今回は担保についてご説明いたします。「借り換えの場合は既に持っている物件の、購入する場合は購入物件の情報も必要なんですか?」と聞かれる事がありますが、住宅ローンにはSecurity(担保)が必要です。Securityは何でもいいという訳ではありませんので、最低限の情報はいただく必要があります。
Security(担保)とは
住宅ローンを組んでいる方は、厳密に言えば“家は100%あなたのものではなく、金融機関のもの”でもあります。20%のデポジットで購入の場合、80%を金融機関から住宅ローンを組んで借りる事になります。この場合、Equityは20%、つまり、家の20%があなたの資産で、残りの80%は金融機関のものになります。
私たちが最初の家を購入した当初、「屋根だけ自分たちのものだね」なんて話していたのを覚えています。それが、「キッチンもそろそろ自分たちのものかな」というように少しずつ増えていきました。 そのように考えると面白いですね。
万が一、ローンの返済がされなくなってしまった時、Lender(貸し手)は担保である家を売って貸したローンの回収が出来る権利があります。これが“モーゲージーセール”と言われるものです。ですので、担保は貸した額だけでなく、回収に伴う費用(裁判や弁護士費用など)もカバー出来るだけの価値がなければなりません。
勿論、これは最悪の想定であって、「返済が滞る=即モーゲージセール」ではありません。すぐに借りている金融機関にご相談ください。 ほとんどの場合は、何とかモーゲージセールにならなくて済むように出来る限りのアドバイスをもらえる事でしょう。
Lender(貸し手)は最悪の場合でも、貸したローンを回収できるように、担保になる家の審査もします。 担保としての価値がないと判断されてしまうとローンを借りるのは難しくなる場合がありますので注意が必要です。
担保として難しい物件
では、担保として難しい物件とはどんな物件なのでしょうか?下記は主な例になります。
購入価格と家の価値が合わない場合
今のマーケットは、マーケットバリューがCVよりも大幅に上ですが、それでもその域を超えていると考えられる場合は、Registered Valuationを取るように言われることがあります。これにより、家の価値が証明されない場合は、貸してもらうのが難しくなります。 価値以上を貸してしまうと後で回収できなくなる可能性があるからです。
物件に問題がある場合
物件に明らかな問題がある場合は、Lenderが売ろうとしても売れない可能性があります。又は、売れても貸した額の回収まで出来ない額になってしまう可能性があります。勿論、その場合は、Registered Valuationも低くなります。
ここ数年問題になっているのは、リーキーハウスシンドロームです。これは、プラスターと言われている家になりますが、外壁だけの問題ではなく、軒下がない事や、基礎の骨組みに使われている材質などにも問題がある為、単に外壁だけを取り換えればいいという問題ではありません。 家の基礎に水が入って、基礎が腐ったり、カビが生えたりします。健康にも害が出てきます。外壁だけを取り換えてウェザーボードとして売っている家を時々見かけます。買った後で気づいても遅いので、“オリジナルからウェザーボードなのか”と不動産屋に確認する事をお勧めします。
また、最近特に問題になってきているのが、ドラッグのPです(正式名称はMethamphetamine)。使用だけでなく、家の中でPを作っている“Factory”の物件は、汚染されていますから健康被害の心配もあり、強制退去になります。住めるようにするまでに莫大な時間とお金がかかります。
そうそう、そういった物件には当たらないと思われるかもしれませんが、今年、私が物件を探していた2カ月の間にPで汚染されている家に3件も当たりました。1件は全て除染をして売り出されていましたが、2件はオークションの前にPテストで汚染が分かり、オークションが中止になりました。テストをしていなかったら、オークションで売れていたと思うと怖いですね。
建築が合法でない場合
NZの物件は改築、増築されている物件が多いのですが、カウンセルの許可なしに改築、増築をしている物件、Certificate of Code of Complianceを取っていない物件など、法に沿って建てられていない物件は担保として認められない場合があります。
また、それだけでなく、違法建築ですから何か起きた時に保険が下りない場合もあるかもしれませんので、十分にお気を付けください。
そういった物件の許可を得るには、お金も時間も相当かかります。 また、カウンセルから増築したベランダを撤去するようにと言われた方もいらっしゃいます。
上記の事例はあくまでも例です。
まとめ
上記の物件の場合でも、借りる額が少なくLenderのRiskが小さければ借りれる場合もあります。
ただ、物件に問題があるという事は、担保という観点からだけでなく、将来的に売る時に売りにくい物件であるという事もしっかりと理解しておく必要があると思います。
注:条件等は金融機関によっても違いますので、あくまでもご参考としてお読みください。
- Yuko Dempster (New Zealand Home Loans コンサルタント)
- お客の立場でNZHLを利用し、6年でローンを返済した経験からNZHLの良さを実感、多くの方のお役に立ちたいとコンサルタントに。
- お客様の経済的ストレスを失くし、喜んでいただける事が何よりうれしい。
- プライベートでは、夫と長女、次女(ワンコ)の3人と1匹家族。 趣味は20年続けているビール作り。