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Evolu 代表 コッティ・コッツァ

Evolu 代表 コッティ・コッツァ

ピュアな植物の力で世界中の女性の美を応援したい。

自然が豊かなニュージーランドでは、スキンケアもナチュラルなものが主流。さまざまな自然派コスメブランドが存在するが、そのなかでもとりわけ高い評価を得ているのがオークランドに拠点を置くスキンケアカンパニー「Evolu」だ。創設者のコッティ・コッツァが自身の肌のために手作りで始めたニュージーランド産ナチュラルプロダクツの実力を探ってみよう。

DIY精神から生まれた自然派スキンケアブランド

大自然に囲まれ、健康的なライフスタイルが浸透しているニュージーランド。移民国家であり、ほかの大陸から地理的に遠く物質が不足しがちだった歴史的背景から「Do It Yourself」の精神が強く根付き、今も「モノがなければ自分で作る」という人が多い。ニュージーランドを代表する自然派スキンケアブランドのひとつ「Evolu」もそうしたナチュラル志向とDIY気質から誕生した会社。設立者のコッティ・コッツァがニュージーランド航空のキャビンアテンダントをしていた頃、肌荒れに悩まされた経験から生まれたブランドだ。

「フランス語教師として働いた後、キャビンアテンダントになりました。フランス語の能力が活かせるし、ほかにドイツ語も習い始めて、さまざまな国を旅して、とても楽しい仕事でしたが、肌には最悪でしたね。飛行機内の乾燥と時差による睡眠不足がたたって肌荒れがひどかったんです。フライトで行く先々で免税店に寄り、よさそうなスキンケアアイテムを片っ端から試しましたが効くものがなくて、“これはお金の無駄だな、求めているものが見つからないなら自分で作ろう”と考えたんです」

コッティはハーブと園芸の専門家である母からアドバイスを受け、スキンクリームを手作りした。原料は植物など天然素材のみで、保存料にはウォッカを使ったという。

「クリームを小さな容器に入れて職場にも持っていき、同僚のキャビンアテンダントにも試してもらいました。そこで香りやテクスチャー、効果などのフィードバックをもらって改良したり、植物についての勉強もしました。それがEvoluの原点になったんです」

両親から受け継いだ植物の知識が大きな財産

植物が持つ力についての造詣が深いコッティ。子供の頃から自然に親しんだ生活をしてきたことが大きく影響していると話す。

「両親はハンガリーからの移民で、父はワインメーカー、母は園芸家でした。ホークスベイで生まれ育ったのですが、当時、私たちの家には広いガーデンがあって、ほかの国から持ち込んだ珍しい野菜をたくさん育てていたんです。今は検疫が厳しくなったので無理ですけど、その頃はまだ種や苗を個人でも持ってこられたんですね。

私は父の職場に行っては葡萄畑を観察したり、葡萄ジュースを飲ませてもらうのを楽しみにしていました。母は料理上手で、私たち兄弟に毎日絞りたての新鮮なフルーツジュースや庭で採れた野菜を使った食事を作ってくれました。私たちがケガをすると母が手作りしたハーブ薬を塗ってくれました。一度自転車で転んでひどい切り傷ができたのですが、その時も母お手製のハーブ薬でキレイに治りました。そんな風にして幼い頃からごく自然と植物の力を体感できたのは私の財産だと思っています」

両親から受け継いだ植物の知識を活用し、コッティの肌荒れを解消したスキンケアクリームは瞬く間にキャビンアテンダントたちの間で評判となり、「買いたいからぜひ商品化してほしい」という声が寄せられたという。そこでコッティはクリームのほかにリップバームも手がけ、フライトのたびにスーツケースに詰めて持参し、クルーに売るようになったそう。

「クリームを商品化する際、ある程度量産するにはすべてを自分で一から作るのではなく、原料の一部は専門業者から仕入れたほうがいいと考えました。例えばエッセンシャルオイルとかね。そこで質のいいエッセンシャルオイルを生産している会社をリサーチして、“ここだ!”と発見したサプライヤーが都合のいいことにニュージーランドの企業だったんです。それから、その時フラットメイトが2人いたんですが、1人はグラフィックデザイナー、もう1人はレーベル会社に勤めていたので、彼女たちが商品のパッケージを担当してくれました。そして“コッティズ・クリーム”という名前でスキンケアアイテムを販売するようになりました」

