【日本人によくある二つの誤解】
今回は医療保険(永住者や通算2年以上のワークビザがある人向けのもの)に関して、日本人の間によくある二つの大きな誤解を紹介します。誰かが誤解している人に、
「医療保険って○○○ですよね?」
とたずねて、
「そうです。医療保険は○○○ですよ。」
と間違った答えを教えられ、「やっぱり、そうか!」と納得して、友人にもそう教えたりするので、誤解が誤解を呼ぶようです。この二点、今回しっかり再認識して下さい。
【その1:医療保険を使ったら翌年の保険料が値上がりする?】
さて、この質問に皆さんはどう答えますか?5人中1、2人は「値上がりする」と答えるのではないでしょうか?これは間違いです。自動車保険なら事故を起こして車が全損し、保険で別の車が補償されたら翌年の保険料の値上がりは避けられません。損害保険は全て同じシステムで、家が全焼した、泥棒に入られて家財をごっそり盗まれたというのも同様です。しかし、医療保険は損害保険ではありません。
【請求がなくてもガンになっても翌年の保険料は同じ】
医療保険は損害保険ではない、というのを具体例でみてみましょう。同じ条件(性別、年齢、喫煙や既往症の有無など)の2人の加入者がいたとして、1人は健康で1年間一度も保険の請求をしなかったとします。もう1人はガンを発症し、1年で数万ドルの請求をしたとします。この2人の翌年の保険料は全く同じです。
請求してもしなくても、毎年保険料が少しずつ値上がりする一番の理由は加齢です。統計上、年齢の上昇に応じて病気になるリスクが高まるため、保険料はそれを反映します。ですから、医療保険は必要なときにはどんどん請求しましょう。
【その2:保険に入ってからの病気は1年経ったら既往症?】
この質問もほんとうによく受けるものです。どういうことかというと、上の例でガンになった人が1年で数万ドルの請求をして保険がおりたとします。でも、保険は1年更新なので翌年にはガンは既往症扱いになり、保険の対象にならないのでしょうか?この質問に皆さんはどう答えますか?
やはり、5人中1、2人は「保険の対象にならない」と答えそうです。永住者や通算2年以上のワークビザがある人向けの医療保険であれば、「保険の対象になる」が正解です。
【加入を続けている限り保険の対象】
保険に加入してからガンになった人が1年で数万ドルの請求をしても、保険の加入を続けている限り、ガンは一生保険の対象になります。加入してから発症した病気や症状は既往症にはなりません。既往症とは加入以前に発症していた病気や症状を指します(完治しているものも含め)。ただし、永住者や通算2年以上のワークビザがある人向けの医療保険以外では、既往症になります。以下、詳しく違いを説明してみます。
【学生など滞在者向けの医療保険では2年目以降は既往症】
学生ビザやワーキングホリデービザを持っている人は、滞在期間を問わず滞在者とみなされ、NZの無料公共医療の対象になりません。ワークビザがあっても通算2年未満なら同様です。滞在者が加入できる医療保険は1年満期のものが多く、満期を迎える度に新たに加入手続きをします。そのため、前の契約では保険の対象になった病気でも、再契約では全て既往症扱いになります。この辺が誤解を招いているようで、ワーホリからワーク、ワークから永住権へと切り代わっていく中で、誤解が生じているようです。ぜひお間違いなく。
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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