ニュージーランド南島カイコウラ周辺に生息するコガタペンギン(マオリ語で「コロラ」)が、政府の高病原性鳥インフルエンザ(H5)ワクチン接種計画の対象から外されたことが分かり、地元の野生生物保護団体や自治体から失望の声が上がっている。
環境保全省(DOC)のワクチン接種プログラムの対象は現在5種で、カカポ、タカヘ、トゥトゥランギ(シロカンムリチドリの仲間)、カキ(クロセイタカシギ)、カカリキ・カラカ(オレンジ額インコ)にとどまる。DOCのH5鳥インフル対策責任者アッシュ・マーフィー氏は、ワクチンは国内で最も絶滅が危ぶまれる鳥に限って緊急使用が承認されたものだと説明。コガタペンギンは絶滅の危機にはなく、接種は人手がかかる上に鳥にもストレスを与えると理由を述べた。「1羽ずつ捕獲して個体を識別し、健康診断と拭い液の採取をしたうえで接種する必要がある」という。
一方、カイコウラ野生生物センター・トラストは、DOCの優先順位の付け方が「脅威の分類のみに限られ、欠陥がある」と主張している。カイコウラのビッキー・ギューレフォード副市長は「私たちのコミュニティとボランティアが守ろうとしている個体数はごくわずかだ」と訴え、同地のペンギンには地域的な絶滅の危険があると指摘した。クレイグ・マックル市長はタマ・ポタカ環境保全大臣に書簡を送っており、環境カンタベリー(ECan)も今年、コロラ保護のために2万5千ドルを拠出している。
カイコウラのコロラは、個体数が少なく減少傾向にあるうえ、繁殖場所が限られ、外敵による捕食や人間による妨害、海洋環境の変化といった脅威にも直面している。ワクチンは1回の接種で完全な防御が得られるのが約6カ月間とされ、初回から3〜4週間後に追加接種が必要になる。地元は引き続き、対象への追加を求めていく構えだ。
