
先日、インバーカーギルで家族経営の小さな農場にてNZに来て初めて羊の毛刈りを見ました。
本来週末にそのホストの元を経つ予定でしたが「羊の毛刈りをするよ」なんて言われたものですから見ない訳にはいかない。
初めての体験に大変心を躍らせていたのですが、結論こんな悲しい気持ちになるとは思いませんでした。
羊たちは子どもと親と強引に引き離されます。
狭い路地に押し込められ子どもと親が別々の部屋に行くように追いやります。
子羊たちは親を求めて永遠と泣き続けています。

この辺はまだ許容範囲でまあ仕方がないかと割り切れるところ。
そして、羊の毛刈りをする職人が到着し羊の毛を1匹ずつ刈っていきます。
まずは、羊を数頭狭い路地に追いやります。
そして、職人は羊の背後から首根っこをつかみ羊をひっくり返します。
そうすると羊はおとなしくなり、ずるずると引きずられていきます。
ポジションに入るとうまく足を絡ませて毛刈りの体勢に入ります。
柔道の寝技みたいだなあと思いながら見ていたのもつかの間ここからが本番です。
バリカンで羊の毛をあれよあれよと刈っていきます。
そのスピードに職人はすげえな。しかも、この体制と作業を永遠と繰り返していく。
大変な職業だなんて思いながら見ていました。
実際、羊の毛を刈る仕事はとても大変なようで人材不足だと言っていました。
羊の毛を一日に8時間こなす。
しかも、刈った毛の量で金額も変わる用で本当に大変な仕事です。
が、刈られた羊をよくよく観察してみると赤い跡が見える。
なんだあの跡はとまじまじと見ているとしっかりとバリカンによりけがをしているではありませんか。
少しなら仕方がないかと思うかもしれないが2、3匹に1頭はかなりえぐられています。
足を引きずっている子もいました。
これを見ていると悲しい気持ちになってきました。

ラム肉食べてるじゃん。
動物殺して食べている。
その方が残酷と言われればそれまでかもしれませんがこの子たちは食べられるわけでもなく大けがを負わされて生かされるわけです。
だったら、もう少し丁寧なやり方があるんじゃないかなと思う訳です。
これが全員という訳でなくその職人がまだ見習だったのかもしれません。
それだけ人材不足なのかもしれません。
でも、羊の毛の製品を買うときはこれから少し躊躇することでしょう。
その後、少し羊の毛刈りのことを調べてみると私が体験したようなことはネットには掲載されておらず主に問題として挙げられていたのが
・成り手不足
・ミュールジング
の問題だと感じた。
人手不足は言わずもがな過酷な仕事であるが故になり手が少ない。
ミュールジングとは羊の臀部(おしりの部分で汚くなりやすい部分)を切除することによってウジの発生などを抑制するものだそうだ。
しかし、この切除を無麻酔で行ったり、切除後に何の処置もしないなんてこともあったそうで現在、NZではこのミュールジングが禁止されている。
しかし、今回見た毛刈りの雑さはこのミュールジングに匹敵するのではないかと思う。
まだまだ、自分の知らない世界が広がっているだから海外での滞在はやめられない。
そんな風に思う日々このごろです。




