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第1回 波瀾万丈のスタート

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ニュージーランドでお寿司といえば、"St.Pierre’s" その始まりや名前の由来などについてご紹介します。

将来性のあるビジネスコンセプト

01-01-St Pierres-investor 大学でビジネスを専攻した私たちカツォーリス兄弟は、大学卒業後の進路や就職先の将来性ついて悩んでいました。1982年のある日兄弟で悩みを相談していたところ、父親が営んでいた魚屋のをベースに「良質な商品を手頃な価格で提供する」というコンセプトを掲げ事業を運営すれば将来性を見いだせるのではないか、と考えはじめました。また、父親の仕事は高校や大学に通いながらも手伝っていましたので、これが唯一私たちが知っている仕事でした。

こうして私たちは、父親の車を借り、良質な商品を提供してもらえるサプライヤーを探すツアーから始めることにしました。このツアーでは、ニュージーランド各地を周り15社以上のシーフードホールセラーや水産加工業者を訪ねました(ワーキングホリデーを楽しむ人達のNZラウンドツアーみたいなものです!)。このロードトリップの間に更にコンセプトを話し合いました。ついに新しいコンセプトの店として、「St.Pierre’s − the world’s finest seafoods(世界一のシーフード)」というスローガンを掲げることにし、父親のビジネスを引き継ぐを決めました。

ちなみに、St.Pierre’sという名前はJohn Doryのフランス語で、ニュージーランドで最高級の魚である「マトウダイ」を意味します。

初めてのビジネスエクスペリエンス

01-02-St Pierres-shop

一号店は、ウェリントンのLambton Quayにできた新しいショッピングモールの中に出店することにしました。ニュージーランドではショッピングセンターの建設が始まったばかりの頃でしたので、若くて経験もない私たち兄弟にとっては、ここへの出店はある種の「賭け」でもありました。

また、私たちが提供したいと思っている洗練されたシーフードを実際にお客様が求めているかどうかも未知数でしたが、この新しいお店は、これまでの魚屋とは違い他では手に入らないようなユニークな商品を提供していく必要がありました。店にはサーモン、車エビ、巻き寿司、それにフランスから輸入したカエルの足まで並んでいました。オープニングの当日は、ショッピングモールの宣伝の効果もあり、私たちの店にもお客様が押し寄せました。開店から2週間は非常に忙しく夜も眠れない日々が続きました。私達は、この事業のコンセプトが大当たりし、これで事業の将来も安心と思いました。しかし、数ヶ月後にはショッピングモールの目新しさも冷め、客数が次第に低下し、それに伴い売上が減り売れ残りが増えるという赤字のスパイラルに陥ってしまいました。こうして私達は、ビジネス資金をどんどん失っていきました。

何にフォーカスするか?

01-03-St Pierres-top shop

当時ニュージーランドでは週5日しか営業しないというのが慣習でした。しかし半年後、土曜日も朝9時から昼の12時半までお店を開けることにしました。私たちは切羽詰まっており、ビジネスの転換を迫られていました。このまま赤字経営が続けば、全てを失うことになります。そこで私たちは「最高のサービスを提供する」という方針を打ち出すことにしました。(当時のニュージーランドのサービス業の質は今とは比べ物にならないぐらい低レベルで、注文をしたら店員に舌打ちされる…なんていうことも頻繁にありました。)この「最高のサービスを提供する」という方針は、アイデアであり、プランであり、ゴールでもありました。そしてこの方針を、まだ店に残っていた数人の店員にも対して、徹底して教育、共有していくようにしました。

そしてその3ヶ月後、私たちは大きなサプライズを受け取ることになります。St.Pierresが、ウェリントンの「TOP SHOP」コンペティションで、市民と審査員により「ベストショップ」に選ばれたのです。一夜明けた朝、私たち兄弟のことは、新聞の記事に掲載され、ラジオのニュースで紹介され、テレビでも報道されました。この賞によりビジネスは救われ、人々はSt.Pierresについて語り始めるようになったのです。

 
Nick Katsoulis
St. Pierre’s International Ltd.共同オーナー兼経営者。
1984年から兄弟と共にビジネスを始める。
ビジネスで道を極めることを目指し楽しむ。
 
https://facebook.com/StPierresSushi/
stpierres.co.nz