming Worker
- ・Concierge
- ・Winery Senior Cellar Hand
- ・Crematorium Technician
- ・Personal Trainer
- ・Adventure Tourism Operator
- ・Tennis Coach - Performance
- ・Athlete
- ・Production Supervisor, Clay, Concrete, Glass and Stone Processing
- ・Production Supervisor, Paper, Pulp and Wood Processing
- ・Production Supervisor, Plastics and Rubber Production
- ・Production Supervisor, Textile and Footwear Production
- ・Hazardous Materials Removalist
- ・Horizontal Direction Drilling Worker
- ・CNC Operator - Solid Timber Joinery
- ・Agrichemical Spraying Operator
- ・Groundspread Nutrient Applicator
- ・Oversize Load Pilot Escort
- ・Power Wash Technician
- ・Solar Installer
- ・Rope Access Technician
- ・Load Lifting Rigger (Rope Fabrication)
- ・Production Supervisor, Food and Drink Processing
- ・Production Supervisor, Meat Processing
- ・Production Supervisor, Poultry Processing
- ・Production Supervisor, Seafood Processing
- ・Horticulture Post-Harvest Supervisor
- ・Aquaculture Farm Supervisor
- ・Field Crop Farm Supervisor
- ・Outdoor Crop Production Supervisor
- ・Fruit Production Supervisor
- ・Indoor Crop Production Supervisor
- ・Vineyard Supervisor
- ・Mixed Crop Farm Supervisor
- ・Forestry Supervisor
- ・Silviculture Operator
- ・Nursery Production Supervisor
- ・Mixed Livestock Farm Supervisor
- ・Beef Cattle Farm Supervisor
- ・Sheep Farm Supervisor
- ・Other Livestock Farm Supervisor
- ・Poultry Farm Supervisor
- ・Senior Piggery Stockperson
- ・Mixed Crop and Livestock Farm Supervisor
- ・Irrigation Manager
- ・Senior Tyre Technician
ビザの発給を左右するのは「最新の法的知識」
NOLはANZSCOと異なり、ニュージーランド政府が独自に開発した職種分類表であり、毎年更新されることで、現行のニュージーランド労働市場の実態をより的確に反映している点が特徴です。しかしながら、従来と同様に、Job Checkや技能系永住権の申請においては、「当該ポジションがどのANZSCOコードに該当するのか」という点が、しばしば移民局との間で争点になると思います。実際の事例として、Job Check において弊社がSkilled Jobに該当すると主張したポジションについて、移民局から「当該職務はLower Skilled Jobに該当する可能性がある」との見解が示され却下寸前になったことがあります。 しかしながら、非常に協力的な雇用主様との緊密な連携のもと反駁を行った結果、当方の主張が認められ、最終的に Job Check を無事取得した事例があります。
また、ワークビザ申請時には技能職として承認されていたにもかかわらず、後に当該ポジションが移民局によって低技能職に分類し直された結果、永住権申請が却下され、その取消しを求める訴えが移民保護裁判所に多数提起されている事案も散見されます。
ニュージーランドにおいては、年間を通じて40回以上に及ぶ頻度でビザルールが改定されています。したがって、極端な場合には、数週間前まで正しいとされていた移民法に関する知識が、現行制度の適用においては全く通用しない事態が生じ得ます。その結果として、同一の事実関係に基づく案件であっても、過去とは根本的に異なる法的評価や助言を提示せざるを得ない場合があり、実務に携わる者は常に最新の法改正及び審査方針を的確に把握し続ける必要があります。今回のルール改定により導入されるNOL制度についても、正しく理解しておかなければ、申請結果が「許可」になるか「却下」されるかに大きく影響を及ぼす可能性があります。
ニュージーランド就職は学歴よりもコネと人間性?
