改正の狙い
長年にわたる給与計算ミス、多額の補償支払いの問題、事業者・労働組合双方からの制度改革の要求を受け、政府は2003年制定の「Holidays Act」を廃止し、代わりに「Employment Leave Act(雇用休暇法案)」を導入する方針を決定。休暇制度をシンプルかつ明確にし、労働者が正しい権利を確実に得られるようにすることが目的。
主な変更点
- 勤務時間に応じた休暇積算:フルタイム、パートタイム問わず、働いた時間に比例して年次休暇と病気休暇を得られるようになる。
- 入社初日からの権利付与:病気休暇や喪失、家庭内暴力による休暇などの一部休暇が、雇用開始日から利用可能に。
- カジュアル雇用者(不定期・パート勤務など)への対応:これまでの「赴任後何日以上経過しないと病気休暇を取れない」という制度を見直し、勤務時間に基づいて病気休暇を取得できるようになる。
- 休暇の時間単位取得:病気休暇を「1日単位」でなく、必要に応じて時間単位で使えるようになる。
- 年次休暇の「現金化(cash-up)」の柔軟性:年次休暇の残日数のうち最大25%を毎年現金で受け取れるオプションを要望できるようになる。
影響を受ける人たち
約 220万人 の契約雇用者(契約時間が定められている従業員)並びに多数のカジュアルワーカーやパートタイム労働者。これまで休暇制度で恩恵が小さかった人々(派遣・パート・育児・ケアギバーを兼ねる人など)にプラスとなる見込み。
課題・懸念
パートタイム労働者の病気休暇の積算量は、改正案で減る可能性があるとの批判。
休暇手当に「歩合給(commission)」や「ボーナス」が含まれなくなる案があり、これも一部の労働者には減収要因になり得る。
女性、マオリ、パシフィカのコミュニティなど、不安定・パートタイム雇用率が高いグループが影響を受けやすいとの指摘。
施行スケジュール案
改正法案が国会で可決されたあと、24ヶ月間(約2年) の移行期間が設けられ、雇用者と給与支払システムを提供する企業が新制度に備える時間が確保される。
政策反響
中小企業団体などからは、「長く待たれていた改善」「計算が簡単になることは両者にとってメリット」があるとの肯定的な評価。
一方、野党や労働組合からは「労働者の権利が損なわれる部分がある」「制度の簡素化が労働者負担となる可能性」が強く懸念されている。
