生き方すべてでいい刺激を与えられるようなアーティストになりたい。
日本生まれニュージーランド育ちのシンガーソングライター、Sayulee。現在は日本を拠点にYouTubeアーティストとしても活躍中の彼女は2015年1月14日、J-POPのメガヒットソングをカバーしたフルアルバム『1st Songs』を発表した。発売記念のインストアライブで全国を回りながら、新しいプロジェクトも進行中のバイリンガルな歌姫に話を聞いた。
Sayuleeの“新しい一面”が見えるカバーアルバム
最近、世界的に脚光を浴びているのがYouTubeなどの動画サイトを使って自己発信するソーシャルメディア世代のアーティスト。横浜で生まれ、ニュージーランドで育ったSayuleeもYouTubeを通じて知名度を上げた新しいタイプのシンガーソングライター。ニュージーランドの音楽学校を卒業し、日本へ拠点を移したSayuleeは2011年から2012年にかけて365日間1日も欠かさずに歌い続け、その動画をYouTubeに投稿する「Singing Sayulee × 365」を達成。伸びやかでソウルフルなボーカルとリスナーに歌詞の世界観を伝える高い表現力で多彩な曲を歌いこなし、話題をさらった。
この365日チャレンジ以降、活動範囲をグンと広げてきた彼女は2015年1月14日、初のフルカバーアルバム『1st Songs』をリリース。『BABY I LOVE U』(TEE)、『Story』(AI)、『奏』(スキマスイッチ)といったJ-POPのメガヒットソングが13曲収録された聴き応えのある秀作だ。
「とてもバリエーション豊かなアルバムが完成したと思います。これまでに女性ボーカリストがあまりカバーしたことがないようなメロラップ系の曲にも挑戦しました。自分の好きな曲や歌っていて気持ちのいい曲、私の声に合っている作品のほか、リリース日が冬だったので『遠く遠く』(槇原敬之)など卒業をテーマにした曲も入れました。それから私は沖縄が大好きなので、『アンマー』(かりゆし58)、『涙そうそう』(夏川りみ)、『長い間』(Kiroro)など沖縄出身アーティストの楽曲も選びました」
収録曲の中には365日チャレンジで歌った曲もあり、またリリース後、それぞれの曲をライブ形式で撮影し、その動画をYouTubeにアップしている。CDとYouTubeバージョンを聴き比べてみるのも面白そうだ。
「私にとって初のオール日本語曲アルバムでもあるので、ファンの皆さんにSayuleeの違う一面を見ていただけるんじゃないかな。『ギブス』(椎名林檎)はもともとすごく好きな曲だったんですけど、それ以外にアルバムを作る過程で惚れ込んだ曲もあるんですよ。例えば『奏』は、それまでも“いい曲だな”と思ってはいましたけど、アルバム作りで歌いこんでいるうちに自分にマッチした曲だと感じて大好きになった。それから最初“早口すぎて歌えない”と思った『アンマー』を無事に歌うことができたりとか、いろんなことに挑戦することで自分自身の中にも発見がたくさんありました」
自分が書いた曲のように歌うのがSayulee流
ジャンルを問わず、どんな曲でもギター1本でオリジナルのような最高クオリティに仕上げるのがSayuleeの魅力。歌うときに心がけていることを尋ねると「自分がその曲を書いたふりをすること」と答えた。
「自分の曲のつもりで、自分がその曲を書いた場合はどういう気持ちでどんなメッセージをこめて歌うだろうかということに集中します。オリジナルのアーティストのことを考えすぎるとその人に似ていっちゃうから。もちろん影響を受けている部分はありますけど、なるべく感情を込めるという意味でも、自分ならではのシチュエーションを構築するようにしています」
今回のアルバムは制作期間が非常に限られていたため毎日スタジオに6時間から9時間も篭り、ミックス作業のためのメールのやり取りを明け方まで続けたことが何度もあったそう。体力的には厳しかったがその分、達成感も大きかった。
「アルバムのリリースはタイミングが重要。今回はとにかく超特急で体力が要求されましたけど、この作品に関してはじっくり期間をかけて制作するよりも勢いに乗って一気に作り上げるスタイルがあっていたみたい。プロデューサーもスタッフもみんな徹夜の連続で本当に大変でしたが、いい作品ができて満足しています」
人生を変える魂がこもった楽曲を作りたい
