「伝統という籠を飛び出し、世界へ。」
6歳から日本舞踊の世界に入り、修行歴は実に56年。かつて東映映画に出演し、設計士としての経験も持つなど、異色の経歴を歩んできた新派家元が、現在は日本舞踊家として活動している。いま見据えるのは日本文化を通じた「世界平和」です。
30年前に古巣を離れ、忍者や茶道の師範らと現代の「寺子屋」を始動させた彼女。なぜ今、ニュージーランドで初の「ハイブリッド体験レッスン」に挑むのか。60歳を超えた今だからこそ語れる、文化と人の本質に迫るインタビューです。
※記事の最後に、Kiyoka先生のレッスンを受けられるイベントの案内があります。ぜひ最後までお読みください。
伝統ある流派で「籠の鳥」だったKiyokaさんが、あえて自分の道を切り拓いたのはなぜですか?

伝統の流派で師範資格を得たのち、公民館で初めてお弟子さんを迎え、お稽古を開始しました。30年前、まだ一般的ではなかったホームページを開設したことをきっかけに、伝統の在り方を巡り確執が生じました。
私は「地位や肩書ではなく、自分の言葉で文化を伝えていきたい」と決断し、流派を離れ、新派花伎流を立ち上げました。独立の際、「名前ではなく、あなたについていきたい」と言ってくださったお弟子さんの一言が背中を押しました。
肩書を手放してもついてくるのか 。その問いに応えてくださった存在を守るための選択でした。その一歩が現在の活動へと繋がっています。
日本舞踊家、設計士、元女優。この三つの顔は、Kiyokaさんの中でどう繋がっているのでしょうか?

日本舞踊家、設計士、女優という三つの道は、一見まったく違うもののように見えるかもしれませんが、私にとっては自然な流れの中で重なり合い、三つの顔として生きてきました。
日本舞踊は「動くことで表現するもの」、設計は「考え、形にすること」、女優の経験は「見せ方を磨くこと」。それぞれ、静と動、そして磨くという役割を持ちながら、最終的にはすべて「どうすれば人に伝わるか」という一点に向かっていました。
振り返ると、どの経験も自分の舞台をつくるための学びだったのだと思います。設計の仕事はコロナ禍を機に区切りをつけ、女優の活動も学ぶべきことを得たところで手放しました。現在は日本舞踊家として、文化を「伝わる形」にしていくことに専念しています。
コロナ禍で東京の全拠点を手放した際、なぜ「世界へ広げる好機」だと確信できたのですか?
コロナ禍で緊急事態宣言が発令され、対面でのお稽古がすべて止まり、日常が崩れ去りました。正直に言えば「このまま終わるのかもしれない」と覚悟を決めた時期です。
閉めるなら最後に何をするか。そう考え、オンラインでのお稽古に踏み出しました。
当時は日本舞踊をオンラインで行うこと自体が否定的に捉えられていましたが、試行錯誤を重ねながら独自の稽古方法や伝え方を形にしていきました。最初に繋がったのは海外在住の日本人の方々でした。
「やっと日本と繋がった」「海外にいても伝統文化に触れられる」という声をいただき、そのとき、私の選択は間違っていなかったと確信しました。この経験を通して、オンラインで日本舞踊を広めていくことは自然な流れとなり、世界へ繋がっていきました。
舞踊だけでなく、忍術や茶道の師範と「寺子屋」を立ち上げた真意を教えてください。
海外の方とオンラインで繋がる中で、「日本が好きだけれど、自国の文化を語る言葉がみつからない」という声を何度も耳にしました。
文化は、自分の言葉で語れてこそ支えになる。その気づきが、「外に届ける必要がある」という確信へと繋がりました。だからこそ、日本文化は一つの分野だけではなく、他の文化と繋がってはじめて理解できるものだと捉えるようになったのです。
複数の文化を横断して体感できる場として、それぞれの分野の講師の方々と共に「寺子屋」という形にしました。寺子屋は、技術を教える場ではなく、文化に出会い、自分の中に取り入れていく入口です。
文化は選ぶものではなく、出会うもの。その出会いの場をつくることが、寺子屋の始まりです。「Waごころ寺子屋」は、理念と仕組みの両面から新しい形を持つ、唯一無二の在り方です。
日本で働く外国人の方々に文化を伝えることが、なぜ彼らの「生きる力」に直結するのですか?

