オークランドはすっかり春めいてきました。名前は良く知りませんが綺麗な花があちこちに咲いていて新しい季節の到来を感じます。先週は「ダフォディルデー」がありました。日本の「赤い羽根」のようにＮＺでは良く知られた募金活動で、みんなの胸元で咲く水仙の花が綺麗でした。（さすがにこれは名前がわかります）
 
　募金の主催はニュージーランドがん協会で、水仙は協会のシンボルです。がん協会はがん患者や家族への支援機関で、がん予防の啓蒙活動も熱心に行っています。がんにならない限り縁がないのは外国人もキーウィも同じことですが、突然がんを宣告され居ても立ってもいられなくなった患者や家族の駆け込み寺的存在です。特定の支援機関の紹介（乳がん支援などたくさんの団体があります）、カウンセリング、がんに関する書籍や専門家の紹介、国から受けられる保障の紹介、他のがん患者とのネットワーク作り、痛みや治療中の脱毛への対処など、さまざまなサポートが受けられます。
 
　もちろん、がん協会に駆け込まなくてすめばそれに越したことはないのですが、この国では3人に1人ががんを発症している計算で、何はともあれ予防に努めたいものです。統計によればがんの原因の約80%は生活習慣か環境に基づくもので、特に喫煙はがん死亡原因の25%を占めています。他にも、食習慣、飲酒、日焼けが潜在的な原因として指摘されています。
 
　1991年から2000年の10年間でがん患者は44.5%も増加しており（法整備による届出の厳格化も増加の一因）、死亡者も12.2%増えています。がん発症率のトップ3は、
男性①前立腺がん②大腸・肛門がん③気管支・肺がん
女性①乳がん②大腸・肛門がん③皮膚がん
で気になる死亡率は、
男性①肺がん（22%）②③前立腺がん・大腸がん（ともに14%）
女性①乳がん（18%）②肺がん（16%）③大腸がん（15%）
となっています。ちなみに日本人に多い胃がんは男性で5%、女性で4%です。
 
　女性の乳がんは発症率も死亡率も1位でその深刻さがしのばれ、肺がんは発症率の割に死亡率が高く喫煙の影響がうかがえます。死亡率が低いため他のがんに比べ比較的問題視されない皮膚がんもＮＺ特有のものとして、やはり軽視できないと思います。がん協会が出している日焼け止めクリーム（青いボトルで水仙の絵がついています）はあまりベタつかず使い心地もいいので、これからの季節の外出時には大人も子どももぜひひと塗りすることをお勧めします。
　皮膚がんに関してはすでにコラムで取り上げていますので下のリンクからどうぞ。
http://www.nzdaisuki.com/column_insurance/detail.php?issue=61
 
　保険の面から見た場合、医療保険では病気の発症前から加入していれば、がんに限らず加入を続けている限り治療費が保険の対象になります。特にがんのような大病で、公立病院での長い順番待ちを覚悟するか、私立病院での高額治療を覚悟するかの選択を迫られる場合、保険でカバーできることはご本人にもご家族にも心強いと思います。
 
「がん家系なのでがん保険に入りたい」というお問い合わせを受けることもありますが、この国の医療保険は保険対象になる病気である限りすべてが保障の対象となります。やはりここでも健康な、特定の病気にかかっていないうちのご加入が重要かと思います。
　既往症がある場合でもすでに完治していたり、または病状次第では保険会社や保険の種類によって保障対象とすることを考慮する場合もあるので、気になる場合は相談してみるのも一案です。
 
■お知らせ■
　このコラムでは、みなさまからの保険に関するご質問を受け付けております。関心の高い内容に随時お答えしていきますので、お気軽にこちら⇒ hoken@xtra.co.nz までご質問をお送りください。（お送りいただく場合は、タイトルを「ＮＺ大好き：質問コーナー」として下さい）