1月より発売記念のインストアライブで全国を回っているSayulee。滋賀県大津など初めて訪れる場所もあり、毎回素敵な出会いがあるのが嬉しいと話す。
「インストアライブに来てくれるお客さんのほとんどがたまたま通りすがったとか、その日初めてSayuleeのことを知ったという人たちなんですよ。それが立ち止まってライブを鑑賞してくれて、CDを買って、握手して、おしゃべりして……毎回毎回そういう出会いがあるんですよ。ステージの上からお客さんたちの反応や表情はよく見えるんですけど、リハーサルを始めると会場にドンドン人が集まってきて、音楽が人を惹きつけるパワーってすごいなって感じます。音楽で人と人が繋がれる。それって活動する上ですごく励まされるし、これからも歌を続けていきたい、歌い続けていかなくちゃというエネルギーになります」
この先もインストアライブを続ける予定だが、Sayuleeはすでに次のプロジェクトにも着手している。「Your Song」という新企画で、一般リスナーからストーリーやメッセージ、歌詞を募集し、それにSayuleeがメロディをつけ、ビデオを制作してYouTubeに投稿するというもの。3月から6ヶ月間にわたってYouTubeチャンネルで放送され、将来的にはそれをまとめたアルバムを発表したいという。
「アーティストが一方的にメッセージを発信するのではなく、リスナーが参加して自分たちの伝えたい想いやストーリーを形にするというエキサイティングな企画です。応募された作品をもとに私が曲を書き、弾き語りの動画、そして歌詞の背景を紹介するドキュメンタリー風動画をYouTubeにアップします。1つのYour Songに対して2本動画を作り、合計12曲で24本。大忙しになるだろうけど楽しみです」
日本で充実した音楽活動を続けるSayuleeの夢は“影響力を持つアーティストになること”。「魂のこもった楽曲を作りたい」と語気を強めた。
「聴くたびに元気が出て、勇気が湧いてくるような、誰かの人生や生活の一部になれるような曲を作りたいですね。それからライフスタイルのモデルとなれるような存在になりたい。例えばただ歌うだけじゃなく素敵な生き方をして、そんな生き方すべてでリスナーにいい刺激を与えられるようなアーティストになりたいです」
Sayuleeの次の目標の第一歩といえる「Your Song」のオンエアは2015年3月2日から。まだまだ応募も受け付けているという。『1st Songs』とともに彼女の新しいチャレンジに注目したい。
Sayulee
さゆりー●日本生まれニュージーランド育ちの、ダブルカルチャーなシンガーソングライター。
幼い頃の夢であった音楽の道に進むことを決意し、ニュージーランドの音楽学校に入学。学年選抜ツアーチームでメインボーカルとして年間300以上の国内ツアーを敢行。
ラジオ、TV出演のほか、南半球で最大規模の音楽フェス“Parachute”に3年連続出演し、同イベントで1位を獲得。
現在は活動の拠点を日本に移し、自身のライブや、清木場俊介、クリス・ハート、加藤ミリヤ、AI、AK-96といったメジャーアーティストとのコラボやバックコーラス、多数のCMソングを担当するなど、多岐に渡り活動中。
特にYouTuneでの投稿動画数は500以上を数え、総動画再生回数は1000万回を超え、キナ・グラニスとの共演も果たすなど多くのファンを魅了するYouTubeクリエイターとしても活躍中。2011年から2012年にかけてYouTubeで「Singing Sayulee × 365」という365日チャレンジを達成し、海外にもファン層を広げた。
2015年1月14日にはJ-POPメガヒットソングのアコースティックフルカバーアルバム『1st Songs』をリリース。発売記念のインストアライブで精力的に全国を回っている。
2015年3月2日よりストーリーのある歌詞を一般募集し、それにSayuleeが音楽をつけ、YouTubeで発信する参加型プロジェクト「Your Song」をスタート。
★1st Songs★
2015年1月14日発売
2100円(税抜き)
全国のCDショップで販売中。iTuneでも配信している。
公式サイト sayulee.com
公式ブログ http://ameblo.jp/sayulee/
YouTube公式チャンネル https://www.youtube.com/user/SayuleeMusic