ニュージーランドの留学や移住、起業、旅行、就職など総合情報サイト

KiwiSaverの「困窮引き出し」が急増、新たな生活苦の現実

金融機関や調査機関のデータによると、2024年6月までの1年間で KiwiSaverから約3億NZドルが“significant financial hardship(重大な経済的困窮)”を理由に引き出されました。これは2019年比で約2倍、2012年の12倍に相当する額です。また、処理件数は約32,000件と、過去5年間のほぼ2倍に増加しました。

1人あたりの平均引き出し金額は9,252NZドルで、2019年に比べ66%増。平均引き出し額の上昇は、生活費の高騰などが背景にあると分析されています。

2024年から、住宅購入(first home)よりも生活苦による引き出しの割合が初めて上回りました。2025年3月の月間データでは、困窮による引き出しが44.3百万NZドル、住宅購入による引き出しは181.2百万NZドルとなりました。

TikTokなどのSNS上には、「困窮を装って申請する方法」「ローン申請で拒否証明を得る手順」など、制度を悪用する動画が拡散中。資産運用会社は「正当に必要とする人の申請審査が遅れる」と懸念を示しています。

KiwiSaverの監督機関などでは、引き出し件数や金額の増加に加え、制度の濫用を防ぎつつ、真に困窮している人への支援を確保するための制度設計の見直しが必要とされています 。