歯科医院で、歯石除去や歯のクリーニングをすすめるのは何故でしょう?1日3回毎日歯磨きしているし、虫歯もないから歯のクリーニングなんて要らない、と思っている方は要注意です。
虫歯にならなくても歯周病にはなる?!
歯石は、歯垢が石灰化したものです。歯垢は英語でプラーク、口腔内の細菌が食物に含まれる糖を餌に生成していきます。歯の表面がぬるぬるしているな、と感じた事はありませんか?それがプラークです。プラークは食後8~12時間位で作られ始めると言われており、そのまま放っておくと石灰化し硬い歯石となります。歯の表面、特に下の前歯を舌で触った際ざらざらしませんか?それが歯石です。一度歯石になってしまうと、歯磨きやフロスでは除去できません。
歯科医院での専門的なクリーニングが必要になってきます。歯垢や歯石は言わば細菌の塊ですから、どんどん繁殖をつづけ、歯周ポケットがどんどん深くなり、歯茎が痩せたり、腫れたり、出血したり、と歯周病の症状を引き起こします。酷くなると歯がぐらぐらになります。「成人の約80%が歯周病である」とも言われていますし、現在、歯周病と心臓の病気、糖尿病との深い関係性があるといわれています。
「虫歯じゃないから」と歯周病を安易に捉えてはいけません。虫歯同様怖い病気なのです。勿論、自宅でのホームメンテナンスが一番大切ですが、専門家による定期的なメンテナンスもとても大切です。
NZで歯のクリーニング(Hygiene Treatment)は具体的に何をするの?
では歯科医院ではどの様なメンテナンスが行われるのでしょう?
①コンサルテーション
初めての場合は、自宅での歯磨きをどの様に行っているのか、何を使っているのか、出血の有無、食生活などについてお話をします。2回目以降は、前回と比べて何か変わった事は無いか、歯磨きの仕方が改善されたかなどをチェックします。
②歯磨き指導
Disclosing solution(歯垢染色剤)を使い、歯垢の染め出しをします。日本でもお馴染、歯が真っ赤になる液です。歯科医院で体験が無い方も、小学校で一度は経験があるかと思います。その後、実際に患者さんの口腔内で歯磨きレッスンを行います。
③歯周ポケットのチェック
専用の器具を使い、歯周ポケットの深さをチェックします。数値が1~3mmの間であればノーマル、それより大きな数字になればなる程、歯周ポケットが深く歯周病が進んでいるという事になります。
④スケーリング
オートソニック/ウルトラソニックスケーラーと呼ばれる電動式のスケーラーで歯石を除去します。超音波によるバイブレーションで硬くなった歯石を粉々にし、先端から出る水で流していきます。先端がブレード状になっている手用スケーラーもあり、部位によって使い分けます。
⑤ジェットクリーニング
きめ細かいパウダーSodium bicarbonate(重層)と水のジェット噴射で歯の表面や隙間の汚れを取り除きます。
スケーラーでは届きにくい歯と歯の隙間や、歯の表面の汚れを取り除くのに効果があります。
⑥仕上げ磨き
仕上げに、専用のペーストとラバーカップの付いた器具で、歯の表面を磨いていきます。
⑦フッ素塗布
歯の表面のエナメル質を強くし、虫歯になりにくい歯を作る為に行います。子供から大人まで、口腔内の状況に合わせて使用します。生えたての乳歯や永久歯は弱く虫歯になりやすいので、定期的にフッ素塗布を行う事で虫歯予防の大きな助けとなります。
ただし、フッ素は、飲み込んでしまった場合、量によっては副作用として下痢嘔吐などを引き起こす事もありますので、小さなお子様に使用する場合は、担当の歯科医や衛生士と相談されるといいでしょう。
また、過剰塗布は歯の色素に影響しますので、こちらも歯科医や衛生士と相談しながら。その人に合った頻度で効果的に使用するのが良いでしょう。