前回のコラムでは、ごはん6割、おかず4割の「一汁一菜」が、代謝を上げて痩せやすい体をつくる献立の基本だとお伝えしました。
でも、毎日きっちり自炊するのは大変ですよね。
「友達との外食はどうすればいいの?」
「疲れた日は、テイクアウトのフィッシュ&チップスで済ませたい…」
「せっかくならお洒落なカフェのケーキも楽しみたい!」
そんなふうに思うのは、自然なことです。そして、そうした食事を無理に我慢する必要はありません。
実は、友人との外食や好きなものを楽しむことは、ダイエットを長く、そして健康的に続ける上でとても大切なことなのです。
今回は、好きなものを我慢せず、ニュージーランドでの豊かな食生活を楽しみながら理想の体型を維持するための「食事のバランス術」についてお話しします。
「食べたら太る」は思い込み?ごちそうは“心の栄養”
レストランでの豪華なお食事、クリスマスのごちそう、カフェのフラットホワイトとチョコレートケーキ。こうした食事を「ダイエットの敵」と決めつけていませんか?
もしそうなら、今日からその考え方を少しだけ変えてみましょう。
こういった食事は、私たちの生活に彩りを与え、心を豊かにしてくれる大切な“心の栄養”です。友人や家族と食卓を囲む時間は、人生において思い出に残る素敵な時間ですし、海外生活ではここでしか味わえない色々な美味しいものを味わえる貴重なチャンスです。
ここで最も重要なのは、食べるときの「気持ち」です。
「あぁ、これを食べたら太っちゃう…」
「体に悪いものを食べてしまった…」
こんな罪悪感を持ちながら食べると、体はストレスを感じてしまい、消化吸収にも悪影響を与えかねません。せっかくの美味しい食事が、心と体への負担になってしまうのです。
逆に、「美味しい!」「楽しい!」「幸せ!」というポジティブな気持ちで食べれば、心は満たされ、体もそのエネルギーを前向きに活かそうとしてくれます。食べるときは罪悪感を手放して、目の前の食事を思いっきり楽しむ!これが、我慢しないダイエットの成功への第一歩です。
食べ過ぎた次の日は「8:2」のシンプルごはんでリセット
とはいえ、楽しい食事が続くと、体が重く感じたり、お腹周りが気になったりするのも事実。そこで重要になるのが、その後の食事での「リセット」です。
外食やごちそうを楽しんだ次の食事は、内臓を休ませ、体のバランスを整える食事に切り替えましょう。
おすすめは、ズバリ「ごはんと具沢山の味噌汁」。ごはんとおかずのバランスを「8:2」くらいにするのがポイントです。
お米をしっかり食べることで満足感を得ながら、脂質の少ない食事で胃腸を休ませます。野菜がたっぷり入ったお味噌汁は、ビタミン、ミネラル、食物繊維の宝庫。前の食事で摂りすぎた塩分や脂肪の排出を助け、腸内環境を整えてくれます。きのこや海藻を加えるのも、デトックス効果が高まるのでおすすめです。
ごちそうを食べた翌日は、「ごはんと味噌汁、あとは納豆や梅干しだけ」といった究極のシンプル食でOKです。豪華な食事のあとに質素な食事を摂る。「足して2で割る」ようなイメージで、バランスを調整していきましょう。
食事のバランスは「1週間単位」で考えよう
ここで心がけたいのは、1食1食で一喜一憂しないこと。「昨日は食べ過ぎたから今日は断食!」といった極端な方法は、かえって体を飢餓状態にし、次の食事で脂肪を溜め込みやすくするリバウンドの元です。
食事のバランスは、2〜3日、あるいは1週間という長いスパンで見ていきましょう。
「週末に外食の予定があるから、平日はごはん中心の和食にしよう」
「昨日はBBQでお肉をたくさん食べたから、今日は野菜たっぷりの味噌汁でリセットしよう」
このように、週単位で「ごはん6:おかず4」の黄金バランスがだいたい保てていれば大丈夫。この考え方ができれば、急な食事の誘いにも心から「Yes!」と言えるようになり、食生活がもっと自由で楽しいものになります。
日本の知恵「ケとハレ」で食を楽しむメリハリ生活
実はこの考え方、日本に古くから伝わる「ケとハレ」という暮らしの知恵そのものなんです。
- 「ケ(褻)」:日常、普段の日。体を整え、日々の活力の源となる食事(ごはん中心の質素な食事)。
- 「ハレ(晴)」:非日常、お祭りや行事など特別な日。心を満たし、人生を楽しむためのごちそう。
昔の日本人は、この「ケ」と「ハレ」を上手に使い分けることで、心と体の健康を保ってきました。
海外生活は、パーティーやBBQ、カフェでのお食事、など、「ハレ」の機会に恵まれています。その「ハレ」の食事を心から楽しみ、普段は「ケ」の食事で体を整える。このメリハリこそが、ニュージーランドでの生活を豊かにしながら、健康的でスリムな体を維持する秘訣なのです。
好きなものを我慢するダイエットは、もうおしまいです。
大切なのは、我慢ではなく「バランス」。
「ハレ」のごちそうは心から楽しみ、「ケ」のシンプルごはんで体をリセットする。このリズムを身につければ、あなたはもう食事で悩むことはありません。
友人との大切な時間も、自分の体も、どちらも大切にしながら、無理なく理想の自分を目指していきましょう!
Yuko
管理栄養士。ウェリントン在住。一汁一菜で、無理なくキレイと元気を叶える食習慣を発信中。
Instagram → @okome_yuchan