ニュージーランドの留学や移住、起業、旅行、就職など総合情報サイト

第9回 環境とミッキーマウス!?

『自然大好き! ゆる~く、環境のお話』の記事一覧へ

「環境の話なのに、なぜミッキーマウス?」と、不思議に思った方もいらっしゃるかもしれません。でも、「ミッキーマウス」という持続可能な発展に関するモデル(図・型)が本当に存在するのです。
今回はそれも含め、 3つの主なモデルについて書いてみたいと思います。

持続可能な発展のコンセプトを表すモデル

数十年前頃から、地球環境や他者に悪影響を及ぼしてまで経済的な利益を追求するべきではないという考え方が、企業にも広く受け入れられるようになりました。持続可能の側面は「環境」・「経済」・「社会」の3つだと言われていて、持続可能な発展実現のために、研究者がそのコンセプトをモデルにする試みがされてきています。

1:ミッキーマウスモデル

そのモデルの1つが「ミッキーマウスモデル」と、可愛い名前が付けられています。下の図を見て頂けたら分かるように、ミッキーマウスの顔の形に似ているため名付けられました(そのまんま!)。経済の大切さが強調されていて(一番優先順位が高い)、「環境」と「社会」を維持していくためには「経済」に強く依存する必要があることが表されています。確かに、お金がないと環境保全活動や社会活動も難しくなることがあるとは思います。ただ、「経済第一」であると3つのバランスの悪さが際立ってしまい、モデルの中では、一番期待できないのが、「ミッキーマウスモデル」だと言われています(ミッキーマウス、残念!)。

photo-09-1

2:TBL (Triple Bottom Line) モデル

「ミッキーマウスモデル」の弱点を補うように、「経済」も「環境」も「社会」も、全部同じぐらい大切だというモデルが二つ目の「TBL (Triple Bottom Line)」です。企業活動を「経済面」だけで評価するのではなく、「社会面(例: 社会的貢献や人権配慮)」や「環境面(例:環境汚染対策や資源の節約)」でも評価していこうという考え方です。3つが重なり合う真ん中の箇所が、「経済的利益」・「社会的利益」・「環境的利益」全てを生み出せている真の意味での持続可能な発展を表しています。難しく聞こえるかもしれませんが、日本で昔から伝えられている近江商人の極意である「三方良し(売り手良し、買い手良し、世間良し)」の考え方によく似ていると言われています(売り手も買い手も満足し、さらに社会貢献もできるのが良い商売だという考え方)。

photo-09-2

3:牛の目モデル

これも、牛の目に似ているから名付けられました(そのまんま!)。現時点では、3つのモデルの中で、一番強い(持続可能な発展が一番期待できる)モデルだと言われています。なぜかというと、「経済も社会も、健全な地球環境あってこそ存在できる」という考え方に基づいて、「環境」に一番重きを置いていて、他の2つのモデルとは違い、「経済」や「社会」を「環境」の一部と見なしているからです。私の考え方に近いので、個人的に私はこのモデルが一番好きです。

photo-09-3

上記3つのモデルを見ると、「環境」・「経済」・「社会」のバランスや立ち位置の考え方の違いがよく分かると思います。3つ全てがきちんと機能してこそ、真の意味での持続可能な発展が実現できると言われています。どうすれば「私達の日々の営みは、健全な自然環境があってこそ」と意識していけるのか、そういった考え方も取り入れた活動の例や、私達一般人でもできることなどは、また別の回でお話したいと思います。

 
水谷公美 (みずたに さとみ)
 
オークランド在住。
兵庫県淡路島出身。
1995年阪神・淡路大震災に被災後、NZ移住。
動物・植物など自然が大好き。
日本語を教える仕事の傍ら、趣味が高じて理学準修士号(環境マネージメント)を取得。