オークランド在住・オーラルヘルスセラピスト 一葉
まずは簡単に自己紹介をお願いします。
一葉(かずは)と申します。北海道の北見市という、オホーツク海沿いの人口12万人ほどの町の出身です。現在はオークランドに住んでいて、ニュージーランド人の主人、3人の子ども、実母、そして猫3匹と一緒に暮らしています。国立オタゴ大学でオーラルヘルス学科を学び、現在はノースショアでオーラルヘルスセラピストとして働いています。
ニュージーランドに移住するきっかけは何だったのでしょう?
海外で子育てをしたいという私の希望が大きかったです。実は地元の北見市で主人と出会いました。私が就職した英会話学校で、英語講師として働いていたのが今の主人。出会って間もなく「この人だ!」と感じたいわゆる“ビビビ婚”でした(笑)。主人は日本に来る前、シドニーで長く生活をしていたのでまずはシドニーに2年間住んだのですが、北海道の自然と田舎くらしに慣れていた私には少し騒がしすぎて…。主人も、日本に約10年位住んでいた影響で、オーストラリアの友人たちと感覚が合わなくなってきていたようです。そうした中で彼が「勉強し直したい」と言い出し、ニュージーランドのオタゴ大学法学部へ進学することになり、私たちはダニーデンへ引っ越しました。
ダニーデンでの第一印象は?
到着したその日にマフラーと毛糸の帽子を買いました(笑)。気候も雰囲気もシドニーとは全く違いましたね。でも、町の人たちがとても温かく迎えてくれて、「あぁ、ここでなら暮らせるかも」と感じました。歴史ある建物も多く、山も海も近くて落ち着いた雰囲気がとても好きでした。大学生が市民の20%を占めると言われていたので、小さな町でしたがいろんな国の人がいました。
渡航後はどうされたんですか?
ダニーデンに来てからまずは働ける場所を探しました。当時はスマホで求人を見るような時代ではなかったので、図書館の新聞欄を毎日チェックしていたんです。その中でオタゴ大学歯学部のクリニカルアシスタントの募集を見つけ、日本で歯科助手の経験があったので応募しました。英語力は不安でしたが、当時のコーディネーターの方が本当に理解のある方で、日本語の認定証しか持っていなかった私を採用してくれました。
それと並行してニュージーランドの学位を取ることに挑戦いたしました。ただ、日本では商業高校を卒業していたので、理系の科目がまったく足りていなかったんです。そこでまずは通信教育でニュージーランドの高校卒業レベルの生物と化学を履修しました。並行してIELTSの勉強も始めたのですが、最初は完全に惨敗(笑)。「歯科大で働いてるし、なんとかなるっしょ」と甘く見ていた自分を反省しました。
その後、仕事が終わってから大学の図書館に通い、毎日2時間勉強を続けました。2〜3か月ほどでIELTS 7.0を取得できて、本当にホッとしました。長期戦が苦手なので、短期集中で勉強しました。ライティングやリーディングの勉強は、大学に入ってからのエッセイやレポートでとても役立ちました。
私は32歳で大学に入学しましたが、クラスメートには私より年上の方もいましたし、子育てをしながら学んでいるお母さん・お父さんもいました。日本の大学のように「みんな同じ年齢で一斉に進む」というより、それぞれが自分のタイミングで学んでいる感じがとても心地よかったです。
大学のキャンパスには託児所もあって、朝預けて授業を受け、夕方迎えに行くというスタイルも一般的。国からの学生サポートも手厚く、生活費の補助や家賃補助、学費も卒業後に返済できる制度がありました。本当に「学びたい人を支える国」だと感じました。
卒業後はオークランドへ?
はい、第一子を出産したのを機に、仕事の選択肢も多いオークランドに移りました。ノースショア地域は自然が美しく、ビーチからはランギトト島が見えて、日々の暮らしの中に癒しがあります。日本人コミュニティもあり、アジア系のスーパーも充実していて、日本の食材に困ることはありません。
子育て環境はいかがですか?
とても良いと思います。日本人ママたちのプレイグループもあり、海外で日本語や文化に触れる機会を子どもたちに与えることができました。ママ同士の交流も心強かったですね。今でも仲良くしているお母さんたちがいます。
現在の仕事について教えてください。
現在はオーラルヘルスセラピストとして、歯科衛生と小児歯科診療を行っています。ニュージーランドでは18歳未満の子どもに対する歯科診療は原則無料で、虫歯治療や検診、予防処置などが国の制度でカバーされます。学校に設置されたコンテナ型の診療所や、移動式のクリニックでの診療もあります。
オーラルヘルスセラピストとは日本の歯科衛生士と同じですか?
似ている部分もありますが、違う点も多いです。私たちは「施術者」としての役割があります。診断から治療方針の決定、実際の処置まで全て自分で行います。日本のように歯科医のアシスタントをするのではなく、歯科医と並列の立場で仕事をしています。
歯が痛くなったらどうしたらいいですか?
まずは近所の歯科クリニックに連絡をして相談するのが一番です。同じ治療でも、医院によって方針や料金が異なるので、セカンドオピニオンを取るのもおすすめです。不安もあると思いますが、自分が納得できる治療を選んでくださいね。
お仕事のほかに、何か活動されていますか?
はい、実は人とワイワイ集まるのが大好きなんです。そこで、ニュージーランド在住の北海道出身者で集まる「道産子会」を不定期で開催しています。地元の話をしたり、おいしいものを持ち寄ったり、リラックスできる楽しい時間です。
それから、毎年1回「オークランド日本人女子会」というパーティも主催しています。こちらは年に一度のお楽しみで、オークランドに住む日本人女性たちがドレスアップして集まる、ちょっと特別なイベントなんです。おかげさまで毎回とても好評をいただいています。
もしご興味のある方がいらっしゃれば、ぜひご連絡くださいね〜!新しい出会いやつながりを通じて、NZ生活がもっと楽しくなると思います。
最後に、NZ移住を考えている人へのメッセージをお願いします。
ニュージーランドはとても人に優しい国です。年齢やバックグラウンドに関係なく、学びたい人・働きたい人にチャンスが開かれています。もちろん言葉や制度の違いに戸惑うこともありますが、それを越えて得られる喜びや人とのつながりがたくさんあります。
私自身、30代で新たに学び直し、家族と新しい国で生活を築いてきました。もしNZでの生活に興味がある方がいたら、ぜひ一歩踏み出してみてください。想像以上に温かく、支えてくれる環境がここにはありますよ。
オークランド在住・オーラルヘルスセラピスト 一葉
email: k.eketonation@gmail.com