旅行者でも買い物をすれば消費税を支払い、また居住者、非居住者に関わらずニュージーランド国内での所得があれば納税義務が発生するなど、税金は日常生活に大きく関わっている。
ニュージーランドの主な税金の種類
1)消費税(G.S.T.)
2)所得税(Income Tax)
3)法人税(Income Tax for Businesses)
4)金利所得に対する源泉課税(Withholding Tax on Interest)
5)配当所得に対する源泉課税(Withholding Tax on Dividends)
6)固定資産税(Rates)
7)自動車税(Rates of Motor Vehicle)
8)ACC課税(ACC Levy Rates)
9)小切手税(Cheque Duty)
10)贈与税(Gift Duty)
消費税 G.S.T.
商品購入時やサービスを受ける時に課せられる税金のG.S.T.とは、「Goods and Services Tax」の略。税率は一律15%で、食料品、衣料・生活雑貨、電化製品、車などほとんどすべての商品価格、電気・ガスなどの光熱費や、電話代、レストラン、ホテルなどの宿泊施設、交通機関などでのサービス料金などに課税される。
例外は個人が住居用に購入した不動産物件で、この場合はG.S.T.を加算されない。ただし、投資目的やビジネス物件はこの範疇ではない。スーパーマーケットやレストランなど、ほとんどの場所で目にする価格はG.S.T.込みの内税表示。このため税金を取られたという感覚は薄い。
所得税 Income Tax
ニュージーランド国内で収入を得たすべての人に課せられる税金。非居住者でも、不動産収入などがある場合には課税対象となる。税率は累進課税制で、現在は、年収1万4,000ドル以下が、10.5%。1万4,001~1万5,600ドル以下が12.82%。1万5,601~4万8,000ドル以下が17.5%。4万8,001~5万3,500ドル以下が21.64%。5万3,501~7万ドル以下が30%。7万1ドル以上~7万8,100ドル以下が30.99%。7万8,101ドル以上~18万ドル以下が33%。18万1ドル以上が39%。企業に所属する被雇用者の場合は、通常、PAYE(Pay As You Earn)と呼ばれる制度により、給料から所得税が源泉徴収されるのが一般的だ。
雇用主はインランド・レベニュー・デパートメント(Inland Revenue Department:www.ird.govt.nz)指定の書類、フォームIR595を被雇用者に渡し、必要事項を記入してもらう。書類に不備があった場合や、申告を怠った場合には45%の所得税が課税される。また失業手当などの社会保障も収入と見なされ、所得税の対象となる。
また自営業やフリーランスでPAYEが適用されない場合でも税率は同じ。この場合は個人で、毎年4月に必要経費などを計上した前年度分の確定申告を行う。
法人税 Income Tax for Businesses
ニュージーランド国内で事業を営み、収益を得ている企業に課せられる税金。税率は一律で28%。また年間4万ドル以上の利益がある企業は、G.S.T.ナンバーと呼ばれる消費税番号の取得が義務付けられており、年度末に確定申告しなければならない。
金利所得に対する源泉課税 Withholding Tax on Interest
銀行貯金や投資信託の利子に対して課せられる税金。年間20ドル以上の利息がついた場合に課税され、税率は居住者と非居住者で異なる。居住者の場合は金利も収入の一部と見なされるため、累進課税制の所得税率が適用される。非居住者は一律で15%となっている。
配当所得に対する源泉課税 Withholding Tax on Dividends
株式など有価証券の配当に対して課せられる税金。金利所得同様、居住者と非居住者で税率が異なる。居住者は累進課税制の所得税率を適用。非居住者は一律で30%となっている。
固定資産税 Rates
住居や店舗など不動産を所有している人に対して課せられる税金。カウンシルが管轄しており、土地や物件の評価額、敷地面積などによって個々に課税される。地域差や不動産の用途の目的、カウンシルの予算によって、課税額は異なる。
例えばオークランド市の場合、所有者がその物件に居住しているか、ビジネス物件か、市街地からの距離はどの程度か、など幾つかの基準に照らし合わせ、異なる税率で固定資産税が算出されている。
不動産評価額や固定資産税の税率は、通常2、3年おきに更新される。また税金には上下水道やゴミ処理、道路補修、公園整備などの公共料金が含まれるのが一般的である。
自動車税 Rates of Motor Vehicle
車体登録料(Vehicle Registration)と道路使用料(RUC:Road User Charges)の名目で課せられる税金で、管轄はニュージーランドの運輸局であるランド・トランスポート・セーフティー・オーソリティー(Land Transport Safety Authority)。各税金の料金は車種などによって異なる。
車体登録料は乗用車や一般に普及している4WD、バンなどのガソリン車、電気自動車などで料金が分けられている。車体登録料にはACC課税が含まれていない。
道路使用料はガソリン以外の燃料を使用する車種にかかる税金で、車体重量と走行距離に応じて課税される。車体登録料、道路使用料ともに最寄りの郵便局、AA、一部の保険会社などでの支払が可能。支払を済ませたら、有効期限が記された証明書を車体の所定位置に提示する。
ACC課税 ACC Levy Rates
居住者、非居住者に関わらずニュージーランド国内で起きた事故や、それに伴うけがに対する治療費を、国が負担するために課せられる税金。管轄はACC(Accident Compensation Corporation)と呼ばれる公的機関で、主に2つの方法で税金を徴収している。
小切手税 Cheque Duty
2014年7月1日より撤廃された。
贈与税 Gift Duty
2011年10月1日より撤廃された。ちなみに相続税もない。