生命保険の加入を検討しているお客様にお会いしたとき、最初の一言は、
「あんまり朝から(昼から)するお話ではないですが。」
というお断りです。お問い合わせを受けて営業に行っているので、内容は双方合意の上とはいえ、「ご主人が亡くなったとき」「奥様が亡くなったとき」という話を、ご本人を目の前にしてするのですから、どんなものかと思うときもあります。こちらから勝手に営業に行っていたら、「縁起でもない」と塩を撒かれても文句は言えません。
それぐらい生命保険は微妙にして真剣な話です。「年収はいくらで」「実はがん家系で」「住宅ローンの残金がいくらあって」といった個人情報も耳にするので、お互いに真剣でないとなかなか話がスムーズにいかないのです。生命保険の加入で一番大切なことは、万が一のときに本当に必要な金額を手にすることです。ですから、お客様と一緒にできる限りの情報に基づきながら最も相応しい保険金の額を探っていくようにしています。
生保業界でよく問題視されるのが、「アンダーインシュランス」です。これは月々の保険料を抑えるために保険金を実際に必要な額より低めに設定することです。保険料を優先して決めたがために、何年いや何十年も経っていざ保険金を受け取ってみたら、必要な額より遥かに少なく残されたご家族が困窮してしまうというケースです。「何もないよりまし」という考えもあるでしょうが、「いざとなったら保険がある」と安心していたご家族の動揺や負担は相当なもので、業界としても非常に注意しているわけです。
よくあるアンダーインシュランスの例が、住宅ローンを組んだときに銀行に勧められるままに加入した生命保険です。詳しいことに目を通さずローン書類と一緒にサインをしている場合が多く、いざというときにいくら受け取れるのか保険契約者がわかっていないことすらあります。
銀行にしてみれば貸した額が返ってくればいいので、ローン残高に合わせた金額で保険金を設定していることもあり、これだと一家の稼ぎ手を失ったときにローンは完済できても、残されたご家族に1銭も残らないことになってしまいます。家を売って日本に帰るにしても家の売却は不動産屋経由であれば、まず万単位の金額が必要になるので、この点などローンがある方は要注意です。
この逆の「オーバーインシュランス」もまた考えものです。「いざというときに受け取れる保険金は多ければ多いほど心強い」とばかりに、必要以上の額を設定しているケースです。保険料の支払いが負担にならない限りは問題ではありませんが、家計を圧迫するようであれば、ローンの有無、お子様の人数と年齢などに照らして見直す必要があります。
日本人のオーバーインシュランスのよくある例が、日本で加入している生命保険の設定額が高すぎたり、保険契約者もよく覚えていないほどたくさん特約を付けている場合です。生活の拠点をNZに移してしまった場合、日本での差額ベッド代への保障というものがあまり意味をなさないことはお分かりかと思います。この場合、必要性の低い保障を死亡保障の増額や医療保険などより必要性の高い保障に切り替えるのも一案です。
いずれにしても生命保険は掛けっぱなしにせず、家族構成・生活拠点の変化・収入などライフステージに合わせ、数年ごとにご家族で見直すことをお勧めします。
<メールでのお問い合わせへのお願い>
メールでお問い合わせを受けた場合、こちらからの返信が迷惑メール扱いになり、受信トレイに入らない場合があります。特にHotmail、Yahooメール、Gmailなどフリーメールをご利用の場合はご注意下さい。お問い合わせには全てお答えしていますので、返信がなかった場合は恐れ入りますが、迷惑メールを確認していただくか、メールの再送をお願いします。その際にお電話番号を添えていただければ大変助かります。
■お知らせ■
このコラムでは、みなさまからの保険に関するご質問を受け付けております。関心の高い内容に随時お答えしていきますので、お気軽にこちら⇒ hoken@xtra.co.nz までご質問をお送りください。(お送りいただく場合は、タイトルを「NZ大好き:質問コーナー」として下さい)
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
- Accelerate Consulting
- PO Box 87411, Meadowbank, Auckland 1742, New Zealand
- Tel : 09 578 0792
- Mobile : 021 968 968
- E-mail : takahashi@accelerateme.co.nz
- Website(日本語): www.hokennz.com
- Website(英語): www.accelerateme.co.nz
- A disclosure statement is available on request and free of charge.