僕は最初から「複数の事業を持とう」と計画していたわけではありません。人から頼まれて引き継いだ事業もあれば、「これ面白そうだな」と始めたものもありました。
ある日、オフィスに日本の大手中古車会社のリサーチ担当者が2人、突然やってきました。そして「NZに進出したいんだけど、手伝ってくれないか?」と切り出されたのです。その企業とは、それまで一度もやり取りをしたことがありません。本当に突然の話でした。どうして我が社に来たのかを聞くと「オークランドのカフェで働いていた日本人に、『NZで企業進出する場合はどこに相談すればいいの?』と聞いたら『それならNZDAISUKI一択です』と言われた」とのことで、そのままその足でやってきたそうです。その後、日本側の代表者とも話をして、なぜか僕がNZ側の社長をさせてもらうことになりました(笑)。
またある時は、「日本に帰国するのでうちの事業を買い取って欲しい」と言われたこともあります。基本、頼まれると断らない性格なので(笑)、気がつけばいくつもの収入の柱ができていました。
もちろん「赤字撤退」という憂き目を見た会社もありますし、未だに黒字転換できていないところもあります。それでも現在は、コミュニティサイト運営会社、留学会社、メディア会社、WEBサイト開発会社、イベントコーディネート会社から、自動車関連会社、電気工事関連会社、レストラン関連会社と、自分でも「ずいぶんバラバラだな」(笑)と思うくらいの会社や事業を保有しています。
当時は、それが「リスク分散になる」なんて深く考えていませんでした。ただ、目の前に来た面白そうな話に乗っていただけです(笑)。
それが結果的によかったのです。
一つに依存しないことが、会社を守った
新型コロナウイルスの感染拡大によってニュージーランドの国境が閉鎖され、留学生がゼロになるなんて、それまで考えたこともありませんでした。一時的に減るのではなく、国境が閉まって「来たくても来られない」。自分たちの努力だけではどうにもならない状況です。
先述したコミュニティサイト運営会社と留学会社は、実は同じ会社「NZDAISUKI.COM」内での別事業として運営しています。この事業のうち、国境閉鎖となって留学生が来られなくなった留学事業は売上はゼロどころか、キャンセルも相次ぎマイナス売り上げとなりました。
しかし、コミュニティサイト運営のほうは国境は関係ありません。ニュージーランド国内に日本人が在住し続けるかぎり需要はありました。そのため、留学事業のマイナスの補填をこのコミュニティサイト運営で補填することができました。
もしあのとき、留学事業だけに頼っていたら、会社がどうなっていたのか。今考えても怖くなります。「一つの事業や会社に依存しないことは、会社を守ることにもなるんだ」と実感しました。
「会社をどう大きくするか」から「会社をどう終えるか」へ
若い頃は、会社を作ることばかり考えていましたが、作った以上、いつか自分がいなくなる日も来ます。僕がずっと社長をやり続けるわけにもいきません。
20代、30代の頃は、会社の終わりなんて考えたこともありませんでした。明日の売上や来月の仕事を考えるだけで精一杯です。
でも、会社も20年を超えてくると、自分自身も当然歳を取ります。
「僕が70歳、80歳になっても、今と同じように全部の事業を見るのか?」
そう考えると、それは違うなと思うようになりました。
誰かに引き継ぐのか。事業単位で売るのか。会社そのものを売るのか。
会社を始めた頃には「入口」しか見ていなかった僕が、今は「出口」を考えている。
複数の、しかも異なる業種の事業を持つことが、会社の終わらせ方の選択肢を増やすのではないか。そう考えるようになりました。今なんとなく感じているのは、会社って作ることより、どう終わらせるかを考える方が難しい、ということです。
もちろん、事業が増えれば、それぞれの「出口」を考えなければならないので、むしろ大変になる部分もあります。それでも、一つしか道がないより、「これは誰かに引き継ぐ」「これは売却する」「これは自分で続ける」と、いくつかの選択肢を持てる方が僕には合っている気がしています。
これは、会社経営だけの話ではない
仕事を一つに絞らないと考えると、「会社員+副業」「日本の顧客+海外の顧客」「本業+小さなネット販売」「自分の労働収入+別の収入源」などいろんな形が想像できると思います。
つまり、収入が一か所からしか入ってこない状態を「当たり前」だと思わず、日本で会社員を続けながら、海外向けに小さな仕事を始めたっていいということです。
僕は「会社を辞めて起業しましょう」と言いたいわけではありません。むしろ、今の仕事を続けながら、もう一本、小さな収入の柱を作ってみる。それも立派な「海外という選択肢」だと思っています。金額は小さくてもいい。日本の会社からもらう給料とは別に、「自分で作った収入」が海外から入ってきたら、それだけでも見える世界は少し変わると思います。
もちろん、何でも増やせばいいわけではない
事業を増やせば、管理するものも増えます。力が分散することもあります。僕自身、すべてがうまくいったわけではありません。
順調にいっていた事業でも、自分たちではどうにもできない外的な要因によって、突然ビジネスが難しくなったこともありました。
それでも、一つの事業だけに会社の将来を預けるよりいくつかの柱を持っていたほうが、自分には合っていると思うようになりました。
「もう一つ」を持つことは、人生の選択肢を増やすこと
最初から、複数の事業を持とうと思っていたわけではありません。
頼まれたからやってみた。面白そうだからやってみた。そうしているうちに、気づけばいくつもの事業を持つようになっていました。
でも、25年以上会社を経営してきて、今は考え方が変わりました。
「もう一つ」を持つことは、お金を増やすことだけではなく、人生の選択肢を増やすことでもある。
今の会社を辞めなくてもいい。今の仕事をやめなくてもいい。
日本にいながら、海外に小さな収入源を一つ作ってみる。それだって立派な「海外という選択肢」です。
そして僕自身も、これから面白いチャンスが来たら、また新しい事業を始めるかもしれません。
……これ以上増やしてどうするんだ、という話もありますが(笑)。
現在は、これまたお誘いを受けましてコミュニティ作りのお手伝いをしています。これがビジネスになるの?と思っていたんですが、やってみると「AI時代の今、今後のビジネスは人と人の繋がりで売り上げを作って行く仕組みが重要なのでは?つまりコミュニティこそ売り上げの基盤」と思うようになってきました。
海外で何かやってみたい、日本にいながら海外を相手に仕事をしてみたい、海外移住や起業を考えている。でも「自分の場合は何ができるんだろう?」「英語ができないのにいいのかな?」と思っている方は、お気軽にご相談ください。
テリー野澤:terry@nzdaisuki.com
テリー野澤
大学卒業後、新卒で日本のコンピュータメーカーに就職。金融系システムエンジニアとしてプログラマー、上流エンジニア、ブリッジSE、顧客サポート業務を歴任して退職。
その後、ニュージーランドに渡航して起業。ニュージーランドの日本人コミュニティ基盤をオンラインで構築して運営している。そのNZDAISUKI.COMは、ニュージーランド国内の日本人向け最大のコミュニティサイトとなっている。
LINE:https://lin.ee/9dVD1au