海外の方と関わる中で感じたのは、日本で生活し働く中では、言葉以上に「文化の理解」が求められる場面が多いということでした。
たとえば、礼の仕方や距離感、相手を思いやる所作など、言葉では説明されない部分に戸惑うことがあると伺いました。だからこそ、その文化に触れ理解することは、その方が安心して生きていくための支えになるのだと思います。
私はそれを「お守り」のようなものだと考えています。すぐに役立つものではないかもしれませんが、いざというときに自分を支えてくれるもの。
それを持っているかどうかで、同じ環境でも感じ方や立ち位置が変わってくるように思います。
60歳を超え、70歳をひとつの集大成に見据える今、修行56年を経てたどり着いた「文化の答え」とは?
長くこの道を歩んできて辿り着いたのは、文化は「身につけるもの」ではなく、「出会うもの」だということです。若い頃は、舞台に立ち「美しい」と言われることに心を奪われていました。けれど、古典の世界は舞台に立ち続けるにもお金がかかる世界でした。父の援助がなくなったとき、思うように舞台に立てない現実に直面しました。それでも辞めなかった。
続けるために独立し、新派花伎流を立ち上げたのです。華やかに見える世界の裏で、私が積み重ねてきたのは、負けないこと、手放さないこと、そして自分の言葉で文化を伝え続けることでした。だからこそ今、日本舞踊は単なる技術ではなく、生き方そのものだと思っています。
56年を経て、今、私が見据えているのは、文化は人を整え、人を繋ぎ、やがて世界を穏やかにしていく力になるということです。そして70歳という節目に向けて、その力を次の世代や世界へ届けていくこと。それが、これからの私の役割であり、新たな設計です。
私は、花伎稀世花。華ではなく、花に始まり花で終わる、稀なる世の花でありたい。
なぜ「初」のハイブリッド(対面×オンライン)レッスンの場として、ニュージーランドを選んだのでしょうか?
今回ニュージーランドで行うことになったきっかけは、お声がけをいただいたことでした。ただ、それだけで決めたわけではありません。これまでオンラインで海外の方と繋がってきた流れの中で、実際に現地で文化に触れていただく場をつくりたいという思いがありました。ニュージーランドの方々の、異なる価値観を否定せずに共存している在り方に惹かれ、日本文化とも重なるものを感じています。
オンラインで繋がること、対面で伝わること。その両方を重ねた形として、今回のハイブリッドという挑戦に至りました。ご縁と流れの中で、無理なく踏み出せる場所だったことが、ニュージーランドを選んだ理由です。
日本文化を「体感」することが、どのようにして世界平和という大きな夢に繋がっていくのですか?
「世界平和」は特別なものではありません。人と人が文化を尊重し合う中から生まれるものだと考えています。日本の文化には、礼一つにも「一礼一心」という言葉があるように、人と人は、心で繋がっていきます。言葉が通じなくても、通じるものがあると感じられたとき、そこに安心や信頼が生まれます。
文化は、人と人を繋ぐ架け橋となる。私はそう実感してきました。その想いを形にしたものが「Waごころ寺子屋」です。文化を通して人と人が自然に繋がる“和”の輪を広げていくこと。目の前の一人と丁寧に向き合い続けること。それが、今の私にとっての「正道貫徹」です。
どこかでお目にかかれるご縁がございましたら、幸いに存じます。
イベント告知:25分で触れる、日本文化の「心」
6月20日にクライストチャーチで開催される新イベント「With Love, Japan」にて、Kiyoka先生による特別な体験セッション(25分)が受けられます。
56年の研鑽を積んだからこそ伝えられる、美しい所作の裏側にある「心の持ちよう」。
そのエッセンスを、画面越しに体感できる貴重な機会です。60歳を超えてなお進化し続けるパワフルな彼女に是非会いに来てください。
※日本舞踊以外にも、「寺子屋チーム」の、忍術、茶道、書道、合気道の先生方のセッションも受講できます。
- 日本文化体験型イベント『With Love, Japan in Christchurch』
- ・入場料無料(一部有料ワークショップあり)
- ・日時:2026年6月20 10:30-16:00
- ・場所:St Peter's Anglican Church in Upper Riccarton/Parish Hall
- Instagram: https://www.instagram.com/with_love_japan_chch/
- Facebook: https://www.facebook.com/profile.php?id=61589212100280
- Website: https://nzdaisuki-achievers.com/with-love-japan/
Kiyoka Hanagi|Official Links
【日本舞踊・活動について】
- 花伎舞踊研究所(公式HP) https://www.hanagi-nihonbuyou.com/
- 「Udemy」にて、日本文化・礼・所作をテーマとした講座公開中
- https://www.udemy.com/course/kiyoka-jp-culture/
【For International Visitors】
- Official Website (English)
- https://en.hanagi-nihonbuyou.com/
【日本文化を体感する|Waごころ寺子屋】
- (日本語)
- https://aaaa-platform-ycxegiu.gamma.site/wagoroku-terakoya
- (English)
- https://terakoya-education-fsprhpr.gamma.site/
【あなたの和の感性を知る|七徳診断】
- JP:https://hanaginihonbuyou-oss.github.io/shichitoku-app/
- EN:https://hanaginihonbuyou-oss.github.io/shichitoku-app-en/
【Waごころ寺子屋 Facebook(NEW)】
※Amazon kindle出版:花伎稀世花(日本語版)7冊
Kiyoka Hanagi(英語版)2冊


NZDAISUKI ACHIEVERS
起業支援・ビジネスコンサルティング・M&A支援を行う伴走型コンサルティング会社。
起業家マインドの育成から商品設計、マーケット調査、現地での実践的なビジネス戦略まで幅広く対応。
個人事業から法人化、事業売買まで、あなたのステージに合わせた支援をします。
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