お客様からこんな話を聞きました。銀行で列に並んでいたら「医療保険に入ってますか?」と声をかけられ、時間もあったのでちょっと話を聞いているうちに、思ったほど高くなかったので加入した、というのです。「ほんの5分や10分の説明で、医療保険に入れるものなんだろうか?」と驚いてしまいました。
私の場合、説明だけで1時間、ご加入となれば何ページにもなる申込書の記入を手伝い(当然すべて英語です)、記入に間違いがないよう、既往症があれば少しでも詳細を聞いて、添付できる資料があれば添えるなど、これまた1時間かかることはざらです。
なぜこんなに時間がかかるかというと、
「健康です。今まで病気したことありません。」
という人でも、いろいろ話を聞いているうちに、
「そういえば前に腰痛があった。」
「日本で会社の健康診断で○○を指摘されたことがある。」
「花粉症がある。」
「妊娠中に○○になった。」
など、特に病気として意識していなかったことや、自分でも忘れていたことを思い出すことがあるからです。
医療保険は、年齢、性別、喫煙の有無以外に、既往症(保険加入以前に発症していた疾病や症状、検査によって疑いを指摘されていたもの)の有無、既往症がある場合はその詳細を申込書に記入しなければなりません。
既往症があったのに記入漏れがあった場合、同じ症状やそれに関連する病気になったときに保険金がおりないかもしれないのです。逆に、既往症をきちんと申告し、数年経っても症状が出なければ、既往症扱いにならずに保険の対象となる場合もあります。とてもじゃないですが、5分や10分で手続きが終わるものではないはずですが。。。。
このお客様の医療保険の約款をよく見たら、その保険は特定疾病保険に似たもので、いわゆる一般的な医療保険ではありませんでした。どういうことかというと、保険会社が指定している病気にかかったときにだけ適用できる保険で、それ以外の病気は保険の対象になりません。保険の対象にならないので、その保険で指定されている病気以外の既往症も問わないというわけです。どうりで保険料が安く、手続きが簡単なわけです。
そのお客様はそんな内容だったとは知りませんでした。きちんとした説明はなくただ医療保険と言われてたそうで、自分は普通の医療保険に入っているのだと思っていました。今では一般の医療保険に入り直しました。
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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