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第1回 NZの森に魅了されたきっかけ

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私の実家は元々兼業農家で、自分達で食べるお米や野菜を基本的に自分達で作るという家で育ちました。あの頃はそれが当たり前で、 自然の恵みや環境保全の大切さについて特に気に留めていなかったなあと反省している今日この頃です。現在では、色々な体験を通し環境のことをさらに深く考えるようになりました。これから12回に分けて、私の体験を通して感じたこと等を綴っていきたいと思いますので、ぜひお付き合いください。

NZで初めての bush walk

私は1995年の阪神淡路大震災に被災したのを機に、国外でしばらく過ごすことを考えるようになり、同年10月半ば、ボランティア教師として、まずオークランドの小学校に来ることになりました。ある日、学校の課外授業として、近場の森を歩くbush walk をすることになりました。生徒達はいくつかのグループに分かれ、それぞれのグループに引率の先生方や保護者の方々が何人か付いて一緒に歩くというものでした。

NZならではの植物

NZの森は、日本の故郷にあるような森ではなく、今まで見たこともない植物がたくさんありました。嬉しかったのは、何の予備知識もないままNZに来た私に、一緒に歩いてくれた先生方や保護者の方々、それから時折子供達が、NZならではの植物を教えてくれたことです。特に印象が強かった植物を、3つご紹介したいと思います。

1つ目は、「Tree fern」の数々

photo-01-1その名の通り、シダ自体が木みたいになっていますが、とにかく大きい。たくさんのパラソルを広げているみたいな景色が、とても印象的でした。昔マオリ族が、帰りが遅くなると分かっている時には、昼間出かける際、シダの裏が白い「Silver fern」の葉を折りながら歩いて、帰りは月光に照らされたSilver fernの葉裏を道しるべとしたという話も教えてくれました。自然を上手に活かす先人のその知恵に、とても感動したのを覚えています。

 

2つ目は、「Rangiora」の葉っぱ

photo-01-2Photo © Neil Davies 引用元: Tiritiri Matangi Open Sanctuary通称「Bushman's friend」と言うみたいですが、「森のトイレットペーパー」とも呼ばれていると教えてくれました。その名の通り、昔NZのbushmanがトイレットペーパー代わりに使っていたから付いた名前だそうです。葉は全体的に柔らかく、表は結構つるつるしていますが、裏は短いフサフサの毛で覆われていて、確かにトイレットペーパーとして使っても肌には優しそうでした。実際、bush walkの途中でRangioraの葉っぱが必要になった子供達がいました(笑)。

 

3つ目は、「Kawakawa」

photo-01-3通称「the pharmacy of the forest」だと教えてくれました。「森の薬局」という名が示すように、虫刺されやかぶれ、切り傷・擦り傷や火傷、痛みなど、色んな効能があるそうです。 NZに住み始めて、肌トラブルに悩まされていた時に 、kawakawaクリームを購入して使ってみたら、その日のうちに肌トラブルが収まって、その即効性に驚きました 。元々自然派の物が好きなので、私は今もkawakawaクリームを重宝しています。kawakawaの葉は内服薬としても利用できるようで、煎じて飲むと腎臓にも良いと聞き試してみましたが、残念ながら私にとっては美味しいとは言えない味でした。でも、薬用みたいなお茶のようで、味ではなく効果に期待するのがいいのかもしれません。

 

この bush walk で、NZならではの植物を色々見ることができて、とても楽しい 課外授業になりました。そして、この経験をきっかけにNZの自然に魅了されることになりました。

水谷公美 (みずたに さとみ)
 
オークランド在住。
兵庫県淡路島出身。
1995年阪神・淡路大震災に被災後、NZ移住。
動物・植物など自然が大好き。
日本語を教える仕事の傍ら、趣味が高じて理学準修士号(環境マネージメント)を取得。