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第130回  地震と損害保険-住宅・家財保険編 

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クライストチャーチの大地震から1ヶ月が経ちました。1日も早くすべてが平常に戻るよう願っています。オークランドにいながらも、今回の地震は決して遠い話ではありませんでした。何人かのお客様は現在、政府機関であるEQC(地震委員会)を通じて現状復帰の手続きに入っています。
 
 間接的にでも地震を体験してみて思ったことは、奇跡的にも死者が出なかったこととEQCがあることで、被害者が非常に落ち着いているように感じました。ただ、これが街の規模が違うオークランドとなったら話は違ってきそうです。
 
 今回の地震を教訓に万が一のときのために、
1)家族間で携帯電話以外の連絡方法(職場や親しい人の家の電話番号の確認)や集合場所を決めておく
2)貴重品の保存場所の確認
3)懐中電灯、消火器、ボトル入りの飲料水の常備
 などを検討しておくことは無駄にならないと思います。いざとなったら携帯電話が使えないという状況は、今回といいサモア大地震のときといい全く同じ状況でした。
 
 さて、保険の話になりますが、現在ほとんどの保険会社がチャーチとその周辺の地震被害があった地域で、新規の住宅保険加入に対して、地質調査レポートや建造物に対する専門家によるレポート(ビルダーズレポート)の提出を求めています。
 
 これは保険会社の決定というよりも再保険会社の決定なので、各保険会社とも横並びの対応になっています。臨時の特別措置ですから、いずれは解除されるでしょうが、それがいつになるのかは予見できない状況です。
 
 今はチャーチに家を買ってもそのままでは住宅保険に入れないということなので、ご注意下さい。住宅ローンを組んで購入した場合、ローン期間中に火災などが起きた場合、通常は保険でカバーしますが、保険がない場合は自腹で現状復帰しなければならなくなります。いくら自分の家でもローン返済が終わるまでは銀行の担保なのでそのままにはできません。全焼してもローンは残ります。
 
 ほとんどの銀行はローンを組む時に住宅保険の加入を条件にするので、無保険のままローンを組んでいるケースはまれだと思いますが、ときどきそういうケースに遭遇します。また投資家でローンを組まずに現金で購入し、そのまま保険なしで賃貸に出しているケースもあります。今回の件でお分かりかと思いますが、NZでの不動産のリスクは火災や水害だけでなく、地震も含まれるということです。
 
 どうしてもこの時期にチャーチでの不動産購入が必要な場合は、仲介業者、弁護士、ローンを組む金融機関とよく話し合い、必要なレポートが間違いなく入手でき保険に入れることを再確認し慎重に臨まれた方がいいと思います。
 
 家財保険もチャーチ周辺での新規加入に対して、ほとんどの保険会社が条件を付けています。例えば「加入後21日間以内に発生した地震による被害は対象としない」というように、余震を想定した対応です。家財保険に入っていれば、地震も含め自然災害に遭った場合、上限2万ドルまでEQCが補償します。住宅はこの上限が10万ドルです。
 
 いずれの保険でも不足分を保険会社が補償する仕組みになっています。ここでも何度かお話していますが、保険に加入していなければEQCの救済の対象にならないので十分にご注意下さい。
 
 NZに不動産を持ちながら住宅保険に入っていなかったり、自然災害だけでなく盗難保険としても心強い家財保険に加入していない場合は、ぜひこれを機に加入を検討してみて下さい。
(今回の地震被害地域以外での新規加入は通常通りですが、詳しくは保険会社にご確認下さい。)

 

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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