今日はニュージーランドの保育で大切にされているラーニングディスポジションについて書きたいと思います。
ラーニングディスポジションとは、子どもの学びの傾向や学んでいる姿を表す保育用語です。日本での保育士時代にはあまりなじみがなく初めは意味が理解できませんでしたが、ニュージーランドで保育実践をするうちに、これは子どもたちと接するときや、観察するとき、ラーニングストーリーを書くときなど、日常的にとても大切な知識だとわかるようになりました。
ディスポジションは、「人が持つ何かをしたいという衝動や、それによって自然に動くこと、そういったものの傾向」のような意味なので、ラーニングディスポジションは、日本語だと子どもの学びの構えや学びの傾向、学ぶ姿などと訳されています。子どもそれぞれの個性や興味がどこでどんなふうに見られるか、どんなときにどんなことができるのか、という子どもの今の姿を知り、子ども本人や家族に伝えることが保育者の大事な日々の仕事のひとつであるニュージーランドでは、ラーニングディスポジションに対する知識と視点がアセスメントの要でもあります。
では、ニュージーランドではどんなラーニングディスポジションが重要視されているかと言うと、保育の指針や要領にあたるテ・ファーリキでは
- 勇気と好奇心(興味を持っている)
- 信頼と遊び心(参加している)
- 忍耐力(困難、挑戦、不確実性に持ち堪えられる)
- 自信(視点や感情を表現する)
- 責任(責任をとること)
そして
- 互恵性
- 創造性
- 想像力
- レジリエンス
を含むものが挙げられています。
ここに挙げたもの以外は必要ないと言うことではありませんが、特にここに挙げたものは子どもたちがニュージーランドの社会を生きる上で大切だと考えられています。
なぜかというと、ニュージーランドの教育は幼児教育からターシャリーまで教育省が一括で管轄しており、各教育セクターは「ライフロングラーナー(一生涯自分の興味のあることを学び続ける人)」と言う共通のビジョンを掲げていて、ここに挙げたラーニングディスポジションは、このライフロングラーナとしての学びをサポートするものだからだそうです。
なかなか外からは見えづらいものですが、慣れてくるとこういったラーニングディスポジションを見つけてラーニングストーリーに書くコツも身に付いて来ました。
保育に携わる方への参考になれば嬉しいです。