前回に続いて投資物件の保険の話をします。今回は家財保険編です。日本の方には聞き慣れない保険かもしれませんが、最も近いのが盗難保険です。しかし、それだけではなく、家の中の家具や家電が偶発的に発生したなにかで壊れたり使えなくなった場合もカバーする心強い保険です。詳しくはリンク先で取り上げているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
第82回 ただの盗難保険ではない家財保険-家財保険編
http://www.nzdaisuki.com/column_insurance/detail.php?issue=82
「うちの賃貸物件は家具付きではないから関係ない」という家主さんもいるかと思いますが、台所には食器洗い機、冷蔵庫、オーブン、ガス台といった最低限の家電や備品が付いていませんか。
例えば暴風雨で屋根瓦の一部が飛び、雨漏りがしてカーテンに大きなシミができてしまったとします。この場合、屋根の修理は住宅保険、カーテンのクリーニングもしくは付け替え(保険会社の査定次第)は家財保険の対象になります。出火の場合も同様で、焼けたり消火作業で使えなくなった家具や備品は家財保険の対象です。基本的に壁や天井など住宅の一部として動かせないものが住宅保険、動かせるものが家財保険の対象です。
さて、賃貸物件が空き巣に入られ、家主、借家人の所有物双方に被害があった場合、どうなるでしょう。
1)空き巣に入られた借家人の責任
2)防犯アラームを付けていなかったなどの理由で家主の責任
3)所有者それぞれの責任
当事者間ではいろいろあるでしょうが、保険的に言えば3)です。家主、借家人とも家財保険に入っていれば、それぞれが自分の保険会社に被害に遭ったものを申告して保険金を請求して終わります。
仮に家主が保険に入っておらず、借家人だけが保険に入っていた場合はどうでしょう。この場合、家主の所有する家具や家電は「借家人の管理下にあった」として、借家人の保険で補償される場合もありますが、必ず補償されるとは限りません。この点に関してはどこの保険会社も明文化しておらず、グレーゾーンになっています。あくまでも「所有者が保険をかける」ことが基本になっているのでご注意ください。
たまに聞く話で、賃貸物件の契約時に家主が借家人に家財保険に入るよう求め、家主の所有物も借家人に補償させようとするというのがありますが、以上のような理由で何かあったときに必ず補償されるとは限らないため、決してお勧めできる方法ではありません。
賃貸物件は自宅とは違い運用資産の一部です。収入を得るためにはそれなりに出費もかかります。その代わり住宅ローン金利、保険、修繕費はコストとして計上できます。長期的な運用効率を高め、資産価値を保全していくためにも保険や修繕費は極端に惜しまない方が効率的だと思われます。保険料を低く抑えたければ、免責を高めに設定するだけでも支払い金額が変わってきます。ご検討下さい。
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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