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ニュージーランドのアクティビティ

本日開講!天国のフライフィッシング公開講座

四振り目 舞台を海に移せば…

(Quarter 2004年冬号より)

Text/Photo by Kanji Saito

ナブラにうまく遭遇すれば、カツオもフライで釣れる

 フライフィッシングというと、川や湖でマスを相手にした釣りというイメージが強いけれど、実は海でも遊べてしまう。そして、ニュージーランドの海はかなり面白いのだ。

 海のフライフィッシングの醍醐味は、何といっても魚のファイトにある。同じ大きさなら、海の魚の方が淡水魚よりもはるかに強い。その理由はちょっと考えてみれば当然のことで、川や湖で暮らすマスの場合、40センチを超えてしまうとこの世の中に恐いものは何一つない。せいぜい、ときおり水辺に姿を現す釣り人くらいのものだ。しかし、海の中では40センチ、50センチの魚はまだまだ食物連鎖のピラミッドの真ん中くらい。のんびり泳いでいようものなら、丸のみにして食ってしまおうといきなり襲いかかってくるような輩がうようよいるのだ。特に大洋の場合、隠れる場所がないからとにかく逃げ足の速さで生き延びるしかない。だから鉤にかかった途端、信じられないくらいのスピードと力強さで走り回ってくれる。

 ニュージーランドの海の魚でフライフィッシングの対象といえば、一も二もなくまずカーワイ(マルスズキ)だろう。この魚をフライフィッシングで狙う方法には、大きく3つある。一つは、まき餌をして魚を寄せるもの。イワシミンチや、あるいはバーリーと呼ばれるまき餌を少しずつ海にまき、その匂いに誘われて寄ってきたところを釣るのだ。この方法では、カーワイだけでなくトラバリ(シマアジ)なども集まってくるし、さらにはヒラマサの姿を拝めることもある。ただ、どうしてもまき餌という餌に頼るところに、フライフィッシングとしての真髄からちょっと離れた感があるのは否めない。

NZのソルトウォーター・フライフィッシングといえば、この魚。カーワイだ

 次の方法は、ボートで沖に出て「ナブラ」を見つけるもの。カーワイやカツオ、ヒラマサのような魚が、カタクチイワシなどの小魚の群れを下から押し上げるように海面へと追い込む。ナブラとは、この逃げ惑う小魚と追いかける魚の立てるさざ波が一面に広がっている状態を指す。ナブラにうまく近付くことができれば、魚たちは半分狂騒状態になっているので、フライを選ぶなどというこしゃくなことはほとんどせず、いま夢中になっている餌と大きさがある程度似たものなら迷うことなく食らいついてくる。場合によってはフライを泳がせるスピードが大切なこともあるので、そのときには両手でラインを引くか、あるいは竿を使って一瞬だけでもハイスピードを出すようにする。問題のナブラを遠くから見つけるには、鳥の動きに注目すればよい。海面へと押し上げられた小魚は、海鳥にとっても餌を取る絶好のチャンスなので、急降下ダイブを繰り返すたくさんの海鳥の姿(トリヤマと呼ばれる)が遠くからでも見えるはず。

逃げ惑う小魚と追い立てる魚で海面がざわつく。そこにフライを投げれば、船の上も狂騒状態となる(フィジーにて)

 ボートもない、まき餌もしたくない、という陸っぱりタイプにうってつけなのが最後の方法だが、これは期間と場所限定である。カーワイは12月から2月にかけて産卵のために河口に集まってくるが、それを狙うのだ。北島ではモツ川が有名で、うまく群れに当たると打ち寄せる波の中に数百の黒い筋となって泳いでいるカーワイを見ることができる。初めて僕がそれを目にしたときには、しばらくは何であるのか分からなかったくらいで、魚だと気付いていたく感動した覚えがある。釣り方は簡単で、流れ込んでいる川を横切るように投げればよい。そしてフライを流れにクロスさせて泳がせれば、カーワイが大口を開けて追いかけてくるところが見えるはず。非常に興奮する一瞬だ。おまけとしてうれしいのは産卵で寄ってきている魚なので、腹に卵が入っていること。タラコほどの大きさで、これがなかなかいける。

 ところで、海のフライフィッシングの面白さを語るとなったら、話はニュージーランドだけでは収まらない。南太平洋の島々、フィジー、ラロトンガ、タヒチ、ニューカレドニアは4月から11月がベストシーズンなのだ。中でもお勧めはニュージーランドからの飛行機代もかなり下がり、宿泊施設も安くて良いところが豊富にあるフィジーだ。

サンゴ礁のランナー、イケカツオ。いかにも速そうな尾びれだ

 白い砂浜にのびる椰子の影、紺碧の海に青い空。そんな中でフライフィッシングをするなら、本島のビチレブよりも水上飛行機でヤサワ群島に渡るのがベスト。僕が行ったのはタベワという小さい島で、バックパッカーに泊まりながらソルトウォーター・フライフィッシングを堪能した。陸からでも狙えるが、ナブラを追いかけるにはボートがいる。浅いサンゴ礁の海を走り回るので、ゲームフィッシング用のチャーターボートでは大きすぎて話にならない。島の漁師にお願いして小舟を出してもらったら、これが大当たりだった。また潮の加減でナブラが浅場に入っていないときには、マングローブの根元をポッパーと呼ばれる大きなフライで狙えば、まるでブラックバスのような勢いで飛び出してくるバラクータにお目にかかれる。

 淡水とは違った面白さにあふれる海のフライフィッシング。これは絶対にお勧めだ。

Useful Advice for Fly-fishing in NZ
海のフライフィッシングに挑戦する際に、知っておくと便利な情報あれこれ

ロッド
海の魚の強さ、そして大きめのフライを風に逆らって投げることなどを考えると、8-9番がほしい。ただし、カーワイ狙いなら7番でも十分に楽しめる。

リール
ドラッグ調整の効くものでないとかなり大変なことになる。カーワイ、ヒラマサ、シマアジなどニュージーランドのソルトウォーターで遊ぶなら、バッキングライン(下巻きの糸)は100メートルもあれば十分。ただし、南太平洋の島々でボーンフィッシュを狙うなら、最低でも150メートルは必要。その場合には、リール径の大きいラージアーバーと呼ばれるタイプが有利。

ライン
手返しよくキャストするには、シューティングヘッドと呼ばれる短いラインがお勧め。淡水と海水では比重が違ってラインの沈降速度が遅くなるため、なるべく速く沈むものがよい。

フライ
小魚を模したフライが基本になる。ナブラに当たったときには、次から次へと魚をかけることになるので、なるべく丈夫な素材を使ったものの方がよい。

斎藤 完治 Kanji Saito

1986年、フライフィッシングをするため1年の期限付きで日本を後にするが、“釣り天国”のニュージーランドでそのまま帰らぬ人となる。以降11年間、フィッシング・ガイドとして大勢の観光客を魅惑の世界に引きこみつつも、ある日、人の案内ばかりで自分の釣りができないことに我慢できなくなり、フリーライターに転向。雑誌『アウトドア』『フライロッダース』『フライフィッシャーズ』など多数に寄稿。著書に『巨大鱒に魅入られ、ニュージーランド暮らし』(つり人社)、『極楽ニュージーランドの暮らし方』(山と渓谷社)などがある。

この記事は「Quarter 2004年冬号(Issue 17)」に掲載されたものです。記載されているデータ・情報は全て掲載時のものとなっております。予めご了承ください。

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