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第4回 医師・看護婦以外の医療に関わるプロフェッショナルや団体・組織

『日本人医師の目からみた、ニュージーランドの医療』の記事一覧へ

今回は、GPクリニックや病院以外で、ニュージーランドの医療に関与しているプロフェッショナルや団体などを紹介します。

薬局

ニュージーランドの薬局は、日本の処方箋薬局とよく似ています。

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患者さんは、GPや病院の医師から出された処方箋を持って、薬局へ行きます。

政府が補助している薬であれば、一つのアイテムにつき、$5で手に入れることができます。
(政府が部分的に補助していれば$5より少し高く、全く政府の補助がない薬はかなり高価になる可能性があります。)

薬局では、処方箋のいらない医薬品を買うこともできます。


また、薬局の薬剤師は

  • ワーファリンを内服している人のINRのチェックと、次の内服量や次回の検査の指示
  • リウマチ熱のリスクが高い人達(主に子供)に対する、咽頭培養のサンプル採取や、抗生剤の開始
  • インフルエンザワクチンの接種

などを行えます。

physiotherapist(理学療法士) / osteopath(整骨師) / acupuncturist(鍼灸師)

これらはプライベートのビジネスなので、受診料に政府からの補助はありません。

ただ怪我の場合は、ACCが診療費の一部をカバーするので、受診料は少し安くなります。

もちろんACCの補助を得るには、ACCに怪我があったことを申請しないといけませんが。
(これは理学療法士など、またはGPを受診して行ってください。)

すべての理学療法士などがACCと契約しているわけではないので、受診前に確認してくださいね。

optometrist(検眼士) / hearing clinic (聴力検査クリニック)

これもプライベートのビジネスです。
GPのクリニックでは、簡単な視力検査や聴力検査はしますが、精密な検査はできません。

視力や聴力に関して「何か異常があるかな」と思う方は、GPを受診する前に、optometrist やhearing clinic (補聴器を売っている街中のクリニックです)へ行って、精密な検査をしてください。
そこからのレポートを持ってGP受診をすると、診察や紹介などがスムーズに進みます。

救急車

救急車はSt. Johnという団体が受け持っています。
St.John は国やACCから経済的補助、寄付や利用者の支払いなどを収入源として運営されています。

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緊急時に救急車を呼ぶ電話番号は「111」

ニュージーランドで、救急車を呼ぶ時にかける電話番号は、警察や消防と同じで『111』です。
相手が電話に出たら、救急車が必要なのか、警察か消防かということを告げてください。

電話上で、トリアージュされ、それほど緊急性がなければ救急車の到着までかなり待つ場合もあります。

救急車の費用

日本ではまだ救急車の使用は無料だと思いますが、ニュージーランドでは費用の一部を払う必要があります。

ニュージーランドの公立の医療を無料で受けられる資格のある方

ニュージーランドの公立の医療を無料で受けられる資格のある方、
つまりニュージーランド国民、永住権保持者、2年以上のワークビザ保持者、が払う費用は、$98(GSTを含む)です。

これは、

  • 救急車を呼んだけれど、救急隊員が病院へ連れていく必要がないと判断した場合
  • 近所の人が心配して呼んだ場合

でも、払わなければいけません。

もしも怪我をした際に救急車が呼ばれたら、受傷後24時間であれば、ACCが救急車のコストをカバーしてくれます。

負傷した場合でも、受傷後24時間以降の救急車の使用については、ご自分で費用を払う必要があります。


健康状態が悪くて、何回も救急車を呼ぶかもしれないと思う人は、St. Johnのサポーターになって、メンバーシップ代の様なものを支払うことによって、この呼び出し料金を毎回払う必要がなくなります

個人では$50/年、2人で同じ住所に住んでいる場合は$65/年で2人ともカバーされます。
3人以上一緒の住所に住んでいれば、その家族全員を$80/年でカバーできます。

海外からの訪問者など、ニュージーランドの公立の医療が無料でない方

クックアイランド、ニウエやトケラウから来た人は、$98。
それ以外の人、つまり日本人であれば、費用は最低でも$800(GSTを含む)となります。

くれぐれも病院へのタクシー代わりでは使わないようにしてください。

Healthline

Healthline ヘルスラインは無料の電話医療サービスです。

これはニュージーランドの政府が運営しており、1日24時間利用可能です。
週末も電話が通じます。

電話番号は 0800 611 116です。


英語が得意でない方は、何語で相談したいか説明すればその言葉が話せる人につないでもらえます。
(または通訳を交えてくれます。)

相談した理由はGPにもリポートして送られます。

最後に

今回は、ニュージーランド在住者の健康に関与しているプロフェッショナルや団体の代表的なものをあげてみました。

その他の、医療に関わるプロフェッショナルや団体について質問がありましたら、私のブログ https://nzdoctor.net 経由で質問してくださいね。

 

次回は、英語が苦手な方に贈る、医師受診時の攻略法です。

野田のりこ (Noriko Noda)
 
日本で外科医として勤務後、2002年にNZへ移住。
NZでも医師免許を取得。現在General Practice 専門医として働く。
音楽やクラフトが趣味。
 
ブログ
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