
NZ快楽旅行主義 vol.5
マウント・ハットスキー場の“バンジー”スキー
ウィンタースポーツを代表するスキーと、人気抜群のアクティビティ、バンジージャンプ。
「どちらも試してみたいけれど、お金と時間が足りない」というあなたにぴったりのアトラクションがこれ!
(Quarter 2002年冬号より)
Text by Etsuko Sato
Photos by Mt. Hutt Bungy Company, NZ SKI.COM

ケア・ロックの上にあるジャンプ台。海抜1,600メートルという高さに目がくらむ
スキー板を着けたままバンジージャンプができるというアトラクションがあると聞き、「スキーとバンジーを同時に? 一体どうやって?」と、疑問と不安を抱きながらも好奇心には勝てず、早速マウント・ハットスキー場に向かった。天気は快晴、雪質も良く、絶好のバンジースキー日和(?)だ。まずはオフィスの受付で、渡された申込用紙に名前、住所、生年月日、健康状態(心臓病、高血圧、脱臼、妊娠などの有無)を申告。問題がなければ、そのままオフィス横のプラットホームに進む。
巨大岩というよりは“絶壁”と呼ぶにふさわしい、高さ41メートルのケア・ロックの上に、長く突き出た桟橋のようなものが見える。それがバンジースキーのプラットホーム。さらにその先に50センチの高さのジャンプ台が設けられ、そこからスキーまたはスノーボードで“滑り跳ぶ”のだ。
実際に跳ぶ前に、プラットホームでスタッフによる説明を受ける。「ジャンプ後、揺れが安定してから、ウィンチ(巻き上げ機)を使い、ゆっくりと体を雪上に下ろします。しっかり着地したことを確認したら、バンジージャンプのゴムと体を固定していたハーネスを脱いで、あとは自由に滑ってください」といわれ、ハーネスの脱ぎ方を何度か練習する。そして案内に従い、“立ち入り禁止”のジャンプ台のあるゲート内に入る。だんだんと心臓の鼓動が速くなってきているのが分かる。眼下に見える駐車場にはやじ馬が集まってきている。

ハーネスでしっかり装備されているから安全と分かっていても、飛び出すのには勇気がいる
ジャンプ台へ上がり、スキー板を履く。跳ぶ方向に目をやると、壮大な景色が広がっている。真っ白な雲海、真っ白な雪、なんてきれいなんだろう。しばし感慨にふける。はるか下のゲレンデでは、スキーを楽しんでいる人が見える。すぐ右手にある、トリプルチェアリフトで上ってくる人たちが、私に声援を送ってくれる。それにこたえるように手を振った後、ストックをギュッと握り締め、前方を向き、なるべく下を見ないようにする。下を見ると怖くて跳べなくなるかもしれない。体中に鳥肌が立っている。行くぞ!
「3、2、1、バンジー!!」スタッフの掛け声とともに滑り出す。一瞬、体が宙に舞ったかと思ったら一気に落下していき、それと同時に内臓全部が一斉に15センチほど浮いたような感覚に陥った。体が硬直して、恐怖のあまり声も出ない。ゴムが伸び切ったと思うと、次は体が上に振り上げられる。ジャンプ台を見上げると、スタッフや観客がこちらを見下ろし、ワイワイ騒いでいる。恐怖のフリーフォールを終えた私は、気持ちに余裕が戻り、笑顔をギャラリーに振りまく。ゴムが数回伸び縮みする間、リフトに乗っている人たちの歓声と注目を浴びながら、悠々とマウント・ハットの雄大な景色を楽しむ。とてつもない達成感と爽快感で、「ワー!!」と叫び出したい気分。もう怖いものなんてないぞ。何回だって跳べる。やじ馬の皆さん、気持ちいいぞ、見てないで跳んでみたら!
揺れが安定したところで、スタッフの合図があり、ゆっくり下ろされ、着地。雪の上に腰を下ろし、教えられたように、ハーネスを脱ぐ。勝ち誇ったように、ジャンプ台にいる皆に手を振る。スキーを滑り始めたが、たった今“大仕事”を終えたばかりのため、ちゃんと滑れているのか自分でも分からないほどのハイテンションだった。リフト乗り場に到着し、オフィスに戻るためにリフトに乗る。リフトに一緒に乗り合わせた人に、やや興奮気味でバンジーをしてきたことを話す。ふと前方を見上げると、今度はスノーボードバンジーに挑戦する人がプラットホームの先に立っていた。
Mt. Hutt Bungy
マウント・ハットバンジー
Mt. Hutt Ski Area, Methven
Ph:03-302-9969
営業:マウント・ハットスキー場オープン期間中
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