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第7回 学校に求められることは何でしょう?

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学校に求められることは何でしょう?

そもそも、なぜ子供は学校に行く必要があるのでしょう?。漠然とし過ぎていて、中々簡潔に答えるのが難しい問題ですね。敢えて答えを見つけようとすると、人生の次のステージに進むための準備をする、その年齢に相応しいレベルに子供を成長させるため、ではないかと考えます。小学校は中学校に進むための準備であり、中学校は高校に進むための準備であり・・・。AICのような高等学校であれば、次のステージである「大学」に進むため、もしくは社会人として旅立つための準備をするのが大きな目的の一つではないかと思います。例えば大学に進むことを選んだとしましょう。大学は一般的に専門的な勉強をすることから、将来の夢のためにある程度的を絞って選ぶ必要が有りますね。ただ、高校に入る時期の子供が、そこまではっきりと将来の夢をはっきり持って、実現のための道を明らかに持つことは難しいのが一般的ではないかと思います。まずは高校で色々な勉強をして、これもまた抽象的な表現ですが、「夢探し」、「自分探し」の時間を持つと共に、人間としての自分を高めて行く、これも高校生活の大きな目的の一つではないかと思います。

ここニュージーランドにも私立学校がたくさんあります。私が勤務しているAICも私立学校です。私立学校であるということは、生徒の保護者から学費という対価をいただいて、教育というサービスを提供する。あえて分類すると、サービス業ということになるでしょうか?。サービス業として事業が成立しているということは、そこに「需要」が存在するはずです。この場合の「需要」は、生徒や保護者が学校に何を求めているのか、ということが重要になります。例えばニュージーランドの私立学校は、どこも長い歴史があり、施設も立派な学校が多いように思います。学校内に室内プールがあったり、立派な劇場があったり・・・。そのような長い歴史もあって、有名で、施設も立派な学校で子供の教育を受けさせたい、というのはとても自然な選択ですね。また、ニュージーランドでは、家系を通じて、同じ私立学校に通わせる、という傾向が強いように思います。お父さんと同じ、おじいちゃんと同じ、というように、ですね。

では、AICが顧客に提供できるサービスは何なのか?。他の学校と何が違うのか?。AICには、他の私立学校のような立派な設備はありません。そこで導き出した答えが、IBプログラムを使って高い水準の教育を提供し、「自立と貢献」の出来る人間に育てること、それが主なサービスではないかと思います。世界中から集まった生徒、それからNZで育った生徒、それぞれ違う価値観を持った生徒と交流し、切磋琢磨して自分を高めて欲しいのです。AICに入学したのはいいけど、アジア系の生徒ばかりでがっかり、という声があるのは事実です。ただ、肌の色って、そんなに重要でしょうか?。繰り返しになってしまいますが、それぞれの学校にはそれぞれ違った役割があり、生徒や保護者が目指すゴールも異なります。最終的に生徒の夢を実現させるのが一番重要であり、生徒の人種などは大きな問題ではないと思います。

IBプログラムを履修するのは本当に大変ですが、AICの生徒は実によく努力しています。AICにとって、生徒が世界中の有名大学に合格することは当然重要です。ただ、生徒はここで学校生活を送ることにより、人間的にも着実に成長して欲しい。それは進学実績以上に重要であり、学校として提供すべきサービスの一環であると思います。

AICアクティング・エクゼクティブ・ディレクター 中村敬志

1970年、島根県生まれ。 13年間の地方銀行勤務を経て、広島県に本部を置く教育関連企業に転職。 2006年より、Auckland International College(AIC)に勤務。

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