カンタベリー地域議会(Environment Canterbury/ECan)は、最終議会での採決で「硝酸塩非常事態宣言(nitrate emergency)」を可決しました(賛成9、反対7)。これは選挙前の最後の会議での決断でした。汚染問題への地域住民たちの抗議も背景にあります。
年に一度の地下水調査で、E. coli(大腸菌)と硝酸塩の濃度の上昇が確認されました。地下水の井戸349箇所を対象に調べたところ、14%の井戸でE. coliが検出され、硝酸塩については約10%の井戸で飲用水の最大許容濃度(11.3 mg/L)を超えていた、また全体の約62%の井戸で硝酸塩の濃度が過去10年で上昇傾向でした。
集中的な酪農業(intensive dairy farming)が主な原因と見られており、また都市の雨水排水や汚水処理も一因の可能性があります。地下水の性質や地盤構造により、硝酸塩の濃度増加には3〜30年もの遅れが生じることがあるとECanの議長が説明しています。
ECanは、まだ新しい水質に関する全国的な指針(freshwater national direction)が確立されていないことを挙げ、条例制定が停滞していることを懸念しています。法的なルールや計画(resource management plans)が見直し中なため、直ちに行える非法令的な施策(例:農家と協働して施肥量を減らす、貯水帯や湿地を整備するなど)を進める方向です。
一部の政府大臣は、選挙直前の議会の動きを「パフォーマンス」や「目立つための演出」と批判。また、農業大臣などは、事業者や地域経済に過度の負担をかけずに水質改善を進める必要があると述べています。