ニュージーランド準備銀行(Reserve Bank of New Zealand, RBNZ)は、銀行や預金を受け入れる金融機関が保持すべき資本(自己資本)の基準を見直すための協議を開始しました。これにより、貸出促進や借り手の負担軽減を目指していますが、経済への影響は限定的であると強調しています。
背景と目的
現行の資本基準は2019年に策定され、2028年までに段階的に導入される予定でしたが、政治家、銀行、農家団体などから「厳しすぎて貸出を抑制し、利ざやを押し上げている」との批判がありました。
RBNZは国際的にも厳しい基準であると認識しており、規制緩和に慎重ながら前向きな姿勢を示しています。
提示された2つの案
1.単純資本バッファ案
四大オーストラリア系銀行には資本バッファを 8% に(従来は9%)。中堅銀行には 5% に(従来は7%)。
2.損失吸収可能な負債を活用する方法
大手銀行向けに資本バッファを 6% に設定し、万一の時に追加資本化できる負債(loss-absorbing debt instruments)の導入を併用。
新規参入を促す措置
「預金機関」としての認可取得に必要な最低資本額を、3,000万NZドルから500万NZドルへ大幅引き下げる案も提示。これにより新規参入を容易にし、競争を活性化させる狙いです。
政府や関係者の反応と見通し
財務大臣のニコラ・ウィリス氏は、この見直しにより貸出金利の抑制につながり、国民への恩恵が期待されるとして歓迎の意を示しています。
RBNZ副総裁アンガス・マクレガー氏は、提案による経済・金融への影響は「控えめ」と見ています。
今後のスケジュール
協議(パブリック・コンサルテーション)は 2025年10月3日 に締め切られ、その後、3人の国際的専門家(Thorsten Beck、Elena Carletti、Sir John Vickers)による独立レビューが行われます。最終方針は年内に決定される見込みです。