ニュージーランド国会は9月18日、緊急動議のもとで「立ち去り命令(ムーブオン・オーダー)」法案の第3読会を可決し、成立させた。これにより警察は、公共の場での物乞いが周囲の利用を不当に妨げていると判断した場合や、路上での寝泊まり、周囲を威嚇・妨害するような迷惑行為、店舗の入り口をふさぐ行為、治安を乱す行為などが確認された場合に、対象者にその場を立ち去るよう命じる権限を持つことになる。命令に従わない場合は罰金、場合によっては拘禁刑が科される可能性がある。
法案は国会の司法特別委員会が数カ月にわたり審議し、警察や福祉団体、法律の専門家らから意見聴取を行ってきた。委員会は審議の過程で、18歳未満の人を立ち去り命令の対象から除外するよう修正を勧告していた。一方、パブリックコメントでは提出意見の98%以上が法案に反対しており、「道義的に正当化できない」「不必要だ」「権利章典に反する」といった厳しい批判が相次いでいた。オークランド市議会も以前から、路上生活者や物乞いを立ち去り命令の対象とすべきではないとの立場を示していた。
支持派は治安や公共空間の快適さを守るための措置だと主張する一方、福祉関係者らは困窮する人々を罰則で追い立てるだけで根本的な解決にならないと懸念を示している。法律の施行に向けて、現場での運用のあり方や、路上生活者支援策との整合性が今後の焦点となりそうだ。
