クライストチャーチで出会った芝生文化と小さな楽しみ
ニュージーランド南島にある街、クライストチャーチ。この街は「ガーデンシティ」という愛称で知られています。その名の通り、街全体に緑があふれ、個人の庭や芝生までもが丁寧に手入れされているのが特徴です。2011年の震災以前をご存知の方はもっとガーデンシティらしかったと口を揃えています。もちろん以前の様子も見てみたいですが、2023年に初めてきた私にとっては十分「ガーデン」な街の印象です。
さて、実際に住んでみて驚いたのは、一般の家庭でも当たり前のように庭の手入れが行われていること。中には賃貸物件でも芝生の管理が契約に含まれている場合があります。私もその一人で、定期的に芝刈りをしなくてはならない生活を送っています。
日本では芝生のある庭に住んだことがなかった私にとって、芝刈りはすべてが新鮮な体験でした。最初は手動の芝刈り機を使用。「できるだけお金をかけずに」と思って選んだものの、これがなかなかの重労働。押すたびに芝の抵抗を感じ、終わる頃にはちょっとした運動になります。
その後、近所の方から電動の芝刈り機を借りる機会があり、一気に世界が変わりました。さらにガソリン式の芝刈り機のパワフルさには驚かされます。同じ作業でも道具によってここまで違うのかと、ちょっとしたカルチャーショックでした。今でもBunningなどホームセンターに行くと色々な芝刈り機、芝刈り方法に魅了されてしまいます。
芝を刈るタイミングも人それぞれで、とても興味深いです。農業分野出身の近所の方は芝をあえて長く伸ばし、種がつくまで待ってから刈るそうです。そうすることで芝も健康で刈った芝がそのまま土壌の栄養になるという考え方。一方で、芝生から花がいくつも咲いたら刈るサイン、という人もいました。自然の変化を目安にしているのが、なんともニュージーランドらしいなと感じます。
また、面白いなと思うのがご近所同士の影響です。きれいに手入れされた家が芝を刈ると、それにつられて周りの家も芝刈りを始めるような雰囲気があります。私自身も、「そろそろやらなきゃ」と思うきっかけは、だいたいご近所の庭の様子です。
もう一つ、個人的に注目しているのが芝生の“エッジ”です。散歩をしていると、道路沿いの芝生がまるで線を引いたかのように、ピシッと整えられていることがあります。歩道の芝生の刈り具合で家の境がわかるほど。

このエッジの整え方もさまざまで、ハサミで丁寧に整える人もいれば、専用のカッターのような道具を使って直線を出す人もいます。同僚の年配の女性は、「エッジをきれいにすると、その後の手入れが楽になる」と教えてくれました。
私自身は小さな庭なので、数メートルほどを整えるだけですが、角度を変えられるハサミタイプの道具で十分対応できています。ただ、広い庭を持つ家庭は本当に大変だろうなと感じます。
芝刈りは単なる作業ではなく、この街の文化の一部のように感じます。季節の変化を感じながら、自分のペースで庭を整える時間。そして、さりげなくご近所とつながっている感覚。
もしクライストチャーチを訪れる機会があれば、ぜひ庭の芝生やそのエッジにも目を向けてみてください。きっと、その美しさの裏にある暮らしや価値観が見えてくるはずです。




