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第80回  キウイセーバー:キウイセーバーがお得な訳

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前回、「今のキウイセーバーはとにかくお得です」というところまでお話しました。今回は何がどうお得なのかを見ていきます。
 
 キウイセーバーは加入者が毎月(もしくは毎週)決まった金額(「給与の2%」や「毎週20ドル」など)を積み立てていく年金であることはお話したとおりですが、積み立てるのは加入者だけではありません。実は勤務先の企業と国も一緒に積み立ててくれるのです。
 
 企業と国が拠出した積立金も加入者の口座に振り込まれるので、全額加入者のものになります。勤め人が加入した場合、企業と国は必ず拠出しなければならないので、積立額が自動的に最大3倍になります!これが自分で貯金をして老後に備える事との大きな違いです。1人で積み立てるのと3人で積み立てるのとどちらが早く貯まるかは言うまでもないですね。しかもそれが全額自分のものになるので、キウイセーバーが断然お得になる訳です。
 
 ただし、これにはいくつか条件があります。まず国の拠出額(Tax creditと呼ばれていますが納税しているかどうかは関係ありません)は年間1,043ドルが上限です。1年52週ですから、週20ドル計算です。企業の拠出額は従業員給与の2%が上限です。
 
 企業と国の拠出金を満額もらい、積立額を3倍にできる状況を具体的に見てみましょう。年収5万ドルの人が2%を積み立てると年間1,000ドルです。企業、国それぞれからも1,000ドルの拠出を受けることができ、積立額は年間3,000ドルになります。つまり年収5万ドルまでの人であれば積立額を3倍にできるわけです。5万ドルを越えても企業の2%負担は変わらないので、国の分と合わせ積立額は確実に2倍以上になります。
 
 自営業者や主婦の場合は企業からの拠出はありませんが、国の負担と上限は同じです。積立額を週20ドルに設定すると、国から年間1,040ドルが支給され積立額を2倍にすることができ、やはりお得です。この場合も週20ドルまでであれば、国から同額の支給を受けることができるわけです。キウイセーバーは子どもでも加入できますが、18歳までは国の負担がありません。逆に言えば大学生の年齢なら支給が受けられるため、学生でも加入した方がお得です。
 
 さらに、加入者は全員キックスタートと呼ばれる国からの積立開始報奨金1,000ドルをもらうことができます。これは口座に振り込まれ65歳まで引き出すことはできませんが、口座を作るだけで1,000ドルのボーナスがもらえるわけで、やっぱりお得です。
 
 こうしてみると良いことづくめで、「ほんとうにこんなにもらえるの?」と不思議なほどですが、それぐらい政府はキウイセーバーの推進に力を入れています。加入者はすでに100万人を突破しており、勤労者に対しキウイセーバーが義務化されるタイミングは、予想以上に早くなる可能性がありそうです。義務化されたら国からの手厚いサポートが削減されることも考えられるので、国の支援を100%活かすためにもできるだけ早く加入することが得策だと思います。
 
 次回はキウイセーバー計算機を使って、いろいろシュミレーションをしてみます。お楽しみに。

 

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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