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第10回 海外では、日本の肩書きが通用しない?

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第10回 海外では、日本の肩書きが通用しない?

日本では、「〜〜会社の部長です」「〜〜大学を出ました」「〜〜業界で20年働いています」と言えば、ある程度その人のことを説明できます。

でも海外に出ると、それがほとんど伝わらないことがあります。

前回は「信用」について書きました。今回はその少し手前の話です。僕がニュージーランドに持ってきた「日本の肩書き」が、どうなったのか。正直に書いてみます。

最初は、肩書きが役に立った

以前も書きましたが、僕は新卒で日本の大手コンピューターメーカーに入り、金融担当のSEとして働いていました。

NZに来て最初の就職先ではIT部門で、WEBサイトの構築やサーバーの運用を任されました。

当時はビザの関係で、日本での職歴と関係のある仕事に就く必要がありました。そして日本での経歴はそれなりに高く評価してもらえたように思います。

この時点では、まだ日本の肩書きが「効いて」いたわけです。

NZでの信用が必要だった

その会社に2年勤めて、永住権を取得しました。ちょうどその頃、以前お話ししたとおり「ビジネスを買わないか?」という話があり、それに飛びついて会社を辞めました。ビザに縛られる必要がなくなったので、自分の好きなことをしようと思ったのです。

しかしそこで、壁にぶつかりました。

  • 銀行との取引
  • 取引先の開拓

どちらの場面でも、日本の大手企業に勤めていたという経歴だけでは、信用してもらえなかったんです。

起業直後はどうしてもお金が必要です。パソコン一つで起業できると考えていたのですが、意外といろんなところにお金がかかる。そこで、生活資金も含めた資金を確保するため、銀行に起業資金の融資を申し込みました。

ビジネスプランを提出し、自分の過去の経歴、持っている資格などを説明したのですが最終的には借り入れられませんでした。銀行担当者と最後にお話しをさせてもらったのですが、やはりニュージーランド国内での実績がないことが一番のネックだったようです。日本での収入や貯蓄額を説明しても、結論は変わりませんでした。

日本でどんなに信用のある会社に勤めていたとしても、NZでの信用はありません。僕は「ニュージーランドで事業実績のない、新米経営者」でしかなかったのです。

NZでの信用はゼロに近い形からのスタートとなりました。

僕は「虎の威を借る狐」だった

起業して、初めて気がついたことがあります。

僕はそれまで、「虎の威を借る狐」だったんだな、と。

虎はもちろん、日本の会社です。口にこそ出しませんでしたが、心のどこかで「自分は一部上場企業の出身だ」という、今思えばまったく意味のない誇りを持っていたように思います。

でも、狐から虎がいなくなったら、ただの狐です(笑)。

ところが、それがわかったとき、不思議と落ち込みはしませんでした。むしろ、ものすごく自由を感じたんです。

ビザの問題もない。

何のしがらみもない。

失敗しても、以前勤めていた会社に迷惑がかかるわけではない。もちろん、その代わり責任は全部自分に返ってくる。

すべて、自分の責任で行動できる。肩書きがなくなったということは、肩書きに縛られることもなくなったということでした。

「掲示板なんかで、ビジネスになるの?」

起業したきっかけは、第6回でも書いた、WEB掲示板の買い取りです。

IT技術がベースにあったので、掲示板なら構築もメンテナンスも自分でできると思って飛び込みました。大きく見ればITの延長なので、周りからそれほど奇異な目で見られたわけではありません。

ただ、「掲示板なんか買って、ビジネスとして成り立つの?」という声がよく聞こえてきました。

でも、僕にはその時点で、成功までの道筋が見えていたわけではありません。「自分なら成功する」という自信をもっているだけでした。

正直に言うと、根拠のない自信でした。でも、日本での経歴や肩書きに頼れない状況だったからこそ、「この掲示板事業を自分の力で育てていこう」と腹をくくれたのだと思います。

日本の職歴とは違う仕事を始める!

NZには、日本とはまったく違う仕事を始める日本人がたくさんいます。

わかりやすいのが日本食のお店です。日本人にとって身近な日本食も、海外ではビジネスの可能性があります。こちらでは「日本食はヘルシー」というイメージもあります。

例えば、日本では建築関係の仕事をしていた人がお弁当屋さんを始めたり、学校の先生だった人がラーメン屋さんを開いたりすることだって考えられます。

それまでの経験や肩書きとは違う分野で、新しい可能性を見つけることだってできるのです。40代、50代からでも、です。

もちろん、日本での経験がすべて無駄になるわけではありません。僕のITの経験も、最初の就職や掲示板の運営には確実に役立ちました。ただ、それが「自分を説明するもの」ではなくなる、ということなんだと思います。

何者でもなくなる、のではなく

今の僕は、自己紹介で「IT技術者」とは名乗っていません。NZで20年以上ビジネスをやってきた経験を活かして、「経営コンサルタント」と名乗っています。特に「海外でビジネスを興したい」「海外に進出したい」という方のお手伝いをしています。

日本にいたままだったら、ここまで違う分野の仕事をしている自分は、なかなか想像できなかったと思います。

海外に出ると、日本で積み上げてきた肩書きが、通用しなくなることがあります。

でもそれは、「何者でもなくなる」ということではありません。

「もう一度、何者にでもなれる」ということなんです。

今の肩書きに少し窮屈さを感じているなら、それを外した自分を一度想像してみてください。海外に出なくても構いません。その想像が、次の一歩のきっかけになるかもしれません。

海外で何かやってみたい、日本にいながら海外を相手に仕事をしてみたい、海外移住や起業を考えている。でも「自分の場合は何ができるんだろう?」「英語ができないのにいいのかな?」と思っている方は、お気軽にご相談ください。
テリー野澤:terry@nzdaisuki.com

テリー野澤
大学卒業後、新卒で日本のコンピュータメーカーに就職。金融系システムエンジニアとしてプログラマー、上流エンジニア、ブリッジSE、顧客サポート業務を歴任して退職。
その後、ニュージーランドに渡航して起業。ニュージーランドの日本人コミュニティ基盤をオンラインで構築して運営している。そのNZDAISUKI.COMは、ニュージーランド国内の日本人向け最大のコミュニティサイトとなっている。
LINE:https://lin.ee/9dVD1au