毎回ユニークな試みで話題をさらっているニュージーランド航空の機内安全ビデオ。2015年にリリースされた「サーフィン編」に登場したペイジ・ハレブは、ニュージーランドを代表する女子プロサーファー。2008年に世界のトッププロが参戦するワールドリーグへの参加資格を得て以来、国際舞台で活躍しています。フランスでコンテストを終えたばかりのペイジに近況を伺いました。
国際舞台で戦うキウィ女子サーファーの第一人者
四方を海に囲まれた島国であるニュージーランドは知られざるサーファーズ・パラダイス。特に北島のタラナキ地方には海岸線に沿って約1kmごとにサーフスポットが存在し、その数の多さはハワイのオアフ島サウスショアに匹敵するともいわれています。そんなタラナキ出身のペイジ・ハレブは、ニュージーランドNo.1の女性プロサーファー。父親に連れられて7歳の頃からサーフィンを始め、瞬く間に頭角を現した彼女は、2008年、キウィ女子としては初めて世界最高クラスのサーファーのみが参戦できるワールドチャンピオンシップツアーへの最終予選を通過。以来、国際舞台で奮闘を続けています。
昨年は残念ながらいい波に恵まれず、6年間にわたって彼女の戦いの場であったワールドチャンピオンシップツアーから離脱したペイジ。今年度はクオリファイング・シリーズ(QS)・ツアーに参戦し、再び同ツアーへの復帰を目指しています。
「2015年を振り返るには少し早いけど、これまでのところ今年はアップダウンが激しいです。QSツアーの第1戦は中国の海南島で行われ、第2位と好スタートを切ることができました。それまで中国に行ったことがなかったし、どんな国なのかよく知らなかったからとても新鮮で面白かった。波も楽しかったです。でもその後はなかなか納得のいく成績を残せていないので、これから結果を出して来年以降につなげていかなければと考えています。去年までに比べると試合の数は少ないですが、忙しさと旅の多さはあまり変わりません。フランスでは第3位でフィニッシュし、次はスペインのコンテストが控えているので、そこで自分の実力を出し切りたいと思います」
ニュージーランド航空の機内安全ビデオに出演!
サーフィンで世界を転戦している時以外、ペイジは故郷のタラナキを離れ、主にオーストラリアのゴールドコーストを拠点にトレーニングを行っています。
「ゴールドコーストは私のサーフボードを手掛けてくれているMt Woodgeeのシェイパー(サーフボードを削る職人)、ウェイン・マックケウェンのホームタウンだし、コーチもここに住んでいるので便利なんです。ずっと滞在しているうちに友達も増えて、今ではゴールドコーストが第2の故郷みたいで居心地がいいです。でも最近はカリフォルニアもお気に入り。プロのサーファーとして世界各地のサーフタウンを訪れることができるのはとてもラッキーだと感じています」
コンテストとトレーニングの傍ら、今年はニュージーランド航空の機内安全ビデオにも登場したペイジ。同じくニュージーランドを代表する男子プロサーファー、リカルド・クリスティらとともにこの国の名サーフスポット、ラグランで撮影に参加しました。
https://www.youtube.com/watch?v=xjJ4DvznW4o
「撮影期間が2日間しかなかったので忙しかったけど、和気藹々としていて笑いの絶えない現場でした。特にラストのボンファイヤーのシーンは爆笑しっぱなしだったんですよ。ビデオに登場する場所もラグランのほかにマリブ、ゴールドコーストなどサーファーなら一度は行きたいポイントばかりで、見ているとサーフトリップに出かけたくなりますよね」
共演したリカルド・クリスティは昨年12月、ニュージーランド出身の男子サーファーとしては12年ぶりにワールドチャンピオンシップ入りを決めた期待の星。そのほかに2013年に女子のジュニア世界チャンピオンに輝いたファンガマタ出身のエラ・ウィリアムズなど、近年ペイジに続くトップレベルのキウィサーファーの躍進も目立つようになりました。ペイジはそのことを嬉しく思いつつ、さらに業界全体の進化が必要だと語ります。
「同郷のサーファーが活躍するのは本当に素晴らしいこと。でもニュージーランドのプロサーファーたちはほかのジャンルのスポーツ選手と比べてまだ十分なサポートを受けていないと思います。状況は徐々に改善されてきてはいますが、私たちは世界トップレベルのアスリートなのに一般の認識がそのレベルに達していないと感じています」
波乗りそのものを楽しみたい
スペインでのコンテストを終えたら故郷のニュージーランドに戻り、親しい友人と60歳になる父親の誕生日を祝う予定だと話すペイジ。その後はいい波が来ることで知られるインドネシアのメンタワイへボートトリップに出かけるそうです。10代でプロとなり、20代半ばを迎えた現在は、これまでの選手人生で最も気力・体力がみなぎっている状態だとか。
「若い選手たちより経験値があるし、小波からビッグウェーブまでどんなコンディションにも対応できるのが私の強みだと思っています。ほぼ毎日サーフィンをするほか、カーディオ、バランス、コアなど陸上トレーニングもしています」
常に自分を最高の状態に保つため、ストイックに鍛錬を欠かさないペイジですが、その一方、波乗りそのものを楽しみたいともいいます。
「1日1日を大切に、ベストを尽くして生きることがモットー。できるだけ長くコンテストに出場したいし、ランキングも上位を目指していますが、サーフィン自体をエンジョイすることも忘れていません。これからどこでどんな波に乗れるのか想像するだけでワクワクするし、サーフィンを通してさまざまな出会いがあることも楽しみです」
タラナキが生んだトップサーファー、ペイジ。彼女の今後の活躍に要注目です。
Paige Hareb
ぺいじ・はれぶ●1990年6月6日、ニュープリマス生まれ。
小学校低学年からサーフィンを始め、2001年より国内のジュニア大会に出場。国内選手権18歳以下の部や国内女子オープン選手権で優勝し、ニュージーランド代表ジュニアチームのメンバーに選抜されるなど頭角を現す。’08年11月、世界プロサーファー連盟(WSL)主催のワールドツアー最終予選をニュージーランド人女性として初めて通過し、’09年度より6年連続で同ツアーに参戦。2015年は同ツアーを離れ、WSLのクオリファイング・シリーズ(QS)・ツアーで競技を続けている。2015年8月現在のQSツアー世界ラインキングは10位。ニュージーランド航空の機内安全ビデオ「サーフィン編」に出演したことも話題になった。
公式サイト www.paigehareb.com