「これから」に繋がる就職活動を
前回のコラムで綴ったWWOOF体験も含めNZに到着してから2ヶ月近く経ちました。ワーホリ制度で得られる滞在許可期間は基本的に1年なので、残りは約10ヶ月。
多くの方は一定期間学校に通ったり、仕事をして残りは国内を観光するというのが一般的な流れかと思います。 その後日本に戻り就職活動、もしくはお隣のオーストラリアなど他国でさらにワーホリしたりする人もいますね。
我々はNZに来る前から「外国で働いて暮らす」というのが目的でした。 その最初の候補としてNZを選んだわけなのですが、2人にとって全くの未開の地でしたので、もしも気に入らなければ年齢制限が許す限り次国にワーホリに行くことも考えていました。
海外での就職活動
ただ、当時の事を考えても明確な言葉は思い浮かびませんが、なぜか短期間しか滞在していないNZにワーホリ終了後も留まって住んでみたい。もっともっとNZの事を知りたいと強く思うようになっていました。
その為にはNZで雇用主を見つけなくてはなりません。日本から当面の生活費として2人で出し合い資金は用意してきましたが、収入が無ければいつかは生活ができなくなってしまいますからね。
まずは日本の履歴書にあたるCVの作成から始めました。英語で自分たちの経歴や持っている資格を説明し自己アピールも混ぜながら作るのはとても難航しましたが、知人に教えてもらいながら何とか作り上げることが出来ました。
英語も喋れない私達の唯一の強みは調理師という職種のみ。しかも今後のワークビザへの切り替えを見越して、ビザのサポートの有無を含めて探さなくてはなりません。 初めての海外での就職活動。果たして雇ってくれるところはあるのか?いざ就職活動のスタートです。
日本の食文化を伝えたい
当時二十歳そこそこだった私の初海外渡航は短期語学留学で行ったロサンゼルスでした。 その時にとても衝撃を受けると共に嬉しく思ったのが、日本食が広く浸透していることでした。 SUSHI、SASHIMI、DONBURI、TEMPURAなどなど、アメリカ人にもとても好まれ当たり前に食べられていました。
ただ残念だったのが、全く日本料理の経験が無い方が作ったと思われる料理も多かったこと。 お寿司の酢飯は酸っぱいだけ、寿司ネタは繊維に沿って切りつけてある為噛みきれない、うどんやそばにパクチーがトッピングされていたり、刺し身のツマはコールスローだっり・・・
もちろん現地の方用に食べやすくアレンジしているのかもしれませんが、それを美味しい美味しい!と食べている様子を見ると、本物の日本食はもっと違うのになぁと切なくなったのを覚えています。NZでも日本食の人気は物凄く、かなりの数の日本食レストランがあります。ただ日本人以外の国籍の方が経営している、なんちゃって日本食レストランも少なくありません。
日本の食文化が海外で認められるのは日本人としてとても嬉しい限りですし誇りに思います。ただそれが間違ったかたちで伝わってしまうのはとても残念で寂しいことです。しかしながら日本人経営の素晴らしい日本食レストランももちろんあります。私もそういったレストランで現地の方に本当の日本食を作るような仕事がしてみたいと思うようになりました。
日系の求人サイトを見ると、多くの日本食レストランが調理スタッフを募集していて、調理経験者があまり足りていない現状を知りました。私の調理師としての職歴はまだまだ誇れる物ではありませんが、これまで和食、日本料理をメインに調理の仕事に従事してきたので、もしかしたらどこか今までの経験が役に立てるのではないかと期待しました。
そして運良くその内の地元でも評判の良いお店で仕事を得ることができました。 そのお店は、出汁も一から取り、大豆から豆腐を作ったりと、こだわりを持ったお店で、その後二年間にわたりお世話になったのですが、NZの食材を有効活用した日本食の作り方や、Kiwi(NZ人の総称)の好みなど多くの事を学び本当に勉強になりまいた。
又、同僚の日本人スタッフの方からは、NZの生活情報などを教えていただき、それもまだNZに到着してから日の浅い我々にとって非常に助かりました。 なにより、初めて海外に行った時からずっと思っていた、「本物の日本の食文化を伝える」という思いが実践できて、本当に嬉しかったです。そして初めて外国で所得を得るというのは、「観光ではなく実際に働いて暮らしていく」という私達の当時の一番の目的だったので感慨深いものでした。
なんとかなる!
以上が私の就職活動の流れだったのですが、私の職業が調理師だったこと、日本料理がとても人気があること、調理経験者の慢性的不足などの条件により、当時英語力が殆どゼロと言ってもいいレベルだったにも関わらず、食に対する熱い思いだけは人一倍あったので、なんとか職を得ることが出来ました。
つづく・・・
アラサー主婦ERIKA
職業シェフ・バリスタ
2010年ワーホリでNZへ。
2014年永住権取得。
2015年オークランドからネルソンに移住。
日々の様子をブログに更新中『アラサーカップルのワーホリ日記inNZ』