南島の真ん中にある“小さな拠点の町”トワイゼルを紹介
トワイゼルってどんな町?
「トワイゼルってテカポ?」——引っ越して以来、何度も聞かれるこの質問。
多くの旅行者がトワイゼルとテカポを同じ町だと思い込んでいます。でも実際には、車で約45分離れた“隣町”のような関係です。暮らしてみると、山や川に囲まれた自然の豊かさ、人の温かさ、そして夜空の美しさに魅了されます。
私自身、もともと「テカポに一生住みたい」と思い、ワーキングホリデーで来たのがきっかけ。長年テカポで暮らしていましたが、永住権を取得したのを契機に、自分の将来や住む場所について改めて考えるようになり、いつしか「もうテカポにこだわらなくてもいいかも」と感じ、思い切ってトワイゼルへ。
病院やレジャー施設、飲食店などが揃っていて便利なのに、自然と調和している——そんな住みやすさが、この町の大きな魅力です。
町の成り立ちと自然環境
Twizel(トワイゼル)は、ニュージーランド南島のほぼ中央、人口約1,800人の小さな町。1968年に水力発電の建設作業員のために造られ、現在はマッケンジー地区最大の拠点として発展しています。
町の名前は「トワイゼルリバー」(Twizel River)に由来し、この川名はイギリス・ノーサンバーランド州にあるトワイゼルブリッジ(Twizel Bridge)から取られたもの。その言葉のルーツは、古英語で“川の分岐点”を意味する “twizla”です。
町の周囲には人工的に作られたルアタニファ湖や運河が広がっています。ルアタニファ湖ではカヤックや釣り、湖畔の散策などを楽しむことができます。
背後には壮大な南アルプス連峰がそびえ、町の周囲にはハイキング用のトラックも多数あります。また、サイクリングではAlps2Oceanトラックの一部としてトワイゼルが親しまれています。さらに、トワイゼルは世界有数の「アオラキ・マッケンジー国際星空保護区」の一角に位置しており、星空観察にも最適です。

アクセスと町の規模
トワイゼルは、テカポから車で約40分、マウントクックから約45分、クイーンズタウンから約2時間半、クライストチャーチからは約3時間半です。
インターシティーバスが主要都市から運行しており、公共交通でのアクセスが主流です。家族旅行やロードトリップを楽しむ方には、レンタカーでの移動も便利です。
町の中心部にはスーパー、ガソリンスタンド、郵便局、飲食店などがコンパクトにまとまっており、滞在中の買い物や食事にも困りません。

旅行者にとっての“ちょうどいい町”
「マウントクックで天気が悪くて何もできなかった」「テカポで宿が取れなかった」──そんな時、トワイゼルは頼れる存在です。
宿泊施設は比較的手頃で、広大なハイカントリーの自然を生かした一軒家タイプのコテージやロッジが点在。家族やグループ旅行の連泊にぴったりで、山や川、星空を眺めながらゆったり滞在できます。アウトドアや星空観察を楽しみつつ、落ち着いた滞在ができるのが魅力です。
観光地の中継地点というより、「暮らすように旅する」拠点として、訪れる人に心地よいバランスを与えてくれる町です。

Wanderer
ニュージーランド・トワイゼル在住のフリーランス・星空ガイド。現地生活や旅行者向けスポット、自然や体験の楽しみ方を発信しています。
https://www.instagram.com/zenstargazing/
