11月7日の総選挙を前に、財務省は9月29日、ウェリントンで「選挙前経済財政見通し(PREFU)」を公表した。政府財政は5月の予算編成時の予測よりやや改善し、伝統的な指標である「損益前営業収支(OBEGAL)」では2028/29年度に21億ドルの黒字に転じる見通しとなった。黒字化は従来予測より1年早い。ACC(事故補償公社)の影響を除いた新指標「OBEGALx」では同年度に40億ドルの黒字で、前回予測より約14億ドル上振れした。
改善の主な要因は、インフレで所得税の税率区分が押し上げられたことなどによる税収の増加と、歳出がわずかに予測を下回ったことだ。純中核政府債務は6月時点の対GDP比41%から、2027/28年度に43.9%でピークを迎えた後、減少に向かう見込み。5月時点ではピークを46.1%と予測していた。今後5年間の国債発行額も1340億ドルと、5月の予測より150億ドル減額された。経済成長率は年2.6%とされている。
一方、イアン・レニー財務次官は、中東情勢による原油高で「回復は頓挫したのではなく遅れている」と述べ、V字回復がU字型になったとの認識を示した。また高齢化により長期的な財政は「持続不可能」だと警告し、2031年までに税収の28%が年金(ニュージーランド・スーパーアニュエーション)と利払いに充てられると指摘した。財務省は原油高の長期化や世界的な金利上昇など、予測の下振れリスクも挙げている。
ニコラ・ウィリス財務相は「非常に前向きな予測」と評価しつつ、「小切手帳を開くゴーサインではない」と強調。「食料品のために借金をする」のは今年が最後で、来年以降の借り入れはインフラなどへの投資に限るとした。労働党のバーバラ・エドモンズ財務担当は「数字が改善しても3年間の経済的苦痛は帳消しにならない」と批判。ACT党のシーモア党首は「さらに歳出削減を進める必要がある」、緑の党のスワーブリック共同党首は「強靭な経済を実現できていない」とそれぞれ述べた。エコノミストからは、好転した見通しが各党の財源なき公約を誘発しかねないとの懸念も出ている。
