はじめに
NZのBarやスーパーに行くと、数多くのビールがあり、自分の好みのビールがどれなのかわかりづらいですよね。また、ラガーやピルスナーといったビールの種類を聞いても、どういう味なのか想像できないことも多いと思います。
今回は、NZビールの種類としてポピュラーなラガー、エール、ピルスナー、IPAの4つの用語を整理します。加えて、NZで人気のビールをいくつかピックアップして味を解説したいと思います。皆さんのビール選びの参考にしてくださいね。
ラガーとエールの違い
ラガーとエールは、ビールの二大カテゴリーであり、発酵方法や風味においていくつかの違いがあります。
1. 発酵方法と温度
ラガー: 下面発酵で、低温(約7-13°C)で7〜10日発酵させます。この方法により、クリアでスムーズな味わいが生まれます。発酵中に酵母は底に沈み、低温でゆっくりと発酵が進むため、不純物が少なく、クリーンな風味が特徴です。
エール: 上面発酵で、比較的高温(約15-24°C)で3〜4日発酵させます。酵母は発酵中にビールの上部に浮かび、高温で活発に発酵が進むため、フルーティーで複雑な香りや味わいが生まれます。ラガーよりも古くから歴史のある製法になります。
2. 風味とスタイル
ラガー: クリーンでさっぱりした味わいが特徴で、ホップの苦みとモルトの甘みがバランスよく調和したビールが多いです。代表的なスタイルには、ピルスナー、ヘレス、ドルトムンダー、ボックなどがあります。
エール: フルーティーでアロマティックな風味が特徴です。さまざまなスタイルがあり、ホップの風味が強いIPA(インディア・ペール・エール)や、モルトのコクが感じられるポーターやスタウトなどがあります。
以上がラガーとエールの違いになりますが、ホップ・麦の種類や、追加されたスパイスによって、さっぱりとしたエールやフルーティなラガーもあったりするので、以上の特徴は一つの参考として考えてください。
ピルスナービール
ピルスナービールは、ラガービールの一種で、チェコのプルゼニ(Pilsen)市がその発祥地です。1842年、Pilsenの醸造所でドイツ人の醸造家ヨーゼフ・グロールが最初に醸造したとされています。このビールは、その透明で金色の外観、爽やかな味わいが特徴です。ピルスナーの名前は、このプルゼニ市のドイツ語名「Pilsen」に由来し、このスタイルのビールが初めて醸造された場所を称えています。
実は日本で発売されている缶ビールのほとんどがピルスナービールの一種であり、高温多湿な日本の夏の気候にマッチした日本人好みのビールとなっています。
IPA: エールの一種と名前の由来
IPA(インディア・ペール・エール)はエールビールの一種で、その名前の由来は18世紀に遡ります。イギリスからインドにビールを輸送する際、長い航海中にビールが劣化しないようにするために、ホップの量を増やし、アルコール度数を高めたことが始まりです。ホップには天然の防腐効果があり、この増量がビールの品質を保つ役割を果たしました。その結果、非常にホップの香りが強く、苦みが際立つビールが誕生し、これが「インディア・ペール・エール」と呼ばれるようになりました。IPAは現在、特にクラフトビールの世界で人気があり、さまざまなホップを使用して独特のフルーティーなアロマや風味が楽しめるスタイルとなっています。
ニュージーランドの人気ビール5選
Steinlager
クリーンで爽やかなラガービール。ニュージーランド産ホップ「ネルソン・ソーヴィン」を使用し、フルーティーでシトラスの風味が特徴。
Tui
ニュージーランドの伝統的なラガー。ラガーらしい軽やかな飲みやすさと、ホップの苦みとカラメルモルトの甘みがバランスしている。
この中では一番NZでよく見かけるビールかもしれません。
Speight’s Gold Medal Ale:
ダニーデンに醸造所がある、クラシックなニュージーランドのエール。モルトの甘みとほのかなホップの苦みが調和し、飲みやすさが際立つ。
エールでありながら、ラガーよりなさっぱりな味わいだと個人的に思います。
Bach Brewing/Kingtide Pacific IPA
トロピカルフルーツのアロマが豊かなIPA。ニュージーランド産ホップを使用し、フルーティーな風味がありながらしっかりした苦みが後味に残ります。
Emerson's Pioneer Range Pilsner:
ニュージーランドの定番、エマーソンのピルスナー。
ネルソン産のリワカホップの風味を美しく表現していて、柑橘類やパッションフルーツの香りと風味が際立つフルーティーな味わい。
日本人になじみのあるピルスナービールで筆者のお気に入りの一つ。