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第110回  保険期間の長い生命保険で値上げに対抗-生命保険編 

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今回も前回からの続きで生命保険の話をします。
 
 政府の税制変更で、「今年7月1日以降の生命保険料が最悪25%値上がりするかもしれない」という話を続けていますが、ここでちょっとオフレコの話をしましょう。私のパソコンには仕事上、取り扱っている保険会社の保険料計算ソフトが入っています。
 
 ソフトの期限は、ある1社で今年7月末まで、別の1社では9月末です。つまり、この辺が保険料見直しのタイミングなると思われます。7月1日からの一斉値上げはないにしても、各社とも保険料の見直しに入っているのはほぼ間違いないはずです。
 
 これまでも触れてきたように、この税制変更には5年間の移行期間が設けられています。これはIRD(税務署)のガイドラインで、「今年7月1日までに加入した生命保険は課税対象にしない」と定めています。
 
 しかし、最も一般的な1年満了型と呼ばれる毎年更新していくタイプの保険であれば、更新時に保険会社が値上げをしていれば新しい保険料が適用されます。値上げ分の中に税金が含まれているのかどうかは保険会社以外、知りようがありません。従ってこのタイプの保険であれば、移行期間の恩恵を100%享受するとはいいかねます。
 
 そこで今注目されているのが、10年満了型保険や65歳満了型保険です。いずれも保険期間の間の保険料は据え置きです。10年満了型の場合、保険期間が10年なので、課税の影響を5年どころか10年も先延ばしすることができます。65歳満了型であれば、65歳まで影響を受けません。30、40代であれば何十年も非課税で済むわけです。
 
さてこれを具体的な例で見てみましょう。
保険のタイプを【10年満了型】
被保険者を【35歳、男性、非喫煙者】、
受取保険金を【25万ドル】
とします。保険料の推移で1年満了型と比べてみます。
 
加入時35歳での月々の保険料は10年満了型27ドル、1年満了型だと23ドルです。
40歳では、27ドルと27ドルで、完全に並びます。
45歳では、27ドルと35ドルになり、保険料が逆転します。
 
 【65歳満了型】ではどうでしょう。被保険者と受取保険金を変えずに比較します。
加入時35歳での月々の保険料は65歳満了型36ドル、1年満了型だと23ドルです。
40歳だと、36ドルと28ドル、
50歳だと、36ドルと60ドルで、保険料が大きく逆転します。
60歳だと、36ドルと193ドルで、1年満了型は200ドル近くなります。
65歳では、36ドルと321ドルです。65歳満了型なら誰かと豪華ディナーに行けるほどの差額が出ます。
 
 保険期間を長く設定すればするほど最初のうちは保険料が高いものの、数年のうちに1年満了型の方が割高になり、年齢が上がるにつれてその差は急激に広がっていきます。しかも、ここで計算した1年満了型の保険料は7月以降の課税分を加味していない、現在の保険料ですから、長期的な格差はさらに広がるものと考えられます。
 
 しかも、保険期間の長い保険にはほかにも利点があります。その話はまた次回に!

 

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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