ニュージーランドの就職活動は、日本の採用文化とは大きく異なります。学歴よりも、関連職務経験、貢献度のポテンシャル、そして人物面(人間性・協働性等)が重視されます。実際に、採用可否を決める前に「誰と一緒に働きたいか」を現在働いているスタッフが同席して、その評価を基に採用を決定する企業も存在します。 そのため、「ビザサポートを延々と求める」「問題を起こしそう」「挨拶や感謝ができない」人物は対象外となります。現在の不景気という要因だけでなく、ニュージーランドの企業の大多数が小規模事業者であることも、企業が採用で失敗できず、非常に慎重にならざるを得ない要因の一つだと思われます。実際、ニュージーランドの企業の約97%は従業員が20人以下の小規模企業です(MBIE, 2025年3月26日)。批判されがちなコネ入社は、すでに信頼関係がある人からのある一定の担保があるため会社にとって合理性があるとも言えます。
また、履歴書の内容は必ずご確認ください。これまで多くの履歴書を拝見してきましたが、その中には、この内容では書類選考を通過するのは難しいと感じるものもかなりありました。
最後に、「英語力に不安がある」「実務経験がない(または極めて少ない)」にもかかわらず、とりあえず応募してみるという姿勢は避けるべきです。 例えば、「英語力も不十分で、実績もほとんどない移民アドバイザーを、報酬を支払ってまで雇いたいと思えるでしょうか?」という問いを考えると、その難しさを理解して頂けると思います。 以上の事から、求人応募前には明確な「就職戦略」を練ることが必要不可欠です。
このコラムは、一般的なビザおよび移民法に関する情報を提供することを目的としており、法的助言を目的としたものではありません。執筆者および弊社は、本コラムの内容に起因する損害について、一切の責任を負いません。また、免責事項も含めて内容の無断転載および改変を禁止します。政府公認の移民アドバイザーは、移民アドバイザーライセンシング法に基づき、ニュージーランド政府からフルライセンスを取得しています。執筆者はこのライセンスにより、単独で移民に関する法的助言および全てのビザ申請代行を行う法的業務を提供することが認められています。移民アドバイザーと直接やり取りをせず、無資格者を介して移民アドバイスを受けるなどのやり取りをする場合、違法行為であり、処罰の対象となる恐れがあります。また、移民アドバイスを受ける際は、必ず政府団体IAAのウェブサイトでアドバイス提供者のアドバイザー番号とその種類を確認することで、無資格者からの違法なアドバイスからの被害を避けることができます。(ライセンス発給歴も確認出来ます。また、アドバイザー番号の最初の4桁はアドバイザー資格申請年を示しています。)移民アドバイザーの中でも特定のビザカテゴリー限定でアドバイスを行うことが認められている Limited Licence 保持者については、どのビザカテゴリーについてアドバイスが可能なのか必ずご確認ください。弊社では、ビザ申請代行が可能か否かについての無料相談は承っておりますが、ご契約前に法的アドバイスを無償で提供することは一切ございません。ビザが取得出来るように全力で法的業務を遂行しております。サービスの質より節約を優先される方は、弊社へのお問い合わせはご遠慮くださいますようお願い致します。カスハラ対策など弊社ポリシーの観点から対応および申請代行をお断りすることがあります。(執筆日2025年10月28日)
- Aki Yamasaki (カンタベリー日本人会協賛会員でGoogle Review5.0のNew Zealand Visa Partner (ニュージーランドビザ申請代行センター)代表およびNZ政府公認移民アドバイザー)
- Senior Immigration Adviser。ニュージーランドに移住して26年目。TOEIC満点、英検1級取得。4か国14学位取得。移民法最高学位GDNZIA取得。雇用法、ビジネス法、商法も大学で学ぶ。NZ国家資格者である移民(ビザ)アドバイザー(ライセンス番号201701307)およびNZ公認教育カウンセラー(ライセンス番号2430150)ほぼ全てのビザ申請を最終的に発給に導く。自身の申請経験をきっかけに、ビザ申請者の気持ちが分かる熱血派の移民法専門家になる。移民法、ビザルールに関する法的助言提供、ビザ申請代行、移民局との交渉、面接同席、弁論書作成だけでなく、単独で移民保護裁判所の法定代理人にもなれるフルライセンスアドバイザーであり、案件を最初から最後まで担当。緊急時は時間外も対応。却下決定をも覆し、不法滞在、申請却下歴、入国拒否歴、警告があるケースや弁護士でも却下されたケースさえも成功に持ち込む。法律知識、分析力、移民局への弁論書に定評があり、多数の感謝状を頂く。(審査官からも称賛を得る)弊社で申請代行可能か無料査定中。質問への回答を含む法律相談は有料(ご相談後2か月以内に申請代行サービスにお申込み頂いた場合は、相談料を相殺)。本気でビザを取得したい方のみの限定受任。法的助言や弁論書作成、移民局とのやり取りを含む申請代行または契約前の有料相談(1時間まで$250+GST)のお申込はフォームへご記入後送信下さい。NZ国内外オンライン対応。電話番号(NZ)02108319214(お電話は有料相談や申請代行についてのお問合せのみ)平日NZ時間9時から19時まで(月曜から金曜)
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