大都市の中心部を除き、公共の交通手段が発達していないこの国では、車は生活必需品の1つ。走っている車は中古のものが多いほか、日本では博物館でしか見ることができないようなクラシックカーを見掛けることも。
運転免許証 Driver Licence
ニュージーランドでは16歳から運転免許を取得することができるが、その取得方法には、ラーナーライセンス(Learner Licence)、リストリクテッドライセンス(Restricted Licence)、フルライセンス(Full Licence)の3つのステップがある。日本の仮免許に当たるラーナーライセンス、リストリクテッドライセンス保持者は、フルライセンスを持つ監督者が車に同乗すれば、公道での運転が可能だ。
ステップ1 ラーナーライセンス(Learner Licence)
最初のステップであるラーナーライセンスを取得するには、AA、On Road New Zealand、VINZ(Vehicle Identification New Zealand)、VTNZ(Vehicle Testing New Zealand)などの運転免許証発行所で申請を行い、筆記試験(Theory Test)と視力検査(Eyesight Check)をクリアしなければならない。筆記試験のための教本『Rode Code(The Official New Zealand Road Code and Licence Guide for Car Drivers)』は、書店やガソリンスタンドおよび運転免許証発行所などで購入でき、また図書館でも借りられる。35問中32問以上正解であれば合格だ。ラーナーライセンス取得後の同免許での運転規制は以下の通り。
- 運転時は常に免許証(ラーナーライセンス)を携帯すること
- 運転時は常に助手席にフルライセンスを2年以上保持している監督者が同乗すること
- 運転する車の前後にラーナーライセンス保持者であることを示すLプレート(L Plate)を掲示すること。このプレートは運転免許証発行所で購入できるが、自分で作成しても構わない。縦15センチ、横11センチの黄色い紙に黒字のLの文字を書き入れる。
ニュージーランド国内の運転免許証発行所の連絡先
http://www.nzta.govt.nz/licence/
ステップ2 リストリクテッドライセンス(Restricted Licence)
ラーナーライセンスを取得して6カ月を過ぎると次のステップであるリストリクテッドライセンスを申請することができる。試験内容は実技試験(Practical Driving Test)と視力検査。実技試験の際、受験者はレジストレーションとWOFが有効の車を用意する必要がある。リストリクテッドライセンス取得後の同免許での運転規制は以下の通り。
- 運転時は常に免許証(リストリクテッドライセンス)を携帯すること
- 22時から朝5時の夜間に運転する場合には、助手席に監督者が同乗すること
- 運転時は配偶者と子供、配偶者の連れ子以外を乗せてはいけない。ただし、監督者が同乗の場合、前述以外の人でも乗せることができる
ステップ3 フルライセンス(Full Licence)
リストリクテッドライセンス取得後、25歳以上は6カ月、24歳以下は18カ月を過ぎるとフルライセンスを申請できる。ただし、この国の運輸局に当たるニュージーランド・トランスポート・エージェンシー(NZ Transport Agency:http://www.nzta.govt.nz/)で認可されている自動車教習所やインストラクターによる講習を受けた場合、25歳以上は3カ月後、24歳以下は12カ月後に申請できるようになる。試験内容は視力検査と実技試験で、リストリクテッドライセンス同様、受験者はレジストレーションとWOFが有効の車を用意すること。ちなみにフルライセンスの有効期限は基本的に10年間となる。
ニュージーランド・トランスポート・エージェンシーの連絡先
Ph:0800-822-422
ウェブサイト: www.nzta.govt.nz
主な自動車教習所およびインストラクター協会の連絡先
AA Driver Training
Ph:09-927-2998(オークランド)
Ph:04-910-9700(ウェリントン)
Ph:03-968-3917(クライストチャーチ)
ウェブサイト:http://www.aa.co.nz/drivers/driving-school/
NZIDI(New Zealand Institute of Driving Instructors)
ウェブサイト:www.drivinginstructor.co.nz
国際運転免許証 International Driving Permit
日本で取得した国際運転免許証を所持していれば、最長で1年間、免許証に記載されている種類の車両をニュージーランドで運転することができる。日本国内の最寄りの運転免許試験場や指定警察署などで取得でき、必要書類は、有効期限が1年以上残っている運転免許証、顔写真(縦5センチ×横4センチで、6カ月以内に撮影したもの)、パスポートで、手数料は都道府県ごとに異なる。
2009年4月1日より日本の自動車免許証を保持し、取得後2年以上経過している方がニュージーランドの免許証を取得する際、筆記及び実技試験が免除されることになりました。基本的には視力検査だけで免許を取得できます。必要書類はパスポート、国際運転免許証または日本で発行された運転免許証(またその翻訳)、現在住んでいる場所を証明するための申請者の名前と住所が記された郵便物。
車の購入 Buying a Car
ニュージーランドでは新車よりも中古車を購入する人が多く、カーディーラーはもとよりオークションスタイルでの販売や、個人間での車の売買も盛んに行われている。中古車の購入先および入手方法は以下の通り。
個人売買 Private Buying and Selling
新聞のクラシファイド欄や個人売買専門紙などで、中古車や新車販売の項目、「Cars for Sale」から探す個人対個人の売買方法。ユースホステルや日本語情報センターなどの告知ボードから情報を得ることもできる。個人売買のメリットは売り手と買い手間で値段を直接交渉でき、比較的安値で車を入手できることが挙げられる。しかし「安い値段で車を購入後、車の不備を発見したが、すでに売り手とは連絡がつかず、結局修理代が高くついた」というケースも少なくないので、メカに弱い人は購入の際、車に詳しい人に付き添ってもらった方が良いだろう。
