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第2回 サイコセラピーって何?

『サイコセラピー : 閉じ込めた自分らしさを解き放つ生き方を育む』の記事一覧へ

世界には500以上のセラピーがあると言われています。大きく分けて、症状を軽減するための対症療法と、根本的な解決を促す根本療法とがあります。今回は、根本療法であるサイコセラピーの考え方や実践についてです。

頑張っても幸せになれない現実があるのは、なぜか?

どんなに幸せになる努力をしても、また同じ問題にぶつかり、苦しみのループから抜け出せない・・・。いろんな自己啓発やヒーリングをやってみたけど、うまくいかない・・・。

うまくいかない理由はいろいろあると思いますが、サイコセラピーの観点から見て、原因の1つとして挙げられることがあります。それは、悩みの本質にアプローチしていない、ということです。

40か国以上の人々をサポートした経験から分かったことは、差異を越えて共通する、人間の悩みの本質があるということです。悩みの本質に取り組めば、現実は確実に変わります。逆に、原因が分からない状態でやみくもに努力しても、空回りします。

幸せをつかむのは簡単!

幸せな人、そうじゃない人がいる1つの理由は、原理を知らない、ということがほとんどです。わたし個人として、またカウンセラーとして思うことは、原理を知って、それを応用する力さえつけば、幸せになるのは、簡単だと思っています!

あなたは、学習の5段階という言葉を聞いたことがありますか?

どんなことを学ぶにしても、誰もが、『無意識的無能』からスタートです。つまり、「知らないからできない」のです。幸せをつかむ正しいやり方やそのプロセスを知らないと、できなくて当たり前です。

悩みから抜け出せない時や、努力が空回りしていると感じる時、1番の理由は、原理を知らないがゆえに、【できることを知らない】ことがほとんどなのです。

悩みを生み出している真の原因を探る

わたしたちの人生では、様々な問題が起こります。それに対して、イライラしたり、落ち込んだりします。わたしたちは、悩みが自分を苦しめていると思っていますが、心理学では、悩みは表面に出た現象であって、もっと深層に、悩みを生み出している本当の原因があると見ます。

それは、「自分が自分のことをどう思っているか」ということです。ここに、「不幸せな思考」があると、すべてが問題として起こり始めます。恋愛、仕事、人間関係、劣等感など、すべてに共通することです。

幸せになれない人の多くが、親や周りの価値観、社会的な正しさ、常識のような「自分ではないもの」を、「自分自身」だと思って、機械的に従って生きています。または、自分を縛るものから自由になれず、もがいています。

本来の自分の思いではないものに従っていることで、自分らしさが分からなくなったり、才能を思う存分発揮できない状態になっているのです。これが、悩みを作り出している真の原因です。

見えない心の痛み

わたしたちは、今までに、たくさんの苦しみ、悲しみ、孤独、傷つきを味わってきました。過去からの心の傷や怒りによって生きづらさを感じています。

「もうこれ以上傷つきたくない」気持ちから相手に攻撃的になったり、「嫌われるんじゃないか」という不安から、自分の本音を素直に言えなかったり・・・。自分の力不足に不甲斐なさを感じて、一生懸命能力を高めたり、人の役に立ち、必要とされることで、認められようとしたり・・・。過去の傷ついたり、悲しかったり、腹が立ったりした経験から、このような考え方・感じ方のパターンができます。

「三つ子の魂100まで」というように、幼少期の体験は、わたしたちの成長やその後の人間関係のあり方に大きく影響します。特に子どもの時の親との関係は、安心感と信頼という命の土台にもなれば、大きな不安と恐怖のもとになることもあります。

子どもにとって、世の中で一番大切な人から「愛してもらえなかった」「認めてもらえなかった」という心の傷は、大人になってもずっと、潜在意識の中に残っています。

ところが、この痛みを感じるのはとても苦しいので、知らず知らずのうちに、自分で本当の気持ちを抑圧したり、ごまかしたりするようになります。心の痛みを感じないように感情を押し殺そうとする時、実はものすごいエネルギーを使っています。押し殺した感情は、慢性的な頭痛、胃痛、皮膚炎、高血圧、がんなど、体に反応が出たりすることもあります。

ずっと解決できない悩みやぶり返す辛い感情は、あなたが心の奥底の本当の気持ちを否定している、無視しているという、自分自身からのメッセージなんです。

サイコセラピーですること

わたしの目指すワークは、クライアントの思いを、その方の身になって「理解」し「共感」しようと努力します。

わたしのサイコセラピーのメンターである古宮昇先生が、「神との対話」の本から、このような言葉を紹介してくれたことがあります。

深く大切に思われている  
  そっと優しく育まれている  
  深く理解されている  
  完全に赦されている  
  うれしく祝福されている  
  完全に価値があると見なされている  
  純粋に宝物のようにあつかわれている  
  深く慰められている  
  愛情をもっていたわられている  
  完全に守られている  
  待ち望まれている  
  喜んで歓迎されている  
  そして、無条件に愛されている。』  

このような関係のなかで、初めてわたしたちは、ありのままの自分が受け入れられ、大切に思われていることを実感します。本音を話しても見下されないし、自分の身になって分かろうと努力してくれる。その中で、少しずつ、安心して心が開いていくのです。

すると、自分でも気づいていなかった気持ちや、言葉にできなかった本当の思いが、セラピストと一緒に分かり始めていきます。悩みの原因を作っていた感じ方や考え方、行動のパターンにだんだんと気がついていくんですね。

心の奥にある、抑圧、無視、否定されてきた、本当の気持ちを見つめ直し、ありありと感じ、言葉にするプロセスで、過去からひきずっている心の痛みや傷がゆっくりと癒えていき、ありのままの自分をもっと愛するようになります。

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サイコセラピーは、自分を深く知り、掘り下げるプロセスで、思いやりを持って、自分を育むような自分関係をつくることを目指します。それによって、自分自身や問題に対する見方が変わって楽になったり、人間関係が良くなったり、状況が好転したりします。現実の変化は、自分自身の心の変化の結果として起こることなのです。

ですから、根っこから自分を癒し、幸せをつかむには、自分の「外に」解決策を求めるのではなく、自分の「内に」目を向ける必要があります。どんな悩みにも振り回されずに、本来の自分らしさを解き放つ「あり方」を育むのが、サイコセラピーの醍醐味です。

 

次回は、異国に住むわたしたちに共通する悩みについて、お話します。

 
9月1日(土) 心理学の観点から、日本にいると気づかない日本人の特徴と長所についてセミナーを行います。
時間は、11:30am-12:30pm
会場は、Epsom Community Centre Auckland です。
詳しくは、seikoshirai.com/seminars をご覧ください。
 
Seiko Shirai (Registered Psychotherapist)
 
2002年にニュージーランドに移住。
現在オークランド在住。
サイコセラピーの素晴らしさを一般の人々に届け、より多くの方々が、喜びに満ちて生きる世界を作りたいと願い、活動中。
趣味はマインドフルネス、フレンチホルン、スパ。
 
seikotherapies@gmail.com
seikoshirai.com (English)