営業に回っていると、
「高橋さん、主人が生命保険に入るように説得してください。」
というリクエストをときどき受けます。依頼主は100%日本人の奥さんで、ご主人はほとんどがキーウィです。いくら保険屋でも、夫婦のこととなるとくちばしを挟めないので、「よくお二人で話合ってみて下さい」と、ついつれないお返事になってしまいます。
ここでも何度も言っているように、保険はご本人が納得して入るものだと思うので、入る、入らないでご夫婦がとことん話し合うのは面倒でも貴重なことでしょう。お子さんを含めた将来の家族設計、住宅ローンの返済計画、ひいては生活の中でなにを重視していくかなど、お二人の価値観のすり合わせやしっかりとした将来設計の基本になるかもしれない大事な話、とことんやり合っていただきたいと思います。
そうは言っても、国際結婚している奥さんたちの不安と不満もわからなくもありません。そこで業界で一般的にいわれているキーウィにとっての生命保険の捉え方をご紹介してみましょう。お二人の感覚のズレを理解し、解消する一助になればと思います。
まず、キーウィが生命保険に入る最大の理由ですが、それは住宅ローンです。ローンを組んだ後に一家の稼ぎ手にもしものことがあったら返済に行き詰るという理由で加入するわけです。最近はそうでもないですが、一時期は銀行がローンを出す条件に住宅保険だけでなく生命保険の加入やクレジットカード使用の中止を条件にしていた時期もありました。それぐらい生命保険と住宅ローンは密接なのです。
加入の理由がはっきりしているので、受取保険金はローン残高に合わせ、種類は最も保険料が安く抑えられる掛け捨て型というのがお決まりです。そのため、日本人の奥さんが「もうすぐ子供が生まれるから生命保険に入って」と言っても、キーウィのご主人は「住宅ローンもないのに、なんで保険?」と、話が食い違ってしまうわけです。
ローン返済のための保険金なので、ローン残高を大きく超える額にならないのも特徴です。しかし、奥さんにしてみれば、ご主人を失ったあとの生活費、子供の養育費は一番の心配事で、「ローンが完済できてもその後の生活はどうするの?」と言いたいところでしょう。
ここでまた業界の「常識」をご披露しましょう。キーウィは一般的に残された家族の生活費として3~5年を目安に保険をかけています。言い換えれば、一家の稼ぎ手を失った後、保険金で生活できる期間は3~5年です。その後はどうするのでしょうか?
再婚です!
驚かれるかもしれませんが、これがキーウィの考え方で、日本人のように「下の子が大学を出るまでの生活費と養育費」などという話はまず聞いたことがありません。男性も女性も何歳になっても再婚に積極的で、その自信もあるようです。この辺も日本人の奥さんと感覚がズレそうな点ですね。他にもいろいろあるのですが、あんまり暴露すると奥さんたちがショックを受けるかもしれないので、今日はこの辺にしておきましょう。
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高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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