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第9回 成功へのカギ(2) - 優秀なアソシエイト

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クライストチャーチの試練を超えて

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09-032011年2月22日にカンタベリー地方を襲ったマグニチュード6.3の大地震は、1979年に南極のエレバス山に墜落したニュージーランド航空機事故に次ぐ、史上まれに見る大惨事となりました。この地震により破壊されたクライストチャーチの市街の様子は、ニュージーランドに住むの人々にとって永遠に忘れられない光景となりました。この地震によって多くの歴史ある建物が崩れ落ち、邦人28人を含む185名の尊い命が奪われました。

この時には、日本もニュージーランドに国際緊急援助隊を派遣したり、支援物資や資金を提供してくれるなど、多くの支援を送ってくれました。このことについては、ニュージーランドで日本と深いつながりを保ちながら、日本食ビジネスを展開する者として、今でも心から感謝しています。そしてこの地震のわずか3週間後に、日本では東日本大震災が発生しました。日本の大震災では、私も宮城県在住の親しい友人を失うという悲しい出来事を経験しました。このクライストチャーチでの経験と重なり、東日本の震災も、とても他人事とは思えませんでした。

09-02 当時St.Pierresは、クライストチャーチ市内に3店舗、郊外に2店舗を展開していました。そのような中でスタッフが誰一人として大きな怪我をしなかったことは、不幸中の大きな幸いであったと思います。しかしながらクライストチャーチの5店舗のうち2店舗は全壊し、その後、二度と修復されることはありませんでした。この地震は、ニュージーランド史上と同じく、私たちのビジネスにおいても前代未聞の大変な出来事だったと思います。平和な日々に突然ふりかった、大きな試練でした。

クライストチャーチのヒーローたち

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この惨事のなかで、St.Pierresクライストチャーチのアソシエイト(私たちはスタッフをこのように呼んでいます)が見せてくれた団結力とチームワークは、感動と尊敬に値する素晴らしいものでした。20年以上に渡りSt.Pierresの主要スタッフとして働いている大沼ひろみ(写真中央)は、今では私たちのビジネスパートナーとして北島のヘイスティングスの店舗を運営してくれている日本人の男性です。カンタベリー地震の際、ひろみは、サウスシティー店マネージャーおよびクライストチャーチエリアのリージョナルマネジャーを兼任していました。地震の直後、彼はクライストチャーチのアソシエイトのことを真っ先に考え、この非常事態の中でも的確な判断を持って、柔軟かつ適切な対応をしてくれました。

アソシエイトの多くは、自分たちの住居が破壊されたり住居が避難対象地区となり、家族と共に家に戻れない状態でした。水道や電気といったライフラインも甚大なダメージを受け、とても家族を残して働きに出られるような状態ではなかったのです。ひろみを筆頭とするクライストチャーチのチームは、多くの課題を抱えながら限られたマンパワーで最大限の働きをしてくれました。自分たちの家族のことだけでも大変なこの時期に、彼らは知恵と力を合わせ、比較的被害の少なかった店舗を再開させ、被災地でスシの販売を続けてくれたのです。供給される水も少なく、電気も通らない店舗で、彼らは被災地の人々にスシと味噌汁を提供し続けるという偉業を成し遂げてくれました。

ひろみをはじめ、彼のチームのタカ、ケイ、ミカ、カズヨ、ヤヨイ、マサヤ、トニーや私達のアソシエイツ…彼らはSt.Pierresだけでなく、クライストチャーチにとっても真のヒーローでした。そして、このヒーローたちは6年経った今でも、全員St.Pierresの大切なアソシエイトとして、日々すばらしい仕事を続けてくれています。心からありがとう。

Nick Katsoulis
St. Pierre’s International Ltd.共同オーナー兼経営者。
1984年から兄弟と共にビジネスを始める。
ビジネスで道を極めることを目指し楽しむ。
 
https://facebook.com/StPierresSushi/
stpierres.co.nz