
NZ快楽旅行主義 vol.4
鳥の楽園よ、永遠なれ
太古の昔、ニュージーランドは「鳥の楽園」だったのをご存じですか?
飛べる、飛べないに関わらず、目を奪われるような美しさ、耳をすましたくなるさえずりを持つ鳥たちは今も健在です
(Quarter 2002年秋号より)

DOC(環境保護局)の管理下で、一般にも公開されている数少ない自然保護島の1つであるティリティリマタンギ島。そこにはトゥイ、ファンテイル、シルバーアイ、サドルバック、タカヘ、ノースアイランド・ロビン、コカコ、ホワイトヘッド、キーウィ……と名前を挙げれば切りがないほど多くの鳥がすんでいると、どのガイドブックにも書いてある。「本当にそんなにたくさんの鳥を目にすることができるのだろうか?」半信半疑の私を乗せたオークランド発のフェリーは、1時間半ほどであっという間に島に到着していた。

首の回りの羽が虹色で美しいニュージーランド・ピジョン。通常のハトより一回り大きい
©Department of Conservation/M. Aviss
到着後まずこの島での注意事項について説明を受けた後、ガイドツアー参加者は数グループに分けられ、埠頭から出発した。海岸沿いのホッブストラックで、まずのど元に白い羽のあるつややかな黒色のトゥイを見掛けた。さらに進むと、ペンギンのシェルターとして使われている箱がある。ふたを取ると、中にかわいい小さなブルーペンギンが! まさかここまで間近に、そしていとも簡単にその姿を見られるとは思っていなかったので、びっくり。半信半疑だった私の心が、この時から徐々に期待にふくらんでいった。
海岸線から森林地帯に入るカウェラウトラックでは、特に多くの鳥が見られる。声が聞こえたかと思うと、この島のシンボルにもなっているサドルバックがその姿を現し、トゥイと追いかけっこをしている。色鮮やかなパラキート、尾羽が扇子のようなファンテイル、小さく愛らしいロビンが姿を現す。空を見上げれば、必ず何らかの鳥が飛んでおり、段々ガイドに頼らずに自分で鳥を探し、識別できるようになり、スティッチバードとファンテイルのような似た鳥が持つ些細な違いも分かってくる。ガイドでなくても、グループの1人が見つけた鳥をみんなで観察するといった具合に、いつの間にか全員が鳥を探せるようになっていた。
島の中心を東西に走るリッジトラックは見晴らしもよく、ハウラキ湾の紺碧色の海が、緑の木々の間に見え隠れする。そこへニュージーランド・ピジョンが目の前まで飛んで来て、堂々と翼を休めている。その下のやぶの中では、ウズラがヒナをたくさん引き連れて歩き回る。さらに、いつの間にかカラフルなタカヘがひょこひょこと歩き、グループに加わっているではないか! 私を含めグループ全員、いい大人たちが目をキラキラさせて、鳥の一挙一動を見守っているそのさまは、子供のそれと同じだったに違いない。

ノースアイランド・コカコはくちばしの下に肉垂れがあるのが特徴。絶滅の危機に瀕している
©Department of Conservation/C. R. Veitch
ガイドツアーを終え、島の東部にある灯台近くでお弁当を楽しんだ後、ワトルトラックを通って埠頭に戻った。ここにある水浴び場には鳥が多くやって来る。1つ目の水浴び場でトゥイを見かけ、2つ目へ移動。じっと息を殺して待つ。5分ぐらいたったところで、鳥が水浴びにやってきた。信じられない! 今まで図鑑でしか見たことのなかったコカコだ。ブルーの美しい羽に覆われ、まるでおとぎ話に出てくる架空の鳥のよう。人間が見ていてもさほど気にせず、満足のいくまで水浴びを楽しんだ後、近隣の木の枝まで力強く飛んでいった。ぼうぜんとする私たちをそこに残して。
鳥も含めた自然全体が、私たち人間を両手を広げて、温かく受け入れてくれていると実感した1日だった。こうした自然の「優しさ」が反対にあだになり、人間の身勝手さの犠牲になってしまうのだ、とも痛感した。人の手によって一度は命を失いかけたこの島の生態系が、同じ人間によってここまで回復している。これを維持、繁栄させるもさせないも、私たちいかんなのだ。
Tiritiri Matangi Island
ティリティリマタンギ島
島の情報:DOC
Ph:09-479-4490
島へのフェリー:Fullers Auckland
Ph:09-367-9111
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