ヒーリング力の高さがニュージーランド産植物の特長

自然派スキンケアアイテム作りに目覚めたコッティは1997年にEvoluを立ち上げた。現在はクリーム以外にクレンジング、化粧水、モイスチャライザー、マスク、アイケア、ボディローション、ケアケアまでトータルに揃え、女性の美をサポートしている。年齢を重ねた肌向けのプロダクトも充実し、キウィフルーツシードオイルやカラスムギ抽出成分などを配合したファーミング・アイクリームは今年台湾とシンガポールのビューティ雑誌でベスト・アンチエイジング・プロダクトに選ばれた。

「Evoluを設立する時、夫のポールと出会ったんですが、彼は広告業界で働いていたのでEvoluのブランディングやマーケティングを引き受けていてくれました。いいサプライヤーが近所で見つかったことや友人がバックアップしてくれたことなど、今振り返ると、流れにスッと乗って無理しなくてもスムーズに物事が運んだという感じ。ビジネスを始めてから失敗や大変だったこともありますが、そういうハプニングが起こる時って必ず時間がなくて焦って決断しているんですね。何かを始めるにはタイミングが重要で、それが合っていれば起こるべきことが起き、会うべき人とも会えて、道が開けるのではないかと思います」

 Evoluという社名は英語の「Evolution(進化)」のほか、フランス語の「Evolue」からもきていて、これには「発展」という意味があるそう。「植物がスキンケアアイテムに進化し、それを使う人の肌と体が健康に発展してほしい」という想いが込められているという。

「私はコッティズ・クリームを作った当時から天然由来の素材を使い、効果があることはもちろん、香りとテクスチャーのよさを重視すると決めていました。1990年代の自然派スキンケアは香りがあまりよくないものが多く、使用感が心地よくなかったんですよ。それもこの業界で成功できた理由のひとつだと思います。

 今は自然派スキンケアブランドも増えましたが、私たちはいつもモノ作りに真摯に向き合い、本当にいいモノだけを市場に届けようと奮闘してきました。その姿勢が顧客に信頼されているのでしょう。原料はなるべくニュージーランド産のものを使うようにしていますが、それはこの国の植物のヒーリング力が高いから。ブルガリアのローズなどほかの国原産のものを利用することももちろんありますが、ニュージーランドはどの大陸からも離れているうえに強い風が大気中の不純物を吹き飛ばすから公害とは無縁という、奇跡のような国なんです。そんなピュアなニュージーランド生まれのスキンケアアイテムの実力をもっと多くの人々に知ってもらいたいと願っています」

ハイクオリティなモノ作りにこだわりながら、これから企業としてももっと成長していくのがコッティの目標。来年早々にはアメリカ進出も視野に入れているとか。「美容アイテムに対する目が肥えた日本の女性にも試していただきたい」と目を輝かせるコッティ。ニュージーランドの植物パワーで世界中の女性を美しくするために努力し続けたいと語気を強めた。

Kati Kasza

コッティ・コッツァ●ホークスベイ出身。

ハンガリーから難民としてニュージーランドに移住してきたワインメーカーの父と園芸家の母のもとに生まれ、子供の頃から植物や天然原料の知識を得る。

高校・大学でフランス語を専攻し、卒業後、フランス語教師となる。その後、ニュージーランド航空のキャビンアテンダントに転進。飛行機内の乾燥や時差による睡眠不足から肌荒れに悩まされ、母のアドバイスを得てナチュラルなスキンケアを手作りするようになる。同僚のキャビンアテンダントからの評判もよく、「コッティズ・クリーム」という名称でハンドメイドのスキンケアクリームトリップバームの販売を開始。1997年にEvolu社を設立。現在、同社はニュージーランド有数のナチュラルスキンケアブランドとしてさまざまなスキンケアプロダクツアワードを受賞するなど世界的に高い評価を得ている。

趣味はパドルボード、愛犬との散歩、ヨガ、料理、読書。

公式サイト http://evolu.com