カーオークション Car Auction
競りによって車の値段が付けられる。国内各地にオークション会場が常設され、オークションが始まる前に、当日販売される車の情報をもらえたり、試乗できることが多い。即売したい人が車を持ち込むケースが少なくないため、掘り出し物も多いが、保証やリファンドがないのが欠点。
カーフェア Car Fair
週末に各地域の公園や駐車場などに売り手が車を運び、販売する車版“フリーマーケット”。売り手はオーガナイザーに手数料を払って、車を展示する。カーオークション同様、保証やリファンドがないため、カーディーラーで購入するよりも安い値段が設定してある。
カーディーラー Car Dealer
カーディーラーではそこで販売されている中古車のデータが明確になっており、6カ月間のレジストレーション(Registration)と、WOFが保証されている。また購入してから、車に不備が発見された場合に、整備を行う制度が整っていることもメリットの1つ。ニュージーランドで新車を購入する場合も、カーディーラーを通すのが一般的。
中古車を購入する場合の注意事項は、WOFの残存期間があるかどうか、確認すること。WOFの有効期限が1カ月以上残っていない場合は、基本的に売り手側の責任となり、WOF査定の料金を請求することができる。また、整備工場でカー・インスペクション(Car Inspection)と呼ばれる精密検査を受け、車のコンディションをチェックしたり、モーター・ビークル・セキュリティー・レジスター(Motor Vehicle Security Register/Ph:0900-909-77)で盗難車でないかを確認できる。
特に問題がないことを確認し、車の購入を決めたら、購入日から7日以内にオーナーシップの変更を届け出なくてはならない。変更は最寄りの運転免許証発行所、郵便局、保険会社、AMI Insuranceで、申請用紙に手数料と身分証明書を提示して行う。この時に車を売る側の注意点は、オーナーシップの変更を行うまでは、車の責任は売り手にあるため、車を買い手に渡さないこと。
レジストレーション Registration
自動車の車体登録(Motor Vehicle Licence)を指し、通常レジストレーションと呼ばれている。期限の切れる約1カ月前にニュージーランド・トランスポート・エージェンシー(NZ Transport Agency:http://www.nzta.govt.nz/)から届く更新用の書類を持って、運転免許証発行所や郵便局、保険会社、AMI Insuranceにて登録料を支払う。期間は1ヶ月~1年までから選ぶことができ、オンラインでの支払いも可能。更新の際渡される登録証はフロントガラスの助手席内側に常に提示していなければ罰金の対象となる。登録料は車種により異なる。
WOF Warrant of Fitness
日本の車検制度に当たるもので、車体年数によって6カ月、または12カ月ごとに受けなければならない。ニュージーランド国内には3,500ものWOF指定の工場があり、最寄りの工場に車体を持ち込んで検査を受ける。この検査に合格すると渡される査証は、フロントガラス右側に常に提示していなければ罰金の対象となる。査定料金は約35ドル。検査に合格せず修理が必要になった場合、修理代は別途必要になるが、修理後に再検査を行う際の費用はかからない。
日本からの車の輸入法
2002年4月に中古車輸入に関する規制が改められたことから、基本的に日本車は1996年以降に製造されたもののみが輸入の対象となっている。ただし、車種により輸入不可能なものもあるため、日本から車を持ち込む手続きをフルサポートしてくれるカーディーラーなどに問い合わせてみると良いだろう。
罰金 Monetary Penalty
スピード違反、飲酒運転などの取り締まりは警察が、駐車違反、レジストレーション(Registration)やWOFの期限切れなどの取り締まりは各地域のカウンシルが行っている。 前者での罰金の支払方法は警察からもらった違反チケットを、ニュージーランドの銀行の1つ、Westpac Trustに支払う。後者は罰金は違反チケット裏に書かれている支払い先へ支払うこと。いずれも違反チケット発行日から28日以内に支払を済まさなければならない。
飲酒運転は×
ニュージーランドでは法律で定められた一定の量以下の飲酒なら運転しても良いことになっている。しかしながら、この国は他国に比べ、子どもが交通事故に遭うケースが非常に多いことから、政府による飲酒運転撲滅キャンペーンが展開されており、飲酒運転チェックの取り締まりも頻繁に行われている。事故を起こす危険性を考えれば、飲酒の後には車を運転せず、タクシーなどを利用する方が賢明だ。
事故の対処法 Deal with Car Accidents
車で事故を起こしてしまった場合、負傷者がいたらまず救急車(Ph:111)を呼ぶ。相手ドライバーの名前、住所、電話番号、免許証番号、車のナンバープレートなどを控え、目撃者がいれば名前、住所、電話番号も聞いておく。警察(Ph:111)には人身事故の場合は24時間以内、物損事故の場合は72時間以内に連絡しなければならない。自分が加入している保険会社にも必ず連絡すること。車の修理費などは保険会社査定員の確認なしでは出せないことになっているからだ。
日本のJAFに相当するAA(Automobile Association:www.aa.co.nz)に入会すると、車のトラブルの際に、365日24時間無料もしくは有料でサービスを行っている。入会方法は最寄りのAA、またはウェブサイトから会員申込書(Membership Application Form)を入手し、必要事項を記入後、AAに提出する。シニアや15~21歳の若者、また家族を対象とした割引システムもある。
ニュージーランドは自動車事故の場合、治療費などはACCが補償してくれるため、自動車保険には車の自賠責や対人保険に当たるものはなく、任意の対物保険のみ。また事故が起きた際、レジストレーション(Registration)やWOFの有効期限が切れている場合などには、保険金額が支払われない場合もあるので注意しよう。
警察・救急・消防
Ph:111
AAの連絡先
Ph:0800-500-444
ウェブサイト:www.aa.co.nz