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第36回  片親の遺言、その残し方-生命保険編 

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「生命保険の転売?」
日本人の方にはピンと来ないかもしれませんが、海外ではそれほど珍しいことではなく、ここニュージーランドでも合法です。生命保険は被保険者の方がお亡くなりになった時、かなりの金額が入ってくるため借金の担保や第三者に譲渡する債権となりうるのです。
 
 しかし、愛する子供のために残そうとしていた、まとまった額の保険金が、第三者に渡ってしまうことは、例え法に触れなくても由々しきことです。当事者である被保険者が望んだことでないならば、断じて阻止すべきでしょう。離婚率の高いキーウィたちも同じ問題を抱えています。彼らはどう対処しているのでしょう。
 
 最も一般的な方法は、遺言を残すことです。ニュージーランドにはトラストと呼ばれる信託会社があり、ここで遺言を残すことができます。特に大手を選べば、ニュージーランド国内の主要都市に支店があるため、引っ越した場合や成人した子どもが別の街に住んでいるような場合には便利です。
 
「遺言を残すだけなら、知り合いの弁護士に頼める。」というケースもあるでしょう。これも一案です。ただし、弁護士といえども、元パートナーの親しい友人だったり、家を買った時だけの付き合いだったりという場合は、あまりお勧めできません。また、弁護士事務所の引越し、合併、果ては顧問先の転売ということもあるので注意が必要です。
 
 長い年月の間にこうした事態が起き、被保険者が亡くなり、いざ弁護士に連絡しようにも連絡がつかなかったり、まったく知らない弁護士事務所と連絡を取り合わなくてはならなかったりするケースも考えられるため、普段から親しい付き合いがない場合は、よく考慮された方がいいかもしれません。
 
 遺言の内容の簡単な一例を挙げてみましょう。
「子供の○○が18歳未満の時に被保険者(ここでは片親ご本人)が死亡した場合、生命保険金の受け取りは○○が行う。ただし、管理は被保険者の親のXXが行う。その時点でXXが死亡していた場合、被保険者の妹の△△が行う。○○が18歳以上の時に被保険者が死亡した場合、生命保険金は全額○○が受け取り、管理する」
 
 このように保険金の受け取りを子供に限定し、管理は信頼のおける身内に頼み、利害関係が必ずしも一致しない元パートナーが介入できないようにしておけば、保険の転売という問題は回避されます。大切なお子様のためにもぜひご一考ください。
 
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高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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