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知らなきゃ損、損!NZ税金講座 第11回
家族信託とは
ニュージーランドではよく、「家族信託(Family Trust)」という言葉を耳にします。日本人にはあまり馴染みのないこの「信託」とは、一体どういうものでしょうか。国内では現在約10万件の家族信託が設立されており、何とこれは10家庭に1件の割合となります。
(Quarter 2003年秋号より)
家族信託とは「設立者(Settler)」、「執行者(Trustee)」、「受益者(Beneficiaries)」の3者によって構成される、いわゆる「個人資産の保護」を目的に利用されるシステムのことです。人によってその利用方法はさまざまですが、大きくは次の5つに分類できます。
1. 個人資産の管理
個人資産、中でも遺産相続などの場合、家族信託に入っていれば、執行者の意思で遺産の分配、使用方法をすべて決めることができます。
2. 相続税対策
1992年の法改正以降、現在この国に相続税はありません。しかし、いずれ復活する可能性もあるため、その対策として今から土地家屋などの個人資産を家族信託に贈与しておく人も多くいます。
3. 債権者からの資産保護
これは税金対策とは異なりますが、個人企業主が倒産などから個人資産を守るために、家族の共有資産を家族信託に贈与しておき、債権者から守ります。
4. 所得税の節税対策
現在、個人所得税の最高税率は39%ですが、家族信託から収入を得れば一律33%で済むため、特に高額所得者にとってはかなりの節税となります。
5. 老人ホームの資金確保
老夫婦が持ち家を家族信託に入れ、それを資金源として年金をもらい老人ホームで暮らす、という家族信託の最も一般的な使い方。ただし持ち家を入れる時期が年金受給規定に引っかかると、年金がもらえない場合もあるので注意が必要です。
では家族信託を設立した場合、どのような税法上の措置が必要なのでしょうか。家族信託も株式会社と同様、法人扱いとなります。設立時、資産を個人から家族信託に贈与する場合には年間2万7,000ドルを超える金額に贈与税が掛かります。つまり、この枠内で毎年贈与するようにすれば、税金を払う必要はありません。
年度末決算では、IR6というフォームを用いて青色申告をします。また家族信託自体とは別に、執行者と受益者も青色申告(IR3)をしなければなりません。また、家族信託の当年度利益が2,500ドルを超える場合、今度は Provisional Tax という次年度の暫定予想所得税を前払いしなければなりません。この辺の扱いは個人会社や株式会社と同じです。
注意点としては、まず目的をはっきりとさせてから設立することです。資産価値または対処方法によっては、家族信託を設立して維持するより安く済むこともあります。また、先に述べた贈与税の免税額内で金銭等の贈与を行えば税金は掛かりません。通常、家族信託は弁護士などを通して設立しますが、その設立や諸条件変更などに伴う弁護士費用、毎年度末の青色申告に関わる公認会計士費用などを考慮した上で、得られる利益と差引きしてどちらが得かを判断してください。市販の案内書や弁護士事務所が発行している冊子をもとに良く研究して設立すれば、かなりの節税ができ、また不慮の出来事から個人資産を守ることもできます。
矢野善之(やのよしゆき)
日系海外ホテルで、ファイナンシャルコントローラーとして会計業務に携わった経験を生かし、ニュージーランドにビズワールド社を設立。ビジネス・コンサルティング、留学、ガイド派遣業務を行っている。
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