【お金を出しても買えない?!】
保険という商品はごくまれにお金を出しても買えない、つまり加入できない場合があります。例えば、頻繁に交通事故を起こしている人は自動車保険に入れない可能性があります。保険会社を変えて加入しようとしても、どの保険会社も必ず事故暦を問うので、そこで引っかかってしまいます。お金を出してもガソリンが買えないとかパンが買えないということはないので、「買えない(加入できない)」のは保険特有です。
【クライストチャーチの例】
もっと端的な例が今のクライストチャーチです。2度の大地震を経て甚大な被害を受けてしまったため、保険金請求も未曾有の額になり、今はどの保険会社もクライストチャーチを中心とするカンタベリー地方で新規の住宅・家財保険の引き受けを停止しています。これは保険会社の決定というより、「保険会社の保険会社」である再保険会社の決定です。どの保険会社も引き受けた保険のリスクを1社で負うことができないため、再保険会社を使ってリスクを分散します。再保険会社が新規を受け付けないと、保険会社も新たに保険を売ることがでないのです。
【拡大する地震リスク地域】
日常生活に影響しないので、問題にされることがほとんどありませんが、実はホークスベイからクライストチャーチまでのNZの東側のかなり広範なエリアで、保険会社が商業不動産に対する保険の引き受けを停止もしくは制限しています(耐震建築になっているかなどの条件次第)。商業不動産は国の自然災害補償機関EQC(地震委員会)の対象にならないため、保険会社が全てのリスクを負います。これも背後に再保険会社の決定があり、保険会社だけでは全てのリスクを負いきれなくなっています。
【いずれは住宅も?】
今はまだカンタベリー地方以外、新規の住宅保険を引き受けないという動きはありませんが、もしもある程度の大きさの余震で被害が拡大した場合、現在商業不動産の規制を始めているエリアで住宅保険の新規加入の見直しをするなどの動きがあるかもしれません。戦前の建物やレンガ造りなど、クライストチャーチで被害の大きかった建築様式を除外するなど、何らかの条件を付けてくることも考えられます。これはあくまでも憶測で、現実にはなってほしくないのですが、「保険には入れなくなるリスクもある」という点だけはお伝えしておきたいと思います。
【加入者はぜひ継続を】
その一方で、すでに加入している場合はクライストチャーチでも引き続き補償の対象です。カンタベリー地方にお住まいだったら、「保険料が値上がりしたから」と保険の加入をやめてしまわないようご注意下さい。やめてしまったら、気が変わって加入しようとしてもいつできるかはわかりません。これは家財保険も同様です。
【カンタベリー地方でも住宅保険に入れる方法】
カンタベリー地方で家を購入する場合、売り手が住宅保険に入っていれば、ほとんどの場合で買い手がその保険会社での加入を継続できます。これは保険会社を問わず、現在業界全体で行われていることです。ですから、「家を買っても保険に入れない」と諦めずに、不動産屋を通じて売り手が保険に入っているかどうかを購入前に確認し、家の引渡し日に合わせて保険の名義人を売り手から買い手に変更する手続きをおこなうように保険会社と事前に話をしてみて下さい。
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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