
国土の3分の1を占める自然美の世界 ニュージーランド14の国立公園
Whanganui National Park
ファンガヌイ国立公園
トンガリロとエグモント、2つの国立公園の中間に位置する。面積は約7万4,231ヘクタール。トンガリロ山に発し、多くの丘と谷間をぬってタズマン海に流れ込むファンガヌイ川沿いに広がっており、園内へのアクセスはカヌーやボートに限られている。全長約145キロ、5日間の川下りに挑む冒険者も多い。川沿いの要所にあるキャンプ場または簡易宿泊所は、夏季のみ有料となる。
(Quarter 2004秋号より)

©Department of Conservation. Photographer: S. Jones
高く茂ったシダに囲まれた橋の名は「Bridge to Nowhere――何もない場所へと続く橋」。なぜこのような不思議な名前が付けられたのか、同公園を管理するファンガヌイDOC(環境保護局)に問い合わせたところ、広報のロスさんがこの橋にまつわる興味深いエピソードを教えてくれた。
第一次世界大戦後の1917年、政府は復員兵士たちのため、園内南部のマンガプルア・バレーに開拓部落を作る。35世帯ほどが入植し、川を渡って対岸を行き来するためのつり橋(写真奥)もできた。1936年には、政府が新たに石橋(写真手前)を建設。しかし、あまりに人里離れたこの村に耐え切れなくなった入植者たちは、次々と村を出て行く。国の財政も傾きつつあり、大きな洪水に見舞われた1942年、政府は村への経済援助を取りやめることを決定し、最後に残った3世帯に立ち退きを命じたのだった。以来、周りに何もない孤立した場所、英語でいえば文字通り「middle-of-nowhere」の地につながる橋として、「Bridge to Nowhere」の名が付けられたのだという。
こうして、この地を開拓するために移り住んだ人々の夢は破れたものの、冒険を求める人々にとっては、うってつけの探検地が出来上がった。現在では年間約5,000人の観光客がこの橋を訪れている。付近に3年前にオープンしたロッジ、その名も「Bridge to Nowhere Lodge」(Ph:06-348-7122)では、フレンドリーなマンディ&ジョー夫妻が宿泊、食事、キャンプ、ツアー手配、ボートやカヌーのレンタルなど、観光客のあらゆるニーズに応えている。
さらに歴史をたどると、ここにもやはり先住民族マオリの伝説が残されていた。その昔、戦士タマツナは、ウナギたちの助けを借りて水中の穴に沈んだ大木を彫り、最速のカヌーを見事に作り上げたという。ウナギたちは、昼間から薄暗い穴の中で作業に熱中するタマツナに日暮れを知らせるため、夕方になると彼の足に絡みついて岸へ戻るよう警告したというのだ。電気のなかった当時、彼らは自然界の不思議な現象に大いなる畏敬の念を払って生きていたに違いない。
モノの洪水に日々の感謝も忘れがちな現代の都会人。自然と共存していたマオリの人々や、共存を試みるも願いは叶わなかった戦後の開拓民に思いをはせつつ、ゆるやかに流れる川を下ってみたい。
Tongariro National Park
▼交通
車でのアクセスなら、国道4号線のタウマルヌイにあるチェリー・コーブが同公園の最北部となる。ほかにも数カ所のアクセスポイントがあるので問い合わせを。現地では各種ツアーやカヌー/ボートレンタル、水上タクシーなどを利用できる。
▼問い合わせ
Department of Conservation
Whanganui Conservancy
Ph:06-345-2402